【未来詩】完全栄養食
一日3粒飲めば必要な栄養が摂れる錠剤
技術は確立され安価で大量生産が可能だ
「仕事の合間に栄養補給が完了するし
無駄な食事の時間を省ける」
なんて言ってるあいつを見ろよ
液晶に向かって何やら打ち込んでいるが
あれこそ無駄なものだよ
必要のないものを
必要だと思い込んでやがる
技術革新は目紛しいが
恩恵は一部の富裕層が牛耳っている
下位の俺らはあいつらの玩具さ
狭い檻に入れられた鶏みたいだ
人工的に産む卵を増やして大量に造るくせに
惜しげもなく大量に捨てる
古くなったってだけで
まだ食べられるし 食べたい人もいるのに
効率がいい(らしい)ルールを破ったら
惜しげもなく捨てられるのは俺らだ
いまや天然の食材をつかって
いちから作る手料理が贅沢品になってしまった
どこを見渡しても加工品ばかりだし
人間は生産の為の道具に成り下がった
休みなく働くロボットのようだ
自立する為の教育は表向きで
裏向きは洗脳にあるらしい
今日も錠剤を飲んで液晶に何やら打ち込む
これはなんだ?
おれはなんだ?
しあわせはなんだ?
遠い昔を再上映する
畑仕事を終えて仲間と麦酒を酌み交わす
テーブルに料理が並び家族みんなで食べる
よく働いたね/笑顔
美味しいね/笑顔
なにして遊んだ/笑顔
えがお/笑顔
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