観劇記録『女殺油地獄』

オフシアター歌舞伎『女殺油地獄』を観劇しました。

会場は天王洲アイル・寺田倉庫G1-5F 。コンクリ剥き出しの広々とした空間。

舞台の四隅にもコンクリート柱。座席の目の前に剥き出しの配線と消火器。
会場中はスクリーンに凝視すると酔いそうな、でも美しい映像が映し出されていました。

舞台を囲む様に座席があって、私の座った席はどちらかと言えば後方に当たる席でした。作品世界の人々のリアルな生活を覗き見している様な気分にさせられたのが印象的。あとすぐ背後に黒御簾があって、背中で義太夫の響きをビリビリと感じました。

口語に寄った台詞回しで、空間的に声が広がって響くので、耳に響く音も歌舞伎座で観るのとは全く違うものでした。でも歌舞伎役者さんの声は後ろを向いていても、どれだけ広いところへ発していても、全ての台詞が耳にスパンと届いてくるので圧倒されました。凄すぎる…。

伝統の歌舞伎の技を核に持つ、全く新しい体験のように感じました。映像、照明、声の響き、向こう側の観客の顔が見える、背後から義太夫、電子音、至近距離でぶつけられる技巧、etc…。五感で楽しむ空間、とっても刺激的でした。コンクリに囲まれた空間なのに、目の前の人物がリアル過ぎて、江戸時代にやってきてしまったような空気感が在りました。

歌舞伎って、正面から観て絵になる絵画的な部分があると思うんですが、その要素が取り払われるとこんなに人間味、泥臭さ、生活感、息づかいが立ち昇ってくるんだな…と思いました。

圧倒されすぎて纏まらない感想になりましたが、余韻の残る内に書き留めました。観られて良かった。

いろんな関連記事を読んで、中村獅童丈の表現活動にとっても心惹かれています。南座の超歌舞伎も観たい。

『女殺油地獄』5/22〜29は新宿歌舞伎町FACEでの上演になるみたいです。ご興味ある方は是非!

(ただ登場人物の息遣いがリアル過ぎて、殺しの場面めっちゃ怖いのでお気をつけて…。)

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