誰にでも起こりうる老人性難聴

老人性難聴とは、難聴の中で老化のほかに原因がないものを指します。主な原因は老化による内耳に起こる生理的な変化にあるとされ、内耳の蝸牛という部分にある音を感じ取る有毛細胞が減ったり、蝸牛の周辺の血管や聴神経などに障害が起こったりすることがあげられます。これらの変化が起こりやすい要因には、騒音や感染症、高血圧、糖尿病、薬剤、食生活、喫煙などが関係があると考えられています。

老人性難聴は、誰にでも起こりうる症状です。個人差がありますが、30歳代ころから始まっているともいわれていて、急速に進むのは60歳代ころです。また、症状の出方には男女差があります。ある調査では、男性は60歳代の後半での発症率が44%で、80歳以上では84%なのに対し、女性は60歳代後半で28%、80歳以上では73%となっていて、男性の方が症状が出やすいことがわかります。

症状の特徴としては、高い音が聞きづらくなること、左右同時に起こること、話し声が聞きとりにくくなること、加齢により進行することなどがあります。症状が進んでくると、テレビの音が大きくなったり、何度も人の話を聞きなおすようになったりし、聞こえが悪いことからコミュニケーションがうまくいかずに孤立してしまうことがあったりします。また、認知症の危険因子となりうるともいわれています。

老人性難聴には、治療法はないといいます。そのため、補聴器で聴力を補って生活をしていきます。適度な運動や健康的な食生活などは予防に有効とされているので、心がけたいことです。また、参考サイトなどから情報を得ながら、老人性難聴への理解を深めることも重要だといえます。