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『All Dead』(L'Arc〜en〜Cielの楽曲をひたすら語っていくシリーズ)

2曲目は前回に引き続きアルバム『Tierra』収録の『All Dead』です。

この曲も『In the Air』と同じく作詞作曲ともにHydeなのですが、どういうわけかしばらく作曲はKenだと勘違いしていました。
多分20thライブの時にKenのリクエストでこの曲がセットリスト入りしたというのを間違って記憶していたんだと思います。

今回改めて聴き直して気づいたのですが、この曲は歌詞が凄いですね。
All Deadという言葉から連想するイメージそのままの歌詞に仕上がっていて、L'Arc〜en〜Cielの楽曲でここまで攻撃性の強い歌詞のものは他にないんじゃないでしょうかと思ってしまうほど。
Tetsuya作詞曲でそうした攻撃性のある歌詞が垣間見られることはあるものの、そちらは言葉を悪く言えば少しねちっこいような印象で。
それらに比べるとこの『All Dead』の歌詞は清々しいほどにストレート。
初期のL'Arc〜en〜Cielの楽曲には耽美的な空気感のものが多い印象を持っていたので、こうした歌詞には新鮮味を感じました。
アルバム一曲目の『In the Air』と続けて聴くとその辺りの落差が凄いです。

歌詞のストレートさよろしく、楽曲の構成も奇を衒った物ではなく比較的シンプル。
イントロから続く基本となるコード進行、リフを土台として、そこから少しずつ変化が加わって行くような展開になっています。
ここで触れておきたいのがところどころで登場するテンションコード。
ブリッジ部分(「消えない想い〜」のところ)を締めくくるCと、サビで何度も挿入されるF#が非常に印象的な響きを聞かせてくれます。
こういった捻りのあるコードが差し込まれることで、比較的シンプルな構成でも単調さを感じることがありません。
むしろここを印象的に聴かせようとしているのがバンド全体の演奏からも感じ取れ、演奏の妙が際立っていると思います。

パートごとの話をしていくと、まずこの曲のベースは動と静のメリハリの付け方が素敵で、とても好みです。
基本となるルートを押さえつつ、ボーカルが抜けたところでカウンターメロディー的なフレーズを弾くサビは特に出色で、その後ギターと少しユニゾンのフレーズを弾いた後でオクターブに抜けて行く展開など、見所たくさん。

ギターはTHEシングルコイルの歪ませた音!と言った音色で終始弾き通していて勢いがあるのですが、そこにアコギのバッキングが絡んでくるのが初期ラルクっぽさを感じます。
『All Dead』という楽曲の持つストレートさ、攻撃性がこのバッキングで中和され、楽曲制作時に意識されたというグランジの方向に寄り切らず、L'Arc〜en〜Cielらしさをしっかりと保つことに貢献しているような印象です。
あと、ギターソロは粘り気のあるトーンで演奏される、これもTHE kenちゃんのギターソロ!といった仕上がりになっているのですが、ソロの途中で開けた雰囲気に鳴る箇所でSOAPの『Every Second,I'm in Romance』を思い出した方いませんかね。
展開が少し似ているからか、このタイミングで『Every Second,I'm in Romance』のあの明るいギターソロがカットインしてきそうな錯覚を毎回覚えてしまいます。

ドラムはsakuraにしては比較的シンプルなフレーズ?なんでしょうか。
個人的にこの曲のドラムで好きなのが、サビ前の16分の刻みが入ってくる箇所から、サビに移るところで一変して4分の大きなリズムに様変わりするところ。
この辺りにもストレートな楽曲を単調にさせないアレンジの妙が込められていると感じます。

個人的にこの楽曲はライブUNDERGROUNDで演奏される可能性もそれなりに高いのではないかと予想しています。
結果や如何に。

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