『嗤う淑女』このシリーズは怖すぎる！ふたたび嗤う稀代の悪女
10年くらい前（調べてみたら2013年）、『さよならドビュッシー』という映画を見ました。
橋本愛さんが主演で、これは音楽映画だな…というくらいの感覚で見ていました。
原作は中山七里さん…なるほど、覚えておこう。そのときはそんな程度でしたね。
時は流れ、noteに読書アカウントを開設するにあたり、中山七里さんを思い出したわけです。
そして、中山七里さんを調べていくと…『嗤う淑女』を知ることになったんです。
表紙とタイトルを見て、読むことに決めました。（どう見ても面白そうだった）
幸か不幸か『嗤う淑女』を読み始めると…怖い、エグい、グロい。
読まなきゃよかった…マジでそう思ったんですけど、やっぱり先が気になる。
ドンドン先を読んでしまう。怖いけど、めっちゃ面白いんです。
稀代の悪女「蒲生美智留」は怖いけど、彼女の世界にハマっていきました。
シリーズ通して、震えるほどの怖さが継続されます。
話の辻褄が合わなかったり、強引に話を帰結することが多いですが、そんなことは二の次です。
物語自体の面白さと、蒲生美智留の持つカリスマ性だけで十分。
話の整合性など関係なく、無条件に沼にハマる物語です。
怖すぎるシリーズ『嗤う淑女』
『嗤う淑女』
嗤う淑女シリーズの第1作『嗤う淑女』
すべてはここから始めりました。
□あらすじ
徹夜確実！
女神なのか、悪魔なのか――
中学時代、いじめと病に絶望した野々宮恭子は
従姉妹の蒲生美智留に命を救われた。
美貌と明晰な頭脳を持つ彼女へ強烈な憧れを抱いてしまう恭子だが、
それが地獄の始まりだった――。
名誉、金、性的衝動…絶世の美女に成長した美智留は
老若男女の欲望を残酷に操り、運命を次々に狂わせる。
連続する悲劇の先に待つものは？
史上最恐の悪女ミステリー。
□登場人物
蒲生美智留（がもう みちる）物語の主人公。
野々宮恭子（ののみや きょうこ）第一章の主人公。美智留の従姉妹。
鷺沼紗代（さぎぬま さよ）第二章の主人公。恭子の高校時代のクラスメイト。
野々宮弘樹（ののみや ひろき）第三章の主人公。恭子の弟。
古巻佳恵（ふるまき よしえ）第四章の主人公。
読み終わって感じたのは恐怖。そして疲労でした。
あまりに集中しすぎたため、疲れ切っていたんだと思います。
『ふたたび嗤う淑女』
嗤う淑女シリーズの第2作『ふたたび嗤う淑女』
前作に勝るとも劣らない恐怖の物語です。
□あらすじ
巧みな話術で唆し、餌食となった者の人生を狂わせる――
稀代の悪女・蒲生美智留が世間を震撼させた凶悪事件から三年。
「野々宮恭子」と名乗る美貌の投資アドバイザーが現れた。
国会議員・柳井耕一郎の資金団体で事務局長を務める藤沢優美は、
恭子の指南を受け、不正運用に手を染めるが……
金と欲望にまみれた人々を弄ぶ恭子の目的とは！？
「野々宮恭子」を演じる蒲生美智留。今度は宗教法人や政界を相手に仕掛けます。そして、まさかのどんでん返しが…
無理矢理に辻褄を合わせている感じはありますけど、それを差し引いても余りある面白さです。
『嗤う淑女 二人』
嗤う淑女シリーズの第3作『嗤う淑女 二人』
登場人物を見て仰天！
有働さゆり…『連続殺人鬼カエル男』とリンクするのか？
□あらすじ
最恐悪女が最凶タッグ！ これはテロか、怨恨か？
真相は悪女のみぞ知る――。
戦慄のダークヒロイン・ミステリー、衝撃の最新刊！
高級ホテル宴会場で17名が毒殺される事件が発生。
犠牲者の一人、国会議員・日坂浩一は〈１〉と記された紙片を握りしめていた。
防犯カメラの映像解析で、衝撃の事実が判明する。
世間を震撼させた連続猟奇殺人に関与、
医療刑務所を脱走し指名手配中の「有働さゆり」が映っていたのだ。
さらに、大型バス爆破、中学校舎放火殺人……と、新たな事件が続発！
犯行現場には必ず、謎の番号札と、有働さゆりの痕跡が残されている。
さゆりは「ある女」に指示された手段で凶行に及んでいたが、
捜査本部はそのことを知る由もなく、死者は増え続ける一方で、
犠牲者は49人を数えるのだった……。
第3作目にして、まさかの有働さゆり。2つの物語がリンクするのか？
詳細は本編で確認してほしいのですが、良かれ悪しかれシリーズ最大のスケールです。
嗤う淑女シリーズの主人公「蒲生美智留」
嗤う淑女シリーズを通しての主人公「蒲生美智留」
彼女はなぜ、稀代の悪女になってしまったのでしょうか？
ネタバレになってしまうので詳しくは語れませんが、最大の要因は子供のころに体験した母親の失踪。そして父親から受けた虐待でしょう。
容姿は端麗、頭脳も明晰。そのため自尊心は人一倍強かったはずです。
だからこそ、自己防衛のため他人を攻撃するようになってしまったのではないでしょうか？
他人を攻撃することが当たり前になって、日常化していった。憎しみとかもなく、ただ日常化してしまった。
こうして稀代の悪女「蒲生美智留」が誕生した、と私は考えています。
なぜ「笑う」ではなく「嗤う」なのか？
嗤う淑女シリーズでは「笑う」ではなく「嗤う」が使われています。
調べてみると…
「笑う」⇒喜びやおかしさから顔が表情がほどける
「嗤う」⇒相手を馬鹿にして、あざけりわらう
なるほど、嗤う淑女シリーズにフィットした言葉です。
正直言って、美女に嗤われてみたい気持ちが男性にはあると思います
稀代の悪女「蒲生美智留」の目的は何か？
稀代の悪女「蒲生美智留」が犯罪に手を染める目的は何でしょうか？
①金品目的
➁過去のトラウマから逃れるため
③犯罪が日常化してしまって目的は無い
金品目的ではないでよね。もちろんある程度の報酬は必要ですけど。
過去のトラウマに関しては、絶対にあると思います。なので、そこから逃れるために他人を傷つけている…
しかし、もはや現在の蒲生美智留に目的など無いと考えています。
犯罪があまりに日常化して、当たり前のことなんじゃないでしょうか？
なぜか蒲生美智留に惹きつけられてしまう
稀代の悪女「蒲生美智留」私は本当に怖いです。
本を読むのをやめようと思ったことも多々あります。
それでも先が気になって、ページをめくってしまうんです。
日本全国、私と同じ症状の人は多いんじゃないでしょうか？
怖いのに惹きつけられてしまう…まさに魔性の女です。
蒲生美智留という沼にハマってしまって抜けられそうにありません。
まとめ
今回は『嗤う淑女』の書評を書きました。
嗤う淑女シリーズとして3冊のタイトルを紹介したんですが、どの本も怖い。
シリーズが怖い原因、そして面白くてページをめくる手が止まらない原因は…
すべて稀代の悪女「蒲生美智留」です。
そして、物語に有働さゆりが登場してきました。『連続殺人鬼カエル男』とリンクするのか？
今後も目を離すことができません。
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