どうしようもない僕に母の声がきこえた

皆さんこんにちは。ぬです。
先日、意味も目的もなくYouTubeを見て時間を現実逃避の種にしていたところ、こんな動画を見ました。

ピアノが得意なYouTuberであるゆゆうたが「どんなときも。」を聴きながら耳コピをするという内容です。
槇原敬之が大好きだった母の影響で昔から車やカラオケで氏の曲を耳にすることが多く、この曲は当然知っていましたし、歌詞を見れば歌えるくらいには聞いたことがありました。
しかし、知識のある人の耳を介して「このコードが気持ちいい」「この展開がすごい」と聞くとまた違った発見があり、面白かったです。


余談ですが、作品と作者の人間性や来歴は分けて考えるべきだと考えています。槇原敬之に逮捕歴があっても、川谷絵音が不倫しても彼らは素晴らしいアーティストですし曲の価値も素晴らしいままなのです。

アーティスト活動と薬物について、表現者としての立場からシビアに語る呂布カルマの切り抜き動画。今回の記事には全く関係ありません。



話を戻します。

この動画を見ていると「”どうしようもない僕に天使が降りてきた”を聴いてくれ」という旨のコメントが目に入りました。
きっとこのコメントを送信した方も槇原敬之が好きで、きっとこの曲も名曲なのでしょう。早速聴いてみました。

走る君の髪でシャツで 揺れるたくさんの白い羽根
いっぱい道路に落ちてる ”本当は探してほしい”

どうしようもない僕に天使が降りてきた/槇原敬之(1996年)

曲名は知らなかったしAメロもBメロも初めて聴いた感覚がありましたが、サビに聞き覚えがありました。そのかすかな記憶は槇原敬之ではなく、母の歌声。



あなたは故人の声を覚えていますか?

私の母は12年前に病気で亡くなりました。
亡くなる数年前から闘病生活を過ごしていた母は徐々に一人で出来ることが減っていき、最終的には喋ることも一切できなくなりました。
そのため、母の元気な声を聞いたのはもう15年以上前の事になります。

私が薄情なのか、記憶力が悪いのか、15年も経つと母の声が思い出せなくなりました。正確に表現すると、母の声はうっすらと思い出せるもののその記憶に自信がないのです。昔はいわゆるお母さんっ子だったのに。

写真はいっぱいあるけど動画がない。母の声は私の知る限り世に残っていません。母と過ごした人の記憶にしかない。
でも皆で解答を持ち寄って答え合わせはできません。正解かどうか分からない。

そんな中で、もう20年くらい前のほこりを被ったような記憶の引き出しが開きました。

カラオケで聞いた母の歌声
カラオケの外観
幼い私が歌ったポケモンの曲
一緒に来ていた親戚

引き出しから、あまりにも情報量の多い記憶がじんわりと漏れ出たんですよね。
懐かしくて、もう少し力が加わったら涙も出てきそうで、なんとも形容できない感情が付随しました。

今日に至るまで、心のどこかで自分の中から母の記憶が薄れていっていることへの悲しさやそのことに対する自身への不信を抱えていたのですが、ゆゆうたがきっかけで十数年ぶりに母の記憶と再会したのでした。

「どうしようもない僕に天使が降りてきた」、とても名曲です。
4分の中にストーリーテラー槇原敬之の才能が溢れているので、ぜひ聴いてみてください。


おわり

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