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インテルがベトナムに巨額投資をウッカリ漏らす?

ホーチミン市は2月7日、インテルが33億円の投資をすると発表。
しかしインテルが「そんなのしりません」と発表し、ベトナム側も情報を引っ込める、というすったもんだがあったようです。

Intel は最近、市のサイゴン ハイテク パークにある既存の施設に少なくとも33億ドルの追加投資を行う計画について、政府関係者と会談した、というリークニュースだったみたいですが、その直後にインテルから

「ベトナムは当社の世界的な製造ネットワークの重要な部分ですが、新たな投資は発表していません」

声明がでてアワワワっとなった様子。すぐにベトナムのポータルでは

「インテル製品ベトナムから33億ドルの追加投資を引き付けることに成功した場合、ホーチミン市は74億ドル相当の海外直接投資を受けることになる」

という文書が修正され、74=>45億ドルに修正されたとのこと。

インテル入ってる

インテルは、ホーチミン市でチップの組み立てとテストの製造施設を運営していて2021 年には Intel Products Vietnam に 4億7,500 万ドルを投資、総投資額は15 億ドルになっています。

実際どうなのか

真相は末端で生活する一市民なのでもちろんわかりませんが、ベトナムの情報はこうした事はよくあります。
ニュースが消える、数時間後に修正される、というのを割と目にします。
日本でもよくある「お詫びして訂正します」っていうアレですね。
このニュースだけ見ると、「おお。中国から移転が加速してる!」といった大きな話に捉える向きもありそうですが、ベトナムの場合違う観点もありそうです。

勝手な予想

  1. 早とちりして出してしまった

  2. 数値を間違えた

  3. 聞き間違えた

とかも普通にありそうです。
というのは、ベトナムで仕事をしていると通訳を介した聞き間違いや勘違いと同じくらいの頻度で、ベトナム人どうしのコミュニケーションロスを目にするからです。
Aさんに「会社の封筒を買ってきて」と、お願いしてた後しばらくして
Aさん:「Bさんにお願いしましたが無かったそうです。」となり
Bさんに確認すると「会社の近くに豆腐は売ってないです」みたいな粒度まであります。(本当)
前提として情報の解像度が圧倒的にちがいます。言う方も聞く方も解像度が低いのです。

ベトナム人の聞き間違いの例

南北が長いため、北部ー中部ー南部で発音や単語そのものがかなり違います。
また、認識の精度・理解がアヤフヤでコミュニケーションロスが発生しやすい前提があります。
気質では日本の様に農耕に根ざす儒教的な古い社会の名残りがまだまだ強く「年上の人に確認するのが気が引ける」「若い女性は年上の男性に聞きづらい」という社会的背景があります。 さらに世界共通で「めんどくさいので、この場は適当に」が入るため、頻繁に伝言ゲームが発生します。

数値の問題

今回のニュースは33億ではなく3.3億ドルであったり、昨年の投資の継続の数字の話が独り歩きしたり、別の会社の投資の話だったりする可能性がありそうです。
というのも、これまでにも何度もそうした間違いを目にしているからです。(もちろん自称としては関連はありませんが(笑)

ベトナムではお金と日付は外国が絡むと問題となりやすい事情があります。
日本円1円は現在のレートで0.0056 ベトナムドン。 1万円は1,800,000ドン(180万ドン)。 100ドルは236万ドンです。
ドルと円の変換もそこそこややこしいですが、100ドルが236万とか直感的に考えるのは難易度が高く、間違いに気が付きにくいのが常態化します。

またベトナムの日付は 12, 01, 2023 のように日本とまるっきり逆です。
英語では  January 12 2023 隣、これも順番が違いますが、ベトナムの英語の記事を見るとこの並びが間違っていることがよくあります。

ベトナム人どうしても間違えるのに外国の要素が入ると間違いだらけになりやすい環境があるのです。常に間違いがある環境にいると、人間は「ちょっとくらい大丈夫」になるので益々適当になるのだろうな、というのが見ていて伝わってきます。

忖度するムードなニュース

ニュースに関しては免許制なだけでなく、中央から発表されたり許可されたものが配信されています。これは共産党1等独裁なので仕方ないでしょう。
ですので明らかに「ムード」を重視している情報がふつうです。
最近ですとベトナム政府の関心・目標としてコロナ後の経済立ち直りのための観光(インバウンド収入)や、国内景気鼓舞のためか「益々すごい」というニュースが目立ちます。 日本のメディアは批判ばかりする、という批判も目にしますが批判がないのは流行り不健康かな?と思うようになりました。
今回のニュースでも、担当者が「景気の良さをアピールしなくちゃ」と勇み足になった可能性もありそうです。

日本と似た所

ニュースに関しては日本と似た所があります。それは「欧米の人がこう言ってるからまずいんじゃないの?」というものです。

例えばこのニュースでは、ベトナムは問題を解決せずに観光再開 と市民や地方政府に「圧」をかける空気を作っているかのようです。
実際の所、以前から欧米観光客には不評で観光リピート率はASEAN最低と言われています。理由は単純で不衛生であったり警察の賄賂やタクシーボッタクリなど、社会信用がないためでしょう。 この記事でも主な指摘はゴミなど衛生問題ぼったくりです。

 この点に関しては住んでみても、「世界一清潔で安全。食事も安くて美味しくすごすぎる!」と絶賛される日本とは真逆なのでわかりやすいです。
政府としてはいきなり国の下水を完備させて清潔に、というのは無理で、このような「空気」で少しでも改善、くらいしか手立てがないのでしょう。

ベトナムのニュースから学べること

真実はさておき、インテルの記事は「外国の資本が殺到、ベトナム大人気」をアピールしたかったことは明白でしょう。 海外に住むと「正しい情報」を得ることは死活問題になる場合もあり神経質になっている部分もあるかもですが、日本でもきっとこうした事は多いのだろうなぁ、なんて思うようになりました。


最後に

こちらは「ニュース メディアを信頼している成人の割合」です。日本は44%、中国ベトナムはリストに存在しません(当たり前)
ちなみにアメリカは票の最下位22%。 大統領自らフェイクニュース!と言い続けていましたが…良く言えば「好きなことを信じて言える」ということでしょうか。




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