重馬場適性の数値化を目指してみる

netkeiba.comのデータベースを何となしに見ていると、面白そうな項が見つかりました。それは産駒一覧の「コース・馬場別」の部分。

ページ説明

データの元になる部分自体は、別にここからいつでも見ることができます。
これを使えば、種牡馬毎の重馬場適性を測れるのはなかろうか?と思いつきました。もしかしたら他にやってる方はいるかもしれませんし、私が思いつくぐらいだから誰かやってるだろうというのはありますが、やってる記録を見たことはないので、小論文として提出しようと思った次第であります(どこに提出するつもりなのでしょうか。それに小論文としてならもうちょっと文体を整えると思います)。

で、ここからどのように適性を数値かするか?という議題になります。
私が考えたのは、まず、良馬場と良馬場以外での勝率・連対率・複勝率を計算し、
(良馬場以外) / (良馬場)
を出せば、雨や雪で馬場が悪くなった時に良馬場からどれぐらい勝率や連対率が減衰するかを求められるのではないかと考えました。
稍重にもならないぐらいだけど馬場が荒れた良馬場なんてのもありますが、それはデータとして残らず、知りようのない範囲になってくるので考慮から外します。
また、稍重・重・不良馬場を一纏めにしていますが、これは、それぞれの馬場に分けるとそれぞれのデータの個体数が少なくなって揺らぎが出ているように見えたことと、意外にも誤差程度の差しか見られなかったことに因ります。

キンカメ芝

例えばこの父キングカメハメハの芝の表。馬場が悪くなるにつれて成績がどんどん良くなる(もしくは悪くなる)なら説明はつきますが、稍重や不良は普通だけど重馬場だけはダメ、なんて説明のしようがありませんよね?こういうのをデータとして見るのを嫌って一纏めにしてしまった、ということです。
とか、

ロードカナロア芝

これはまだ産駒3世代しかいないロードカナロアの芝の表。たとえこれが良いにせよ悪いにせよ、特に不良馬場のように、この程度の母体しかないデータを以って良い悪いを語りたくないという実情もあります。

話を戻しましょう。
このようにして取った数値から、先述の通り、
(良馬場以外) / (良馬場)
を算出して表にしました。対象は2019.10.18時点でのリーディング上位から20頭。もう死んでしまってて以降データを利用する機会が減っていく種牡馬や、まだ2~3世代しか出ておらずこれからの推移に注視すべき種牡馬もいますが、一切考慮しないことにしています。

画像4

一応画像にも表記していますが、芝だとこのような数値となっています。
このままだと流石に比較しづらいので、これが平均(あくまで表中の平均であり、全種牡馬の平均ではありません)とどれぐらい離れているかを求めます。計算式は、
(平均) - (各種牡馬の数値)
で算出しています。

父芝の数値

だいぶ見やすくなったのではないでしょうか。
一応小数点3位までは出していますが、小数点2位以下の差は誤差とみて良いと思われます。
これでどこに着目するかはその人次第ではありますが、こうして見ると、色々と見えてくるものはあるのではないでしょうか。
推測することしかできませんが、ヘニーヒューズ・サウスヴィグラスの極端な数値の悪さを見ると、ダート短距離種牡馬は芝の重馬場は弱いのかも?という仮説を立てると、こないだ導入されたドレフォンとかは芝の重馬場では買わない方がいいのかも?という予測を立てることもできそうです(そもそもドレフォンは現役時がダート短距離だっただけで種牡馬としてもダート短距離を主戦場にするかはわからないので、推論の上に立つ推論の楼閣でしかありませんが)。
他だと、良馬場でこそと言われるディープインパクトは言われてる通りあまりいい数値にはなっていないなとか、パワー型っぽいのをそれなりに出す印象のあるステイゴールドやキングカメハメハが意外と別によくなかったりするところでしょうか。
悪いところばかりではなく良いところも見ていくと、産駒を既に多く出しているところでは、ハーツクライ、ダイワメジャー、エンパイアメーカー、ブラックタイド、スクリーンヒーローはなかなかにいい数値になっていることから、重馬場で買いの種牡馬と言って良いと思われます。
産駒の数の少ないところでは、オルフェーヴルがトップの数値を出しているところが目につきます。推移を見ていきたいところではありますが、今のところはこれも重馬場で買いでしょう。また、ロードカナロアも良いめの数値になっています。

ついでにダートも見ておきましょうか。

父ダートの数値

途中計算は全て同じです。ダートでも同様のことを行うと、このようになりました。
はっきり言ってしまうと、大幅に良いのも極端に悪いのもあまりいない印象です。
良馬場に続いてエンパイアメーカーは良いです。まさかの重馬場御用達種牡馬誕生?
キングカメハメハーロードカナロア、ルーラーシップ親子が良さげな数値になっているのを見ると、キングカメハメハ系はダート重馬場でプラスに見てみたくなります。子の方は世代数がまだ多くないので推移を見ていく必要はありますが。


で、これを使うとして、どこで使うべきか?ということになりますが、2歳戦のように、それぞれの馬のデータが少ないときに参考にしてみるのが良いのではないかと思われます。古馬戦だと、このような包括的なデータよりは馬単体の情報の蓄積の方を重視すべきでしょう。

全体的に概ね印象に近い数値ではあるので、例えば、きれいな馬場でこそと言われるディープインパクトの数値が然程悪くなければ、重馬場でオッズが落ちればむしろ買い!なんてことも言えたりしたのですが、そう上手くはいかなそうです。
これだと、印象を印象通り数値に直してみただけ、のようにも思えてしまいます。馬券戦術構築なるか!?と期待したのですが……

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続きや修正は別記事にて行います
その際のリンクもこちらに残します
修正記事:重馬場適性の数値化を目指してみる 運用編