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色色
白色で生まれて黒色になったら死んじゃうんだ、と君が言った。炊き立てのご飯みたいだね、と僕は言った。何も描かれていないカンバスみたいだ、と君が言った。どっちも美味しそうだね、と二人して笑った。
白いご飯もカンバスも可愛がられる。どんな色だって映えるからね。きっとさ、大人になると自分の色をすぐに忘れてしまうから、触って撫で回して繋がって色をつけて他の誰かの身体を使って自分を確かめたくなるんだ。だから泣きながら生まれるんだよって君が言った。そう?あぁ、そうか、そうだ。そうだった。そんな油塗れの手で触らないでって泣きながら叫びながら僕らは生まれた。そのうちに、喉が枯れて、何も変わらないことを知って、おはようって言うんだ。今日も君に言うんだ。それは何色かな?君の瞳にはどう映ってる?
白、白、白、水色、桃色、白、白色。
あれれ。ずっと変わらないんだおかしいな。あ、そっか。僕は死なないのかもしれないね。カンバスだけが分厚くなって。色は重なっていかないんだもの。死なないのならそれでいいや。君も死なないのならそれでいいや。君、君…きみ?まぁ、いいや。死なないから考える時間なんてたくさんある。
白、灰、黒、水色、
泣いてた。きみは薄い水色の花を描きながら、ないて無いて、泣いていた。最近雨が多いねって、梅雨は終わったはずなのにおかしいねって。雨?そうだっけ?梅の季節はいつだっけ?と僕は言った。
いった。
痛、
赫、
黒、黒、
泣いてた。おんなのこが泣いてた。薄い水色の花を描いていた。思い出してって泣いていた。
だからきっと僕はこう言うんだ。
「おはよう、何を描いているの?」
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