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『In the Air』(L'Arc〜en〜Cielの楽曲をひたすら語っていくシリーズ)

ついにL'Arc〜en〜Cielのツアーが発表されましたね。
しかもツアーのコンセプトはUNDERGROUND。
これまでライブではあまり演奏されてこなかった楽曲を掘り起こすということで、ファン垂涎の内容になることが期待されます。
まだ参戦できるかどうかはわかりませんが、この発表だけで今年が希望の持てる一年になりそうな、そんな期待感を抱かせてくれるL'Arc〜en〜Cielは本当に大きな存在だと改めて思わせてくれました。

この発表が出てからというもの、果たしてどの曲が演奏されるのかと思いつつ過去曲を聴き漁っている今日この頃です。

そして改めて思うのは、やはり楽曲のクオリティがとんでもなく高いなぁということ。
久々に聴くことで新たに気づく新要素もたくさんあったので、これからライブツアーの前後までにかけて、L'Arc〜en〜Cielのメジャーデビュー後の楽曲を一曲ずつ、軽い解説を交えながら語っていこうと思います。

今回は1stアルバム『Tierra』から、一曲目の『In the Air』について。
どうでしょう、この『In the Air』は好きだという人多いんじゃないでしょうか。
筆者個人的にも、とにかく大好きな曲です。
初期ラルクの耽美的な世界観が結実した曲というイメージがありますよね。
特に『heavenly』までの楽曲にはUK、フレンチポップの流れを汲むような音像のものが多いのですが、特にこの『In the Air』はその濃度が濃く感じられます。

『In the Air』は作詞作曲ともにhydeさん。
hydeさん作曲の楽曲の特徴として、メジャースケールの中でのトニックコードをマイナーに置き換えていく(置き換えたと捉えて周りのコードを変化させるパターンも)というパターンがよく見られるのですが、初期の『In the Air』から既にそのパターンが用いられています。
このパターンは最新の『ミライ』でも出てくるパターンですね。
恐らくhydeさんの中で心地よく感じられる響きなんだろうなというのが、長い年月を経ても同じパターンが起用されていることからよくわかります。

歌詞の内容も非常に耽美的で、何というか、これを英訳して当時のUK界隈のアーティストが歌っていても違和感が無いような内容になっているように感じられます。
アルバムタイトルの『Tierra』はスペイン語で大地という意味らしく、この大地という単語が歌詞の中にも登場するあたり、アルバムの世界観を象徴する楽曲として制作されたことが想像されますよね。
個人的には「空へ落ちて行く」という表現が味わい深くて好きです。
アルバムラストの『White Feathers』とこの辺りの歌詞を聴き比べてみるとより味わい深いものになるんですよね。

バンドの演奏についても語っていきたいと思います。
まあ言わずもがな、本当にどのパートも素晴らしいんですよね。
まず耳を引くのはイントロのベースのフレーズ。
コードトーンをアルペジオ的な解釈で弾いた独特な味わいのフレーズで、どのコードでもルートの音を一拍目に入れていないので、少し不安定な、フワフワ揺れているような独特な味わいが感じられます。

ボーカルが入ると同時にディレイのかかったギターのフレーズが重なってくるのですが、このギターがあまり歪んでいない、シングルコイルのギターのクランチといった音色なのがまさにkenちゃんという感じ。
ここから二度目のイントロ?バンド全員が入った後のイントロではより歪んだ音色でのギターのテーマフレーズが入ってきます。

Aメロではベースがイントロのフレーズをオクターブ下で弾いています。
ただ全く同じというわけではなく、コードがA7の箇所ではフレーズが変化し、このフレーズが「口づけして」という歌詞に絡む箇所が非常に美しいのでここは是非注目してもらいたいです。
Aメロでそのベース以上に耳を引くのがsakuraさんのドラムで。
基本的には4分打ちのバスドラを基点にしたリズムなのですが、そこに金物を使って表情をつけています。
その表情が表情豊かなんて表現では陳腐に聞こえるくらいに表情豊かで、特にシンバルを刻みながら徐々に音量を上げていき急に音を止めるところからは、ドラムにも歌心を込めることができるのだということがよく分かるのではないでしょうか。

BメロはコードがDm→Dという流れなのですが、ベースがコードの3度の音を弾いてからルート音のDを弾くというフレーズになっていて、コードが変化するとその3度の音の箇所だけが変化するというのが面白いです。
これは弾いていてとても気持ち良いフレーズだろうなと思います。

サビに入るとキーがEに転調し、一気に開けた壮大な雰囲気に変化します。
サビのベースのフレーズはまさにTETSUYAさんといった感じで、ギターが空気感を演出する音数の少ないフレーズを弾いているのとは対照的に、動きの多い歌心のあるフレーズで曲を引っ張っています。
このベースのスタイルは初期から変わらず今日まで続いているということがわかって興味深いです。

という風に色々書いてきたんですが、このままだとまとまりなくひたすらに駄文を書き連ねることになっていきそうなので、一旦この辺りで止めておきます。

デビューアルバムの一曲目からしてこのクオリティ、L'Arc〜en〜Cielの奥深さが濃縮されたこの楽曲を是非聴いてみて下さい。









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