【最終発表】「君を魔女として断罪した恩知らずな豚ども」の「君」は誰?

青髭の言う「君」について、私が見たことがあるものはジャンヌ・ダルク説、テレーゼ説、エリーザベト説、新訳Märchenの先妻説の4つですね。私はジャンヌ・ダルクかそれに近しい存在だと考えています。
Märchenというアルバムは題材となったグリム童話同様、ファンタジーなおとぎ話のいたるところに歴史上の人物や出来事が登場しています(宗教改革、魔女狩り、ルターやミュンツァー、黒死病の流行など)。「青き伯爵の城」の場合は、童話「青髭」のモデルとして有名なジル・ド・レと、彼が精神を病む原因となったジャンヌ・ダルクがこの史実要素にあたると考えてます。
舞台となる国が違う問題に関しては、ジャンヌを見捨てた祖国フランスを嫌い、戦で手にした領地のドイツを新たな本拠地にした。もしくは、あえて説明をしなかったり矛盾があったりするおとぎ話らしさかな…?
でも一番好きなのはテレーゼ説です。ロマンがありますよね。
ペロー又はグリムの青髭という童話は、多くの場合にジルドレイがモデルだとされている。 彼のジャンヌダルクの支援者にして、彼女が魔女として処された後には領民への凶行を働いたとされている男である。 元ネタで考えれば、「君を魔女として断罪した」はジャンヌダルクであることに疑いを挟む余地はないが、それではMarchenのアルバム全体を俯瞰して見たときに些か浮いている。 黒き女将の宿では実在の人物が列挙されるのを差し引いたとしてもだ。 それでは誰が魔女だったのだろうか。 結論から言えば、テレーゼである。堕ちてもランドグラーフの血筋であるし、伯爵と面識があることは不思議ではない。 なにより、贖罪の日々として薬草を煎じて魔女と間違えられるという経緯は、恩知らずに魔女として断罪される話と符合する。 青髭とテレーゼは衣装も同系統の青色であることだし、2人に秘めたRomanがあったと想像の翼を広げるのもよいかも知れない。
青き伯爵の言う「君」は曲中になんの示唆もない。
それはなぜか?「この物語は虚構である」と言われているように、実は嘘だからではないか?
先妻は「夫は私を愛してない」と言うが、不貞発覚後の青き伯爵自身は「愛していたからなのか」と自問している。
実は先妻自身が禁じられら部屋の奥で不貞の罪を重ねていたに過ぎず、その言い訳として自己弁護のために「虚構」を述べたのではないか。
だからこそ、曲中には「君」への示唆が他に一切ないのだ。

- - - - - - ↑二次募集 - - - - -↓一次募集 - - - - - -

根拠は「魔女として断罪された」ことくらいだが、イドイドMärchen通して適当な登場人物が少ないため、テレーゼ説を推したい。
青髭とテレーゼは青がモチーフであるという共通もある。
メルツはテレーゼと父である方伯の子であると解釈しているので、テレーゼは愛した父の面影を青髭に重ねていたのだと思う。
青髭は喪ってしまったテレーゼのことが忘れられないまま最初の妻を娶り、関係の構築に失敗。
青髭は元は信仰に厚い人物だった。しかし多くの命を救ったテレーゼが祈りも虚しく火刑に処されて「神に裏切られた」と感じたこと、最初の妻に不貞をされたことから人・神問わず信じられなくなり、新しい妻に金の鍵を渡す試し行為をしては裏切られ続けて戻れない狂気に陥ってしまう。
その末の発言が「君を魔女として断罪した恩知らずな豚どもを私は許しはせぬぞ!」で、青髭にとっては自分を裏切った妻たちを殺すことは、テレーゼを裏切った神や民衆への復讐と同義になっていたのだろう。復讐というのは歪な愛情の形。

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