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プロライセンスと「PROJECT M」の影響を考える


プロライセンス認定

「2021 荒野CHAMPIONSHIP」にて上位4チームを、公認プロチームとして認定した。

本大会では、1位から順に「DG-Core」(現:Sengoku Gaming)、「Carla」、「αD Aves」、「Flora」、「XeNo」......という結果になった。


内2位の「Carla」はチームが法人化していなかったため、5位の「XeNo」が繰り上げされ、「Sengoku Gaming」「αD Aves」「Flora」「XeNo」が「2021年度第一公認グループ」に認定された。


"第一"公認グループということは"第ニ"公認グループ認定の可能性もある。

仮に来るとすれば、「2021 荒野CHAMPIONSHIP」2位の「Carla」が有力だ。

彼らを母体とした法人化チームが確立されれば話は一気に進むだろう。

さて、プロライセンス候補として忘れてはいけない条件にリーグ戦実績がある。

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上記の表では"3大リーグでのKO回数総合TOP5"をまとめた。

先ほど名前を挙げた「Carla」はTOPタイの23回で、ASGLではKO回数1位だ。

また、FFLでのKO回数1位の「ASG GilL」もTOPタイであり、KWLでのKO回数1位の「ASG 祝祭✿」は22回で4位に位置付けている。

そして、既にプロライセンスを獲得している「XeNo」と KO回数が並ぶ「FL Mantis」を含め、表で取り上げたチームは"第二"公認グループ認定の候補と予想される。


プロライセンスとは?


プロライセンスは1年契約年間最大2500万円の戦隊投資がされる。

資金は規約範囲内であれば、運営資金、給料として使用出来る。
また、公式と連携したゲーム内外での活動、イベントも行い知名度を高められる。

早速、プロライセンスを取得した4チームは8月8日から始まる「荒野ELITE LEAGUE(以下:KEL)レジェンド戦SEASON1 DAY1に参戦する。

KELは公式大会のリーグ戦であり、レジェンド戦20チームとチャレンジ戦10チームで毎週最大10チームの交換が発生する。

そして、レジェンド戦の戦績上位20位のチームが決勝戦に進出する。


「Sengoku Gaming」の参入


7月27日、「Delta Gaming」は活動を終了し、8月2日「Core」を母体としてPro e-Sports team 「Sengoku Gaming」が「荒野行動」に参入した。


荒野行動部門から別タイトル部門を設立したチームはいくつか存在するが、既に他部門が設立されているチームの参入は初めてとなる。


プロ初参入なのはなぜか


「荒野行動」は11月で4周年を迎えるにも関わらず、今回の「Sengoku Gaming」の参入まで他チームが参入することはなかった。

ポイントは3つある。

①健全性
②世界的知名度
③資金援助


①健全性

参入に踏み切れなかった主な理由がこれだ。

煽り・暴言・誹謗中傷・晒し等の非道徳的行為がいわば文化のように選手間に浸透していた。

選手自身、何か不利益が発生すると煽り・暴言をして優位性を高めようとする。

また、e-Sports全体で問題視されている「死体撃ち」も頻繁に行われていた。

それらが繰り返されることで異常が常識になってしまっていた。


何が問題かと言うと、例えば実力のあるチームにスポンサー企業を抱える運営が付いたとする。

しばらくして前に出る機会が増えていくと、過去の発言や行いが洗われる場合がある。

その過去が企業イメージを損なう可能性があると、企業としては面白くないためスポンサーを辞めてしまう。最悪の場合、運営・チームまるごと活動終了となり、選手生命が絶たれてしまう可能性がある。

つまり、荒野行動界隈に非道徳的行為のイメージが付いたため参入を見送っていたということだ。


②世界的知名度

運営がチームに付くメリットは企業をより広く宣伝することで企業からスポンサー料を貰い、運営資金にすること。

またチーム自体の知名度を高め、新規企業のスポンサー獲得、新イベント等の活動拡大が挙げられる。

従って、実力があるチームに付くのは必然であるが、前提としてそのタイトルがどれほど影響力があるのかが大切である。

日本の一部地域で人気のゲームと世界の誰もがプレイしているゲームでは後者の方がより広く、より多くの人の目に留まる。

世界的に人気であることはスポンサーに直結する重要な要素なのだ。

プレイ地域で言えば中国・日本で占められるため世界規模ではない。

しかし、選手のTwitterフォロワー数や配信の同時接続数が他タイトルより圧倒的多いことからエンゲージメント数から影響力があるとも言える。


③資金援助

e-Sportsはマネタイズが難しい。

大会賞金・スポンサー料・グッズ代がメインとなる。

チーム運営の活動の他にゲーム運営から巨額の資金援助があれば経営戦略も立てやすくなる。

今まではプロライセンスはおろかチームに対して大会賞金以外の資金支払われることは無かった。

そこが痛手だったというわけだ。


プロチームの動向


さて、プロライセンス制度が実現し、運営からの期限付き資金援助が与えられたこと、他タイトルに対し圧倒的なエンゲージメント数を誇る界隈であることから①健全性以外はクリアしたと言えよう。


恐らく「Sengoku Gaming」は①健全性には今後教育・指導しながら対策をしていくつもりなのだろう。

だからこそプロライセンス制度で③資金援助をクリアした今、参入を決めたのだ。


他チームも①健全性に関して、今後はSNS脳が活用・発言等を監督下に置いて指導していくから良しとするか、過去は絶対グリーンな方がいいから否とするかで変わるだろう。

ただ、プロチームの参入で他タイトル部門を持つプロチームが参入するハードルが下がったのは間違いない。

今後、世界的なチームが参入し、プロチーム「戦国時代」に突入してもおかしくないのではないか。


「NetEase」の評価は上がったけれど


さて、図らずも評価好転した「荒野行動(開発元:NetEase)」であるが、荒野行動に続くヒット作を狙った"あるアプリ"で争論となった。


5v5のFPS 「Project M」である。

ゲーム性・キャラクター・マップ・スキルほぼ全てが「VALORANT」を模倣しているようなつくりだ。

実は「VALORANT」は当初、「Project A」というタイトルで発表していたため、タイトルから寄せてきているのではないかとも見れる。

また、キャラクターのスキル・アビリティが「VALORANT」・「APEX」と酷似しているとの声も多くある。


パクリの何が問題なのか

パクリ(以下:オマージュ)した作品が本家より先にリリースされてしまうとする。

すると、消費者はある程度のクオリティが担保されればプレイしてしまうことから、後に現れる本家にハマらない可能性がある。

そうすれば、本家に入るユーザー利益減る恐れがある。

過去にも、「LEAGUE OF LEGENDS Wild Rift」のリリースより先に「Mobile Legends:Bang Bang」が台頭したことや、「PUBG Mobile」のリリース前に「荒野行動」が人気を博した前例がある。

過去の事例から見ても、オマージュが本家を上回ってしまうことは少なくない。

だからこそ、「Valorant Mobile」の開発発表している今、「Project M」に先を越されるのは「Riot Games」からすれば良くないニュースと考えられる。


そしてさらに問題なのは、競技シーンに力を入れる「Riot Games」の意図に反して、"オマージュゲーム"は、競技シーンをなおざりにしてしまうことだ。

ゲームは開発費用より利益額を増やす必要があるが、「Riot Games」はe-Sportsを念頭に置き、マルチメディア展開を図り広域的にビジネスしていく方針にある。

一方で、"オマージュゲーム"をリリースする会社はそもそも参考にするものがあるため、開発費用が抑えられる。あとは利益額を増やすためにユーザーを先に取り込んで、ガチャやイベントで課金させてしまえばいい。

「うちのゲームはe-Sportsだ。」と喧伝する意思がなければe-Sports事業に手も出さないだろう。


つまり、オマージュが先に出てしまうことは、

①見込みユーザーが取り込まれる。
②利益額が減る。
③競技シーンがなおざりになる。

という問題がある。

「Project M」のリリース情報が出たからと言って、「Valorant Mobile」の開発を早めることは出来ないだろうから、「Riot Games」の後出しの施策に注目したい。

最後に

「NetEase」は「荒野行動」でプロライセンスと公式大会・公式リーグ戦の運営によりe-Sportsの意味では高評価である。

オマージュという意味では否定的な意見が目立つが、「荒野行動」で爆発的ヒットを出している企業である。

何より二番煎じで勝てるということは、強引にユーザーを取りに行ける力のある企業ということだ。

彼らのノウハウで「Project M」も成功に収めると、また評価が変わってくるかもしれない。


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