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『サラバ!』西加奈子の自伝的傑作。あらすじと登場人物と感想

西加奈子さんの小説『サラバ!』いつの間にか引き込まれました。

読み始めは、はっきり言って面白くありません。しかし、読めば読むほどハマる。
噛めば噛むほど深みが味わえる小説だと思います。

読みすすめると西加奈子さんの自伝的作品だと感じますが、主人公の圷歩(あくつあゆむ)は男性です。
当たり前ですが西加奈子さんは女性なので、本人の物語ではないとは思います。

しかし、イランやエジプトで幼少期を過ごすところは西加奈子さんと同じ。自身の半生をフィクションと架空の登場人物で創作した物語なんでしょうね。

海外転勤族ならどこにでもありそうな物語ですが、読んでいるうちに読者は夢中になります。そこに自分の人生を見つけ、感情移入してしまうでしょう。

さて『サラバ!』の書評に入る前に、あらすじと登場人物を掲載しておきます。

□あらすじ

僕はこの世界に左足から登場した――。
圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。その後、父母、そして問題児の姉とともに、イラン革命のために帰国を余儀なくされた歩は、大阪での新生活を始める。幼稚園、小学校で周囲にすぐに溶け込めた歩と違って姉は「ご神木」と呼ばれ、孤立を深めていった。
そんな折り、父の新たな赴任先がエジプトに決まる。メイド付きの豪華なマンション住まい。初めてのピラミッド。日本人学校に通うことになった歩は、ある日、ヤコブというエジプト人の少年と出会うことになる。

Amazon商品ページより出典

□登場人物

・圷歩(あくつあゆむ)主人公
・圷貴子(あくつたかこ)歩の姉
・圷貴子(あくつなおこ)(旧姓 今橋)歩の母
・圷憲太郎(あくつけんたろう)歩の父
・祖母(今橋家の母親)
・今橋好美(いまはしよしみ)歩のおばさん
・今橋夏枝(いまはしなつえ)歩のおばさん
・矢田のおばちゃん 地域のリーダー的存在。
・ヤコブ エジプトでの僕の親友。
・須玖(すぐ)高校時代の歩の親友。


西加奈子の『サラバ!』は作り話か?

どれも傑作だと思いますが、あえて説明はしません。ていうか、説明は不要。ご自分で読んで楽しんでください。

西加奈子さんの『サラバ!』は、基本的に作り話(フィクション)です。しかし、ラストで主人公の圷歩(あくつあゆむ)が話しているように「僕が男だとは限らない…」

もしかして…

西加奈子さんが圷歩(あくつあゆむ)を通して、自分の姿を描いているんじゃないでしょうか?

幼少期に、イランやエジプトで暮らしているところも同じ。帰国後、大阪で暮らすところも同じ。なので、完全なるフィクションではないはずです。
実話を大げさな物語にしたり、願望もあるでしょう。

中には、実話そのままの場合もあると思います。

西加奈子さんは『サラバ!』を書いていて、本当に楽しかったはずです。ひょっとしたら、自分の作品の中で一番好きかもしれませんね。

※『サラバ!』について、西加奈子さんがインタービューに答えています。ぜひご覧ください。

⇒ 『サラバ!』文庫化! 西加奈子インタビュー

自分が信じるものを誰かに決めさせてはいけない

この言葉は、主人公の圷歩(あくつあゆむ)の姉、圷貴子(あくつたかこ)が、歩に贈った言葉です。

これって大事なことですよね。日本においては、常識だとか、人と違うことをしないとか、いろいろあります。
それがすべてダメとまでは言いませんが、常識的な人間になっても大成しません。

いやいや、そんなことはどうでもいいです。

世の中の常識通りに生きると、やりたいこともやれず、人生なんてあっという間に過ぎ去ってしまいます。
我慢に我慢を重ねて常識人になるよりも、やりたいことをやって完全燃焼する人生の方がよくありませんか?

あなたも自分の人生について、もう一度考えてみてください。
『サラバ!』を読むと、自分の人生は自分で決めたくなります。

サラバはこんな人におすすめ

私にとって『サラバ!』は傑作中の傑作なんですが、人はそれぞれ合う合わないがあるはずです。
そこで考えました。『サラバ!』が、どんな人におすすめなのか考えてみます。

・西加奈子さんのファン
・海外転勤族の家族
・人生に迷っていて、何をするべきか悩んでいる人

人生の方向性を見失っていたり、漠然と生きているだけだったり、そんな心当たりがある人には絶対におすすめです。
私はアラフィフなのでさすがに人生に迷ってはいませんが、目が覚めたというかヒントを貰えた気がしています。

あなたも『サラバ!』を読んで、人生のヒントを見つけてください。

西加奈子のおすすめ本

『サラバ!』を読み終えた人には分かっていただけると思いますが、西加奈子さんの文章は読むものを虜にします。
そこで、この機会に西加奈子さんのおすすめ本を紹介することにしました。

ランキングは付けずに、私が個人的に好きな本3冊。

まとめ

今回は、西加奈子さんの『サラバ!』の書評を書きました。
あらすじを読むだけでは物語の本筋は分かりません。なので本編を読んで、自分探しをしてみてください。

『サラバ!』は、自分が信じるものを探す本だと思います。
信じるものを誰かに決めさせるのではなく、自分自身で信じるものを探しましょう。

『サラバ!』は人生を見つめ直すのに最適な本です。超絶おすすめして、記事を終わりにしたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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