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叙述トリックの傑作、『恐るべき太陽』は、読者を華麗に欺く。

おはようございます。フルタイムワーママ、みりーほです。今日も愛溢れる一日になりますように。

先週、冷えが原因か、胃腸炎になってしまいました。仕事を早退して病院へ行き、薬をもらって現在は少し落ち着きました。

体調は不調ですが、待合室では、ここ何日か忙しくて読めていなかった『恐るべき太陽』を読み進めることができました。

2024年版『このミステリーがすごい』海外部門第7位、フランスの作家、ミシェル・ビュッシ著『恐るべき太陽』は、帯に「クリスティーへの挑戦!」と記されているように、アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品と言われています。

そして、著者のビュッシ氏は、叙述ミステリーの巨匠と言われているそうです。叙述ミステリーと言えば、皆さんは、どんな作品を思い浮かべますか?私は、クリスティーの『アクロイド殺し』、スワンソンの『そしてダスティンは死んだ』、歌野晶午『葉桜の季節に君を思うということ』、東野圭吾『ある閉ざされた雪の山荘で』などが思い浮かびました。

さて、話は『恐るべき太陽』に戻りますが、『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品なんて、もう、クリスティーファンにはたまらない作品ですよね。

ポリネシアのヒバオア島を舞台に、フランスのベストセラー作家ピエールとそのファンである5人の女性が「創作アトリエ」のために集まったのですが、ピエールが失踪し、女性が次々と殺されてしまいます。

一人、また一人と人数が減っていく展開が、まさに『そして誰もいなくなった』なのです。そして、一人称の語りは、クリスティーの叙述ミステリの傑作『アクロイド殺し』をほうふつとさせます。

ポリネシアの異国情緒あふれる自然描写と、島の住民達のミステリアスで魅力的な人物像、作家志望の登場人物達による詩的な文章が相まって、なんとも不思議な夢の中にいるような気分になる、そんな珍しいミステリーでした。

そんなふんわりとした雰囲気とは裏腹に、序盤から漂う不穏な空気は、後半に向けて一気に加速していき、最後は、「だまされた!!!」と、思わず叫んでしまいました。

フランスでは叙述ミステリーの巨匠と呼ばれている作者の、とんでもない叙述トリックに、度肝を抜かれました。

早速、読了後、著者の『時は殺人者』を購入したのですが、勢いで買ったため、下巻だけを買ってしまいました。そんな間抜けな私です。

クリスティーファンのみならず、叙述トリックファンの方は絶対に楽しめると思います。『恐るべき太陽』をおすすめします。
最後まで読んでいただきありがとうございました!

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