『shade of season』L'Arc〜en〜Ciel（思い入れのある曲シリーズ）

ラルクは既に3枚アルバムについての記事を書いたので、そのアルバム以外の曲を取り上げようと思う。

その中でも迷ったのだが、あまりこの曲を推している人がいない気がするので選んだ。

この曲は現時点での最新アルバム『BUTTERFLY』に収録されている。

このアルバムは発売時にちょっとしたいわくがあった。

そもそもシングル曲が多いからというのもあるのだが、それ以外の曲もアルバムの発売前には配信でリリースされていき、アルバム発売前にはこの『shade of season』以外はほぼ音源が手に入るという状態になっていた。

その状態でじゃあアルバムを買うか‥というところで逡巡した人も多いと思う。

今年起こったリマスターや周年記念ライブを巡るゴタゴタもそうだが、バンドが大きくなり過ぎたせいでメンバーも関与できていないであろうところでファンとの間に軋轢が生まれてしまうのは何とかならないのかなぁと思ってしまうところだ。

それはともかくとして、『BUTTERFLY』に収録されている『shade of season』について。

個人的には、このアルバムの中でいちばん好きなのがこの曲だ。

この曲は作詞、作曲ともにyukihiroさんが行っており、アレンジ作業はyukihiroさんとkenさんが共同で行ったらしい。

この曲は初めて聴いた時に、何だかK.A.Zさんっぽいなと感じた。

OBLIVION DUSTやVAMPSで活躍しているK.A.Zさんである。

K.A.Zさんのギターや楽曲に対して持っているイメージとして「カチッとしている」（表現が稚拙で申し訳ない）というものがあり、そこはkenさんの良い意味で「ざっくりとした」雰囲気とは対極にあるものだと思っている。

VAMPSのライブにkenさんがゲスト出演したことがあり、その時にkenさんとK.A.Zさんが舞台で共演していたのだが、2人の対照的な魅力を同時に感じることができてとても興味深い場面であった。

ということで、いわゆるカチッとした雰囲気が『shade of season』には漂っているように感じられるのである。

この辺りの雰囲気は、yukihiroさんが元来持っているものなのだろうと思う。

yukihiroさんが叩くドラムに対しても同じようなイメージを持っている人は多いのではないのであろうか。

『BUTTERFLY』前に発表されていたyukihiroさん作曲の『spiral』にも同じカチッとした、緻密な雰囲気がある。

yukihiroさんの持っている特徴が作る楽曲にも反映されているのがとても興味深いところだ。

hydeさんと共作した『New World』は別として、yukihiroさんが作った曲は雑に言うと洋楽っぽいというか、他のメンバーが作った曲とは違う空気感を持っているように感じる。

この曲も、『BUTTERFLY』に収録された他の曲と比べると冷たさを感じるような曲が多く、良い意味で異彩を放っていて好きだ。

中でも1番好きなのは最後のCメロ的な部分で、こういうコード進行をドラマーのyukihiroさんが思い付くのは凄いなと思う。

アルバムで次の曲になる『DRINK IT DOWN』もyukhiroさん作曲で、この曲は異なる曲を合体させて作ったという逸話を聴いたことがあるが、『shade of season』もこのCメロの部分は元々別の曲だったんじゃないかと思うくらい異質で、逆にフックのあるCメロを作ろうと思ってこの進行を初めから思いついていたとしたら驚愕だ。

長らく『BUTTERFLY』自体聴いていなかったのだが、今回久々に聴いてみて、TETSUYAさんのハモリではない後追いコーラス（『CHASE』、『Bye Bye』、この『shade of season』も）が多く入っているなと思った。

『BUTTERFLY』は良くない意味でのベストアルバム感が強いアルバムではあるけれども、『shade of season』を筆頭に面白い曲も多いので是非。