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『賽は投げられた』(L'Arc〜en〜Cielの楽曲をひたすら語っていくシリーズ)

『True』期のカップリングシリーズはこれでラスト。
今回は『Lies and Truth』のカップリング『賽は投げられた』です。
このタイトル、初見では読めませんでしたね。
賽はさいと読みます。
『賽は投げられた』というのはカエサルが言ったとされる故事成語的な言葉で、後には引き返せないという意味のようです。
歌詞と照らし合わせると、世界が終わっていく、待ったなしだというような意味なのでしょうかね。
結構重めのメッセージ性を感じる歌詞なのですが、曲調は非常に明るく、若干コミカルさも感じるようなアレンジになっており、歌詞との対比が非常に印象的です。
この曲はken作曲なんですが、これは結構意外でした。
キャッチーさを全面に出しているところからtetsuya作曲じゃないかと思った人は他にもいるんじゃないでしょうか。

この曲はどのパートも演奏が面白くて、特にドラムは派手ですよね。
sakuraのフィジカルな魅力が盛り沢山のフレーズが詰め込まれていて、手数の多さに圧倒されます。
イントロや間奏の2,3,3,3,3,2のリズムの箇所は、ドラムの熱量を強く感じる一方で、ギターとベースのフレーズはどこか機械的に淡々と演奏しているような印象があり、その対比が興味深いです。

続くAメロは8ビートの疾走感のあるパートで、ギターとベースは比較的シンプルに刻んでいるのがラルクとしては珍しいような気も。
歌詞にも出てくるドライブという単語にリンクした演奏になっています。
ドラムのタイトな感じはyukihiroみもあるんですが、ところどころで挟んでくるフィルやそもそものフィルを入れるタイミングがyukihiroとは違うsakuraの感性を強く感じます。
そしてAメロの後半の部分ではアコギやオルガンの音色が前面に出てきて、いわゆるフレンチポップ的なブレイクが挿入されます。
こういった疾走感のあるロックと、フレンチポップやネオアコ的なフレーズの融合というのがsakura期のラルクの持つ大きな魅力ですよね。

Bメロに入るとドラムのリズムが少し大きなノリになり、ベースのフレーズにもらしい動きが出てきます。
ここのドラムのクラッシュを叩くタイミングでのアクセントの付け方が絶妙で大好きです。
サビに入る直前のブレイクではオルガンのポップな上昇フレーズに途中からギターが合わせていくようなアレンジが何だか可愛いw

サビはベースのルートは同音を維持しつつ上に乗るギターのコードが移行していくクリシェ的な構成で、少し切なさが出てきます。
ルートの維持は継続しつつも、後半からオクターブ上から落とすアレンジに変えるtetsuyaのベースは流石ですよね。
制限がある中でも横移動で動きを加えるこの手法は真似したくなります。
tetsuyaの場合4弦のルートと2弦のオクターブ上ではなく、3弦のオクターブ上の方から4弦のルートに落としてくるんですよね。
サビも随所でオルガンとアコギの音が浮かび上がってきて、シリアスな歌詞を茶化すかのような可愛げのあるアレンジになっているのがやはり印象的。
もはやテーマ的なブレイクから間奏へと移っていきます。

ここでは再びイントロと同様のsakuraの独壇場フレーズが登場ですね。
そこから続く間奏の後半はギターソロというよりは、オルガンとギターで掛け合いフレーズを構築していくようなパートになっています。
間奏のラストのブレイクで入るベースはゴリゴリの歪みが効いていて、そこまでの可愛げのあるフレーズからの対比がまた面白い。
やはりこの曲は終始対比の面白さが感じられます。

ラストのサビではついにタイトルにもなっている『賽は投げられた』というフレーズが登場です。
このフレーズ単体だとどちらかと言えばカッコ良い響きが感じられますが、付随する歌詞はとにかく何もかもdeadで何もしてあげられないという絶望感を纏っていて、これはこれで対比の妙がありますよね。
今の時代に改めてこの歌詞を読んでみると、陰謀論的な言説に騙されている人を皮肉った内容のようにも感じられました。

この曲はtetsuyaが結成したラルクのコピーバンドLike〜an〜Angelの情報解禁前の映像で使われたことで話題になりましたよね。
どうやらライクではこの楽曲が演奏されているようで、そこからまたラルクに逆輸入されて演奏されることを心待ちにしています。

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