ハシボソたちの抗争

 その日、穏やかな午後を引き裂いたのはハシボソガラスたちのけたたましい鳴き声だった。
 突然、十か二十か、ともかくそのくらいのハシボソガラスたちが集まって鳴き始めたのだ。よく見れば寄って集って何かをつついている。駆けつけてみるとハシボソガラス2羽が肉弾戦を繰り広げていた。ヒトでいうところの取っ組み合い、という様相が非常にしっくりくる。二羽は激しくもつれあい、お互いの体を足でガッチリと掴みあって激しく闘争していた。一方が一方に乗り上げて攻勢に出ているところだった。肉と肉がぶつかり合う音が聞こえてくるような、生々しい肉弾戦であった。それをとりまきのカラスたちが眺め、野次のごとき鳴き声をあげている。我々が近づくと取り巻きは散ったが、絡み合う二羽はヒトに目もくれずにガッ!ガガッ! と威嚇のためか思わずまろびでたものかわからぬ風情の声をあげながら取っ組み合いを続けていたが、足元に見下ろすほどに近づいたところでようやく解けて飛び去った。そのあとを取り巻きたちが追っていく。一体何があったのか検討もつかないが、劣勢であった個体が何か——ハシボソガラスのムラの掟のような何か——に叛いたのではあるまいか。そしてその謀反者に裁きが下された、我々はその刑の執行に行き合った——咄嗟にこのようなことを考えた。彼らに聞いてみるわけにもいかないから、真実はカラスの濡羽色の中、といったところだろうか。アスファルトの上にはいく枚かカラスの羽が舞うばかりだった。

という大作を試しにバードソンの観察概要に書き込もうとしたのですが書き込めませんでした(そりゃそうだ。やめなさい)ので供養させてください。

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