詩集 韻遊び
はじめに
はじめに一歩を踏みます
一個の心 一声を出します
一斉に俺も僕も私もと多面体は俄然とがなり立てます
行き先成り行きは韻の気分次第 芯を持つ自分に愛される未知の道を願う かつて頭で宣った真っ直ぐな線 実際は千変万化のグネグネ 納得な現在
飽き性は不解消ばかり残すから先々は怪々
威風堂々と畏怖などないように進む人 迷いなどない そんなわけない
迷いの霧 通い慣れた問い 手にする何と何故
見上げる頂き やり遂げる 突いてこい
要らない失敗もいっぱい 一切合切をいただきます
知らない間についた忍耐 心体は深海 長大な展開 潜って下って苦しさも手繰って 狂ったように狂いもせず ロープの先にゴールはないけれど暗い海底に自ら落とした宝箱に触って感じて そして愛して
今は自分語りばかり かかりつけの自我ばかり
書きつけた字が灯の下で証になる
執着の始発点から終着点まで 淫らなまだら模様 いつか 誰か 其処彼処の君の染みに似ていて 個々に此処に居て 凍てつく底で射て
底にて
此処は底 そこかしこに風穴 わなわな身震い 古い思い出を未だに引きずる 来るのを待っていて席まで用意してる希望 死亡通達が来ないので生きてる てるてる坊主あしたも晴れるかな 「ああそうか」今を受け入れる キセルをふかし呑気面で歩く 堕落は見飽きた 見上げたクライマーの手 越えろと声がする スルスルと落ちるのは簡単なのに上るには力がいる 知るのは見えない努力 多く積んだ意志が盤石になる しなる余裕も持ち合わせる 焦るな理想は遠くても怖くても 獲物は眼前の一匹 一気にがっつくな逃げられるぞ 得る物がなくても経験を手にして喜んで帰ろう
暖色感情
喜悦
自分自身に見せる 乗り越えてきた熾烈
憧れと同じ服を着せるのは似せるだけの背伸びで似合わない
行き先を指し示す 幾度も出会う亀裂
不器用な跳躍を自分自身に魅せる 跳び越える度に高みに近づける旅だ 階段を昇る度に喜びを知れる
愉楽
涙のような水滴がつたうグラス
冷ややかさが心地よい
苦楽に苦学し穿つ詩を歌う
液体は揺らぐ 香りを燻らす
魂が昇ってった
不作に暮らすとしても憎まず
口遊む愉楽
感動
乗せられやすい流されやすい心の反応
感動の色は鮮血 偶像には見出せない感応
我が道は山道 見据える眼光
登り切るのは相当な難航
「どうせ出来ない」「無理だ」
「うるせぇばかやろう」強気な反抗
本当に登り切ったら有無を言わせぬ貫禄
物語る言葉に自他が混同する共感
「お前はどうする?」乗るしかない煽動
癒し
休むことも必要ですよ してますか?自愛
ほっと一息 茶でも飲んでいって下さい
ここに敵はいない 白々しい利害はいない
居るのはもはや意外になってしまった慈愛
愛
人生は旅
望もうと望むまいと 味わい尽くす 甘い苦い
人間ばかりの視界 みんな自分が正しくて貶めあう差異 理解はない 作り笑いは嫌い
委細含めて笑いたい
一切合切「愛してる」
言葉は曖昧 他意はない 他愛もない
言えますか 言ってくれますか それが幸い
錆色感情
嫉妬
じっと凝視めてみて
きっと成りたい姿が立っている
やっと踏み出して歩き出せるね
やったね 祝福は気が早いかもしれないけれど
0と1 無と有の違いは月面に刻んだ足跡 なんて言うのは大袈裟かな
怖れ
己の内にある大袈裟な火
そーれ そーれ
熾せよと囃し立てられ
仰せのままに燃え上がる
せっせっと薪を焼べて
己が興した火に怖れる皮肉
不安
不満が普段着になってしまった
右岸が嫌なら左岸へと逃避行
無断で撃ち込む無謀な銃弾
愚案は糾弾されて無惨な始末
こんな筈じゃない 此処じゃない
次は何処に行けばいいのか
嫌悪
堅固な逃避のきっかけはなんだろう
信号は赤のままだ 心臓は逃走闘争反応
言語による歩み寄りはできないか
全校生徒が仲良くなんてできないけれど
せめてLOVE&PEACEを呟くよ
怒り
自他にかける色眼鏡
自我中心と自己中心の衝突
期待外れの裏切りには光の爆弾
したり顔が論戦に勝ったようだ
しかし ニヤリ顔が汚い
憎しみ
慈しみが始めにあったのに
仕組みまれた罠は四苦では足りず
しくじりの意気地なしはシクシク ジクジクと
恣意の時雨で喚いている 泣いている
苦痛
吹雪く風が肌を刺し 飽きもせず様々な苦しみをつくる 傀儡が遊具にされてるみたいだ
狂うのは人間らしいってさ
うふふ♪と上辺で笑い
るるる♪つくる苦痛の詩
悲愴
事相は奇想天外
こちらの意向などお構いなし
悲報に浮かべる死相
匂うのは まだ其処に居そうで
此処に来そうな希望の名残
森の中で
森の中でそよ風に吹かれ坐っています
森の中で鳥たちの声を聴き坐っています
森の中で葉っぱのじゃれあいを眺め坐っています
森の中で命と移ろう時と共に坐っています
一冊の本を読み終えた後の充足感、静寂。そこにはなにもない、空間があるだけだ。思考は寝ぼけ眼で黙りこけている。からっぽのまま、外からの来訪者の声を聴いているのも心地よい。
何もない、何者でもない、何処にもいかない。此処も悪くはないけれど、俺は行かなくては。沈黙を破る言葉を視界から、頭の中から探す。きっかけの断片を見つけたら連想をかき集める。言葉は気ままな旅人さ。気づかぬうちにさっとやって来て、さっと去っていく。旅人の言葉を書き留める。てんでバラバラのようで一貫性があるようなパズルが出来上がる。
森の中でそよ風に吹かれ坐っています
森の中で鳥たちの声を聴き坐っています
森の中で葉っぱのじゃれあいを眺め坐っています
森の中で命と移ろう時と共に坐っています
初めの沈黙は少し遠のいた。書きつける指の熱と、真昼に迫る太陽の熱が活動を促す。拍動が頭に血を送り思考も起きだす。背景に鳥の声を聴きながら続く言葉を探している。
散策を楽しむ園児の明るい声、それとは知らずに可能性に満ち溢れた声。俺も未だその声を持っていると信じたいが疑念も囁く。おまえは遅すぎた、もう手遅れだと。
枯葉がはらはらと舞っている。暗示するのは、終わりか、旅立ちか、繰り返しか。よく来るいつもの場所でも、いつの間にか季節が変わっている事にふと気がつく。色づいた葉が道に落ち踏まれている。見かけなかった蝶々が陽射しのなかを気持ちよさそうに舞っている。どんぐりが地を叩くパーカッション。それら季節の移り変わり。
俺も変わりたいと思う。おまえらは足が早いからいつも置いてけぼりだ。一周して追いつかれる次の季節には、俺は変わっているだろうか、いや、歩みを進めているだろうか。
森の中でそよ風に吹かれ坐っています
森の中で鳥たちの声を聴き坐っています
森の中で葉っぱのじゃれあいを眺め坐っています
森の中で命と移ろう時と共に坐っています
十分に時間を過ごした。書き連ねることにも少し疲れて少し飽きた。さぁ、立ち上がって歩きだす頃合いだ。どこに行こう?なにをしよう?可能性という無限、未来という白紙、広大無辺の空間がある。なんでもあるようで、なんにもない。海原を見ているみたいだ。果てまで見通せるようで、なにも見えない。怖いな。
怖いなの先へ
怖くても歩き出そう。一つの命として産まれて、一つの命として死んでいく。命は共有できない孤独なものだ。寄りかかる神も持たず、頼りにする主義主張も持たない孤独な者だ。盲信、妄執をしない考える者だ。飾りが剥げ落ちてもこの命に持つ肯定は揺るがない。命がどこに運ばれるのか見届けよう。理想の方向へ歩こう。
価値観がバラバラな単数《1》が木立のように乱立している。葉が擦れている、我と我が擦れている。角がとれ丸くなるだろうか。摩擦熱はどんな火を発すだろうか。地獄絵図の山火事、囲みあう焚火、手と手の握り合い。違いを違いのまま共に歩けるなら嬉しい、不寛容なのは息苦しい。内に秘めた力をどこに向けよう。大空に舞う鳥の翼にしよう。檻に閉じこもった自由を解放しよう。
未来なんて見えないから不安になる。
それなら、それを感じながら歩こう。細部を探ろう。言葉にして書きつけよう。頭は心配性な脚本家だ。妄想の物語は本当か?いままで話したことない、倒したことない恐怖。話してみたら挑んでみたら意外と大したことない。
未来なんて見えないから不安になる。それでも種に水をやれば実になる。その前に枯れてしまう事もあるけれど、土壌には目に見えない養分が溜まっている。諦めずにまた種を撒いて水をやれば、いつかは芽になって、花になって、実になる。空想でやった気になるのは勿体ない。苦労して育てて成った実は、コンビニでは買えない、インスタントにはない充足の味がする。
なににもならなくても、何者にも成れなくても、誰からも見向きもされなくても、誰からも評価されなくても、失敗ばかりでも、それでも、それでも、やらないよりはやったほうがいい、そのほうがいい、その方へ行く。
陽射し
あたたかな陽射しよ
物悲しい秋に
黒い服に溜まる熱が心地よい
あたたかな陽射しよ
風に揺れる草と同じく
ここにいるよ
あたたかな陽射しよ
物憂げな心を照らせ
隠された全てを晒せ
あたたかな陽射しよ
近づくと焼かれてしまう
遠い距離ゆえのやさしさ
あたたかな陽射しよ
微かに微笑む曖昧に
囚われて一喜一憂するよ
あたたかな陽射しよ
思考も眠りこける昼下がりだ
今はなにもない
あたたかな陽射しよ
お前の爆発が羨ましくもある
冷めてる人が言うよ
あたたかな陽射しよ
全ては流れ行く
また少しだけ変わった俺らで会おう
欲望の猿
欲望の猿よ ドーパミン中毒者よ
欲しいならくれてやる
好きなだけ貪り果てるがいい
行き先は天国から地獄への急降下だ
刹那の恍惚に浸りながら堕ちてゆけ
忘れられずに渇望する
這い上がっては期待で頭は麻痺して
Highになっては急降下の繰り返し
欲望の猿よ ドーパミン中毒者よ
欲しいならくれてやる
好きなだけ貪り果てるがいい
それでいったい いつになったら満足する?
一つで気持ちよくなれたのに
二つ三つと欲しがって 来る日も来る日も
狂うたのはリミッターと閾値
欲望の猿よ ドーパミン中毒者よ
血走った眼の迷い子よ 火に飛び込む羽虫よ
いい加減に気づいたか追い求める甘美な実などないことに
次から次へと期待に煽られて きりなどないことに
もういい加減に自分でもやめたいのだろう
本能の濁流に溺れ藻がいているのだろう
欲望の猿へ
溺れている猿へ 人間からロープを投げよう
理性から本能へ語りかけよう 猿の脳味噌を人の脳味噌で統御しよう 愚かさと賢さを一つの身体に兼ね備える 何が間違っていて 何をすればいいのかなんて ずっと前から知っている
頭でわかっている答え 抑えがきかず応えられない行動 使い途次第で活きる衝動
簡単に手に入る快感より
苦労して実感する達成感や充足感
酒 麻薬より 書け 早く
受動的な即効性は過ぎるのも速攻だ
能動的な遅効性はなくならない財宝だ
四の五の考えたら六に決行だ 思い立ったら絶好のチャンスだ
四の五の六と積み上げよう 口座残高は増えなくても なんだか情熱は増えるみたい
創りあげたものは証だ やったのは私だ 誇らしい充足が胸をあたためる 寒い日のカイロのようなあたたかさ
自ら創りあげた無形の宝物は消えやしない
増えこそすれ減りはしない そんなもので空っぽの箱をもっともっと埋めたい もっと楽しさを発見して もっと自分に期待したい
誰に何を言われても誇りが胸ににある
誰にだって傷つけられない 無形なんだから
誰に何を言われなくても よくやったよ スゲーよって言いたい
鉱石/宝石
俺らはダイヤモンドの原石
すったもんだあって 擦れて削られて
残ったのは恥じだもんな まぁそんなもんだ
かいただけだと勿体ないから 書いて唾棄だ
明日 今度があるさ ちゃんとやりな
永遠の春 不死の象徴 エメラルド
へぇなるほど知らなかった
ところで ねぇ在ると思う?永遠なんて
それは てめぇら有象無象の妄想
おや 口が悪いですね相当
てめぇはクソ
おやおや まあまあ 知ってるよ
猛る情熱に振るルビはルビー
俺の人生だ好きにやらせてもらいますと恣意
表現だ芸術だのと恥ずかしげもなく自慰
好き勝手に逃げていたら不意に落ちた穴
きちーけど不気味に不死身な楽観者
空の宝石サファイア
首から下げる自由の色
掲げる立派な思想
なれど
口だけが達者でダサいわ
見栄っ張りの口が臭いわ
いつになったら前進するの?
まぁいいや つまらない話しだ
春夏秋冬
青い春
卒業式に舞う桜よ
門出を祝ってくれているのか
泣いてくれているのか
まだ若い青葉の僕ら
やり残した思い出が
名残り惜しそうに校門に立っている
朱い夏
夏フェスにて
Rock 'n' Rollが搔き鳴らす燃えさかる夢
上向く向日葵のように
語っていれば 信じていれば
俺もあの人みたいに成れる気がしてた
挑戦者の美学 濃密な鮮血を流しもせずに
口達者に夢を描いて空想に浸ってた
疲れをビールで流しながら
他人の夢に夢を見る体たらく
白い秋
読書の秋よろしく
知識を得て賢くなった気でいて
ハロウィンの仮装よろしく
真似して強くなった気でいて
ススキと同じく主体性が風に吹かれて
青白い顔があちこちに靡いていた
玄い冬
カサカサに乾いて葉が落ちる
カサカサと踏まれて喚いて
寒い部屋から眺める窓の灯り
クリスマスに年越し
みんな集まってあたたかそう
枯草に雪が被る 真っ白は靴に踏まれて
融けてグチャグチャな黒鼠になった
その下に種は生きているだろうか
巡り/廻り
毎日は 吸って吐いてを 繰り返す
新しく 命は巡り 産み孵る
いつの間に 時間は巡り 無に帰す
人間が 創る概念 思い込み
慇懃な 外面被り 囚われて
勤勉な 固い信心 盲目だ
新しく 時代は巡り 古くなる
変われない 止まった時計 下り坂
遊べない 止まった心 朽ちていく
寂しさを 見つめている目 何もせず
少年が 遊んでいる手 我儘に
いつの間に 歳月巡り 既視を見る
繰り返し 囚われるなよ 遊んでけ
いつしか語らなくなった馬鹿な夢
夢を語らなくなったのはいつから?
馬鹿みたいな夢を馬鹿みたいに向こう見ずに
なぜか俺なら成れると信じていた
妄想と現実の区別もつかずに
夢を語らなくなったのは恥ずかしいから?
外に向けて表現するのが恥ずかしくて 他人に見られるのが怖くて 安全な家に篭っていた
叶わずに挫折したら その時の誰かの非難が怖いから あらかじめ避難しているの?
夢を語らなくなったのは監視の目が怖いから?
大言壮語で努力を先延ばしにしていると
誰かが言うよ なんだ何もしてないじゃん
口だけじゃん どうせできないよ
誰かが内にも外にも居るよ
成し遂げた頂きを見上げても 自分との差に絶望する
下を見ようにも此処が底だと知って絶望する
才能を探してみても見当たらない
切望しても見当たらない欠乏だ なにもない
なにもない いや なにかある
今にも消えそうで消えない希望がある
昔日の夢想家は今も生きている 息づいている
口に出さないだけで今も馬鹿な夢を見ている
エネルギーを外に放つのではなく 内側に溜めている 自分自身と対話している
何処へ向かおうか?何をしようか?何故するの?どのようにやろうか?
視線は馬鹿な夢の方に向いている 黙々と夢の方へ歩いている まだ諦めちゃいない まだ届くかもしれない たとえ届かなくてもその反抗に価値がある 数字の上では大人だが 核心は子供のままに革新
エゴイスト
語るのは自分のことばかり 憚りもせず自分の言葉ばかり そう言えたらカッコいい気もするが 実際には先人の轍を踏む 切先の鋭い心を刺す言葉だ 流れた血の行く先を見届けよう それこそ自分の言葉だ
孤独な個人主義者
不自由な奴隷が自由を唱える
孤高の頂は遠く霞む
チームワークを否定はしない
ただ、おんぶに抱っこが嫌いなだけさ
人との関わり合いは大事さ
ただ、甘ったるい傷の舐め合い馴れ合いは飽きてしまう
自分の利益にならなくとも誰かの為に働く事も勿論ある 0か100 白か黒 右か左ではない
その間の何処かに位置する
時と場合の移ろい 逃避の言い訳
両極を突き抜けるほどの確信も思い込みも胆力もない
他人よりは自分自身に興味がある 内側に広大な空間がある 感じてはいるが上手く言葉に表せていないものがある 視野に入っていて認識できていない謎もあるだろう まずはそれを解き明かしたい 書き残したい 避けている不都合に立ち向かいたい
与えられてばかりの未熟者 与えられるような詩集残したい 韻を踏みたいだけの文章 だけど本当に少しは与えられる奴になりたい
グラスから水が溢れるなら種に零せばいい
空っぽなら雨風を凌ぐ家屋になって受け入れればいい
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