春の詩 一編

割れた鏡に映らないあなたのこと

いつかあなたに言えなかったこと 後悔してるわ 言いたかったことが溢れてもう 抱えきれないの あなたを苦しめたかもしれない言葉達は今 私を苦しめてやまないの

あなたと過ごした季節が過ぎて行く あなたと過ごせなかった季節を越えて ただひとつあなたと生きた時間を守りながらあなたと過ごしたかもしれない季節を感じているわ この目に映らなくなったあなたをずっと見ている 追い縋ったその先に何もないことなんてとうの昔からわかっていたのよ

眩しい夜を歩く 隣にいたはずのあなたはもういないのね 私はその感覚に慣れきってしまっている 失ったことも思い出せないわ あなたと私のイデアによって私たちはふたりになった 私の居場所はもう作れない

私は抱えきれなくなったそれを見て何を感じるだろう 見えない逡巡や苦悩をこそ見るだろう 割れた鏡は私を映せば一層輝きを増すだろう あなたを失った私のこと 私を見た私はあなたと並んで歩く私を見ていたに違いないわ

次々と降る重い雫は寂しさをたたえて零れた 遠い過去の話でもあの日流した涙と同じ温度の雫が落ちてゆくわ 暗くなった部屋で 輝きを忘れたイルミネーションの前で あなたを想っている

もしも私の思い出にただひとつの理由が許されたならば! まさしく私が私自らを認めてあげられるのならば あなたのことなんて忘れてしまえたのかもしれないわ ごめんなさいね あなたに理由なんてなかったのに 理由が欲しくて今だって連絡先が消せないのよ

無理な金額は自重してね。貰ったお金は多分お昼ご飯になります。