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耳かき専門店で耳の中に”無”を感じた話

皆さんこんにちは。ぬです。
今回の記事は「耳かき専門店にいってきたレポ」です。
耳垢や耳毛に関する話しかしません。大丈夫な方のみ読み進めてください。

また、今回の件は2020年冬に体験したことです。現状のシステムなどとは異なる場合があることをご承知おきください。

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皆さんは耳かきって好きですか。俺は好き。週4回くらいする。
かつては週10回くらいしていて、車に綿棒を積んでいたくらいのヘビー耳かき狂いだったのだが、そんな習慣が災いし外耳炎になってしまって以来、なるべく我慢するようにしている。

耳かきといえばこんなことをよく見聞きする。

「耳かきはかえって耳垢を奥に押し込んでしまう」
「耳には自浄作用があり、耳かきはしなくてもよい」

などなど。なるほど確かに。
人体に開いている穴っていうのはおおよそ内から外へ何かを排出するようにできているはずだ。神が造りし人体の構造に抗うようなマネをしちゃいけない。



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うるせえええええええええ!!!!!!!!!!

確かに耳にはよくないかもしれない!でも耳が痒い!
このストレスは耳の壁を棒でこすることでしか解決しねぇ!
耳の中をこすると快感が得られるのは人体の設計ミスか!?
人が愚かなのか!?神が犯した罪なのか!?
サルに綿棒の使い方教えたら聴覚なくなるまで耳かきし続けるわこんなもん!



…………。

などと怒り狂っていたところ、大阪に「耳かき専門サロン」があるという情報をTwitterで得た。 
更に調べたところ大阪には似たようなサロン、専門店が数店舗あり、アクセスやレビューなどを踏まえて心斎橋にある「ニューロベリア」というお店を予約。

▲大いに参考させていただいた先人のブログ
更新が途絶えているのが残念。

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(余談だが『大阪 耳かき専門店』で検索するとメイド服や浴衣を着た女性がひざ枕で耳かきをしてくれるお店が大量に出てくる。)


本来は一か月以上前から予約が埋まるようなお店らしいが、奇跡的に2週間前の予約に成功。今回予約できた施術コース、なんと40分で6000円である。
40分も耳の中を触ってくれるんですか?という期待と興奮しかない。

ニューロベリアを予約してから当日までの2週間、どうせなら施術前後の振り幅が大きい方が良いと思い、セルフ耳かきを我慢することを決意。
しかしこれがまあまあの生き地獄。

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耳の中で虫が生活しているとしか思えない痒みをこらえ、YouTubeで耳かき動画を検索し始める始末。悟りを目指す者のような禁欲生活の末に予約当日を迎えた。

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当日、マップを見ながらたどり着いたのは普通のマンション。
オートロックの玄関で指定された部屋番号をコール。エレベーターで住人と思われる人と一緒になり「こいつも耳かきか」と思われているだろうなと被害妄想にふけながら所定の部屋へ。

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インターホンを押すと中からジェラピケの店員さんのようなもこもこルームウェアを着た女性が出てきて(もしかして、ここもひざまくらで耳かきしてもらう店?40分6000円ってそういうサービス?)となってしまった。

ジェラピケ先生に案内され部屋へ入る。広々とした1ルームのど真ん中にベッドが置いてあって、その正面にモニター。どうぶつの森プレイ1日目で木をゆすったらベッド出てきたって感じの部屋。


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施術はベッドに仰向けで寝た状態で行われ、施術の間は耳の中を内視鏡のような小さいカメラで映していて、映像を直接モニターで見ることができるようになっている。
(前述した耳かきガチ勢兄貴のブログによると、施術中ずっと耳の中を見れるお店は珍しいとのこと)



「ではまず右耳からはじめますね…」

少し緊張する。耳がこわばる。棒状のカメラが耳に触れる。モニターに耳の中が映し出される―――――。

……… 、、、、、


ん~~~?

なんだ、その、あまり汚くない。なんなら奇麗。
耳かき動画で見た耳は、内部に毛がびっしりと生えていて垢がたくさんあって、視界すら悪いような秘境だったのに…。

耳かきは、耳垢を除去するための導線と視界を確保するためにまず耳毛のカットから始まる。整地を行った後にブランチマイニングをするのと同じだ(耳の中は一本道なのでブランチではないけど)

しかし俺の右耳はほぼつるつるだった。

手前に目立った耳垢もなく、なにより毛が少ない。ほとんど生えていない。
中は鮮やかなピンクで、照らせば奥までよく見えるくらいに何もない。表面には少しぶつぶつとした小さな突起があり、鶏肉の表面に似ていた。

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「奥に見える光っているのが鼓膜ですよー」
鼓膜って光るんだなぁ。ゲーミング鼓膜。とにかく鼓膜まで見えるくらい視界が良い。

先生いわく、耳かきのしすぎで毛が抜けてしまっているのではないかとのこと。そして抜けた毛が生えてくることはないのだとか。
まずはわずかに残っている毛をカットするところから施術スタート。

ところで、皆さんは耳の中にハサミを入れたことがあるだろうか。
耳の中でハサミの刃が何かを刻む音を聞いたことがあるだろうか。
リアルASMR。耳の中でハサミが動き、鼓膜にほど近い場所で刃物が個体を刻む音が響く。耳を伝って首筋から全身にぞくぞくと寒気が走る。

なんかこれだけでも貴重な体験をしたな、なんて思っている内に耳かきタイムへ。耳かきに使用する道具は耳の状態にもよるかと思うけど、俺の場合は薬用ローションがついた綿棒だった。
綿棒で耳の壁を擦られると、きれいに見えていた所から耳垢が沸いて出てくる。何を言っているか分からないと思うし、体験した身としても意味が分からないのだが、こう伝えるしかない。

なにより、とにかく気持ちいい。他人に耳の中を触られている不快感は全くなく、快感と初めての体験による若干の緊張で変な感じ。痛みは全くない。
施術中は綿棒を何本も使い捨て、奥に押し込んでしまった垢を少しずつすくいだしていく。綿棒が耳を擦る感触と映像の楽しさが相まって、右耳はあっという間に終わってしまった。


「左耳しますねー」

カメラで左耳の中を覗く。


き、汚い!耳垢がある!毛が生えている!

それでも動画で見た秘境のような耳ではなく、右耳と比べれば毛が少し生えていて耳垢も表面にあって視認できるなという程度。今からこれがまっさらになるのかと思うと興奮しかしない。

早速ハサミが耳の中に入る。パチパチと、刃が複数本の毛を捉える音がする。右耳の中では鳴らなかった音だった。
耳毛を切るビジュアルの気持ちよさは、ポケモンRSEでヒマワキシティ周辺の自転車では通れない草むらをいあいぎりで開拓していくのに近いものがある(もういあいぎりで草木を切れる仕様がなくなってからウン年経つため、多くの人に伝わらないことを承知の上書いてます)

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視界がよくなった左耳の中には耳垢!これこれこれ!

まるでゆで卵の表面を触るように、出土した化石の土を払うように優しく綿棒を滑らせ、耳にこびりついた垢や皮脂汚れをふやかしていくジェラピケ先生。この際、耳垢をふやかさずに除去すると耳内部の皮膚も一緒に剝がれ出血の恐れがある、というのは耳かき動画からの受け売り。

先人のブログ曰く、ここニューロベリアは他店と比べてもかなり奥まで攻めてくれるということでドキドキしながら期待していたのだが、先生が耳の奥をすっー…とすくうと、かなり大きな(当社比)耳垢の一角がカメラに映った。これこれこれ!

綿棒を変えながら少しずつ手前に押し出される大物耳垢。その全貌がカメラに映ったとき、自分の耳の中にもこんなものが潜んでいたのかという謎の感動を思えた。

耳かきの施術後は耳周りのマッサージを受ける。このとき謎のクリームを耳に塗られ、『注文の多い料理店』でこんなの見たな…という気持ちになってしまったが、マッサージ自体は心地よかった。

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冒頭にもある通りこれは去年の冬の話なのだが、全行程が修了後した後に外へ出ると顔に纏う冷たい外気で判らされてしまった。「今、耳の中になにもない」という感覚である。

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▲当時、耳かきの感想を聞かれて送ったLINE

自分で耳かきをした後には感じないものが確かにあった。耳の中で、焼野原
に風がふーっと吹くような感覚。それ以降、自分で何をしても「無」にならない。なるほど、これは6000円の価値がある。
無いことが在るということに気づくって「無知の知」みたいで面白いね(そうか?)


というわけで、耳かき専門店レポでした。
耳かき好きな方には一度経験してもらいたいなと思います。あなたも耳の中を「無」にしましょう。それでは。



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