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乞い

ぼろぼろと落ちた透明で、部屋には小さな海が出来上がっていた。何かの手違いで君は私の首の骨を折ってしまったらしい。全く、手違いで殺されるなんて堪ったものじゃない。とはいえ、大好きな君に殺された私は言うまでもなく幸せだし食べ残されたのは私から解放された君で、これは一般的にいうハッピーエンドというやつではないか。なんて素敵なキャスティングなんだろう。ご指名ありがとう。細やかだが拍手を贈りたい。こちらからの拍手がそちらにも聞こえると良いのだけれど…そういえば、私がここにこうして留まっているということは何か心残りでもあるのだろうか?あ、そうか。忘れるところだった。最期に君の口から零れたあの言葉だけはどうにも納得できなかったんだ。一先ず、脚本家の右頬を一発殴ってやりたい。だって、君が私のことを“好きだった”ことなんて一瞬たりとも無いのだから。果たして今も私の目の前で子どもみたいに泣き喚いている君の右の頬に触れることは出来るんだろうかと幽霊になってしまった私は思っていた。

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