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Jersey Drill概説

ミヤシタです。
ここ半年で急速に勢力を拡大しているのが、Jersey Drillという音楽ジャンル。
そもそもどんなジャンルなのか、どのように始まったのか、概観的に理解することを目的としてこの記事を執筆しています。
例によってこの記事は他記事や動画を大量に引用することで成り立っていることを予め断っておきます。

ざっくりとした結論から言ってしまえば、Jersey Clubという音楽ジャンルとDrillという音楽ジャンルの融合体がJersey Drillです。もう少し詳しい定義に関しては「Jersey Drillの誕生」の欄で詳しく述べます。
では二つのジャンルはどのように邂逅を果たしたのか、前半ではそれぞれのジャンルの成り立ちについて、後半では二つのジャンルが融合した経緯についてという流れで追っていきましょう。

一つ注意点なのですが、「Jersey Clubの成り立ち」のトピックの最中に、皆さんの知らない単語が出てくるかもしれません(Baltimore club等)。引用元の記事内で軽く語句の説明はあるかもしれませんが、筆者としては読者の皆さんが自身で調べることを推奨したいです。
受動的にこの記事を読むだけではなく能動的に調べにいくことで、初めて知識として頭にいい感じで入ってくると思います。
筆者もそうなのですが、記事を読む際にニュアンスが掴めない単語を調べるのが面倒でスルーしてしまう方は多いのではないでしょうか。そのような姿勢では、記事が伝えたいことを本当に理解できないかもしれません。
一緒にいろいろ調べて知識をつけていきましょう。頑張ろうぜ❗️

Jersey Clubの成り立ち

まずはJersey Clubの成り立ちから解説していきましょう。
と言いたいところですが、ググれば山のように解説記事があります。ジャンルとしてはDrillよりも昔から存在するので、日本語の記事にも事欠きません。

一応どんな音楽ジャンルなのかを先に説明しておくと、Baltimore clubをルーツとして2000年代初頭にニュージャージー州ニューアーク市で生まれた、米国発のBass Music(ベースミュージック)であり、ブレイクビートの1ジャンルです。
なおこの定義は以下の記事の引用となりますので、まずはこの記事を読んでください。

次に下に貼ってある記事を読んでみてください。Jersey Clubが誕生した経緯等、かなり詳しく書いてあります。

↑TikTokが与えた影響に関する考察記事 併せて読んでおこう

↑タイトル通りの記事 よく使われるサンプルを教えてくれる

↑英語の記事だが、Jersey Club Rapというジャンルの区分けの難しさなどがわかりやすくまとめられている
DeepLなりGoogle翻訳のサイト丸ごと翻訳してくれる機能なりを使い、各々が読んでおいて欲しい

ここでこの章を終わらせてもいいのですが、文字情報だけでなく曲にも触れるべきでしょう。というわけで、いい感じの曲をいくつか貼っておきます。

↑パイオニアがさァ‼︎的な曲を貼ってもいいのだが、まずは皆んなが知っているバイラルヒットから
2022年12月1週目のビルボードチャートではLil Uzi Vertにとって2年ぶりとなるトップ10入りを果たしており、この曲を聴いたことのない人の方が珍しいかも

↑Jersey Clubのおすすめ楽曲が貼ってある記事 読めばいいよ

↑日本の曲も貼っておこう 『Just Wanna Rock』と同じ時期には製作が始まっていたらしく、kZmの高い音楽感度が窺える

Jersey Clubはプレイリストとか沢山あるしさっき貼った記事にもいろんな曲が出てきたし、筆者がわざわざこれ以上貼らなくていい気もしてきました。
いい曲あったらDMやリプで教えて欲しいくらいです。

Drillの成り立ち

Drillの成り立ちに関しては筆者が執筆したこのノートで完璧にまとまっているので、まずは読んでください。
読了していることを前提としてここからの話を進めていきます。

アメリカの地図 赤くなっているのはNew Jersey州

上に貼った画像を見てもらえればわかる通り、Jersey Club発祥の地であるNew Jersey州はBrooklynやBronxを擁するNew York州とお隣さんです。隣り合った二つの地域それぞれにHOTな音楽ジャンルがあれば、そりゃ当然融合しそうですよね。
そんなわけでJersey Drillは基本的にNYのDrillがJersey Clubに融合してBPMが超早くなった感じのサウンドが多いです。ただし、もちろんUK Drill風味の楽曲も多く作られているので一概には言えません。

少し脱線しますが、TwitterのHIPHOPオタクが「あの頃の東海岸がさァ❗️NYにはさァ❗️そのころwest coastではさァ❗️」と叫んでいるのを見て「何の話なんだ…?」となっている読者は意外と多いのではないでしょうか。
ああいうのはアメリカの地理的な観点からHIPHOPの歴史やサブジャンル誕生の経緯について論じているだけなので、Googleでアメリカの地図とか地名をググって参照しながら読めば「あーね?」となると思います。YouTubeのHIPHOP解説動画を見るときも同じですね。
HIPHOPはアメリカが中心だし最強なので、ざっくりとしたアメリカの地図くらいは頭に入っていると色々な場面でかなり役に立つと思います。
言ってることの意味さえわかればオタクの知識はありがたいものなので、最初から苦手意識を持たずに調べてみましょう。脱線終了です。

以下にNY Drill(ここではBrooklyn DrillとBronx Drillを指す)、UK Drillのおすすめを何曲か貼っておきます。「こういうのがJersey Drillっていう音楽ジャンルの基盤なんやね ほーん…」という感じで聴いておいてください。
Jersey Clubの時はあんまり貼らなかったのにDrillになると急に気合入れて貼り出すのは、単純に筆者がめっちゃDrill好きだからです。

↑まずは新時代のNY Drillアンセムから 気高いぜ

↑Brooklyn Drillはこの曲から始まったわけやね

Pop Smokeの死後に発表された楽曲 Woo Forever

Brooklyn Drillの最高峰 Bronxの旗手、Kay Flockも参加している

↑マジでエモすぎ、苦しくなってきた

↑BrooklynはキリないのでBronx Drillの紹介に移行 Bronx Drillの荒々しい発声法と異様なBPMの速さはJersey Clubとの相性が良く、Bronxベースの楽曲は数多く作られている

↑この曲も話題になったやね

↑Bronxといえば、Grahという合いの手が特徴 Grrrrrではない

↑今をときめくIce SpiceはBronx出身 マジで可愛過ぎ

↑次はUKに行こう 1億回を超える再生数の怪物曲

↑曲名も含め、非常にアイコニック skududu skududu bang‼︎

↑キリないのでこれで終わり 逆にActiveGxng Suspectとか行ってみるか、というね

紹介し切れないので、地域ごとのおすすめDrill載せた記事を別で作ります。カミスン

Jersey Drillの誕生

さて、本題であるJersey Drillというジャンルの解説に移りましょう。

アボかど氏の記事

まんまの記事を発見しました。アボかど氏に感謝です。
この記事の最後の部分は有料ですが、たったの100円です。払ってください。

無料部分だけでも概要の理解は可能ですが、ここはアボかど氏に敬意を評して有料部分まで買ってください。
我々現代人は雑誌でなくインターネットから無料での情報を得るという体験をしすぎたが故に、情報に対価を払うという行為を忘れてしまいました。
アボかどさんの記事の有料部分はたったの100円。駅の自販機で売っている水やラーメンの背脂トッピングと同じ値段です。無意味に食べては糖分をはべらせているグミよりちょっと安いです。読者の皆さんがクラブでガバガバ飲んでいるレッドブルウォッカの1/7の値段です。このくらいは買って欲しい。

↑少し話が逸れるが、アボかど氏は筋金入りの音楽オタク JP Phonk界隈の重鎮であるFullmaticもインタビュー内でアボかど氏の名前を出している

とはいえここで記事を終わらせるのも怠惰というもの。
筆者は筆者で国内外の記事を引用しつつ、Jersey Drillがどのように誕生したのかを整理してみたいと思います。
ですが、Jersey Club 発祥の地であるNew JerseyにおけるHIPHOPの歴史からJersey Drillについて考察したアボかどさんの記事はやはり読んで欲しいですし、情報量100円を払う気概のある読者は有料部分も購入した上でアボかどさんの執筆活動を応援して欲しいです。
多角的な情報を得た方が物事の本質を理解しやすいですからね。

Jersey Drillの定義

https://rateyourmusic.com/list/santurce/jersey-drill-jersey-club-drill-four-on-the-floor-drill-now-on-rym/1/

このサイトではJersey DrillをSample Drill(90's~00'sのPops等をサンプリングして作られたDrillビートを使用した楽曲の総称)から派生したDrillの1形態と捉えています。
このムーブメントは、2020年の初頭にNew Jerseyと PhiladelphiaのラッパーがNY Drillの暴力的な歌詞をJersey Clubのサウンドに当て嵌め始めたのが始まりだそう。
次第にJersey ClubとNY Drillの両ジャンルはビートの面でも融合を始め、現在のJersey Drillが持つ独特のリズムが生み出されるに至ったとのことです。
Jersey Club Rapというジャンルは従来から存在していましたが、それとは明確に区別されている(らしい)Jersey Drillの優れた楽曲がサイト内で大量にリストアップされています。併せて聴いておくと良いでしょう。

↑Sample Drillに関してはこの記事を参照 楽曲例も多々載せられている

↑この記事もいい感じ

では具体的に誰がJersey Drillというジャンルをスタートさせたのでしょう?

上に貼ったのは、Jersey Drill人気の火付け役と言われているBandmanriiというラッパーがBrooklynにて行われたZone oneというステージでJersey Drillの楽曲を披露したという内容の記事です。
この記事において、Jersey Drillは2020年のロックダウン中にインターネット上で復活したJersey Clubブームの延長線上で作り出された、新しい"変異"であると述べられています。

Jersey Drillのパイオニアは誰か?

大詰めのトピックである、パイオニアが誰なのかについてです。

前述の記事を執筆されたアボかど氏からの情報提供によれば、ラッパーのUnicorn151とプロデューサーのAceMulaが始めたと彼らがインスタグラム上で主張しているとのことです。
このことを踏まえた上で以下の文章を読んでください。

Jersey Clubは1990年代にDJカルチャーから誕生したもので、2000年代に入ってからMyspaceという音楽SNS(SoundCloudにブログとチャットの機能を足したイメージ)によってインターネットに広まっていきました。
そこからネットの経由でリスナーや作り手が増加していったことに加え、2010年代にはSoundCloudの流行によってネット音楽としての側面が強くなっていきました。
さらに2020年代はコロナの影響でアメリカのナイトクラブが一時期完全に停止され、音楽カルチャーの全てはオンライン上で行われるようになりました。

New Jersey周辺のプロデューサーは暇に任せて執拗に繰り返されるドラムス・キックスのパターンやアイコニックなキコキコ音を弄び、そこにラッパーがNY Drill的なノリの歌詞を持ち込み、そうして闇鍋的に完成したのがJersey Drill、というのが自分がリサーチした記事における解釈となります。

次に、前述のUnicorn151とAceMulaがインスタグラム上やインタビューにおいて主張している内容が真実であった場合のJersey Drill誕生の経緯です。
前述のUnicorn151は2000年代から活動しているラッパーです。彼はJersey Clubにラップを載せるスタイルの楽曲を制作したかったものの、当時のラッパーとJersey ClubのDJの間にあった距離感によってなかなか実現できなかったようです。
そこで彼がBaltimore clubをやっている人に話をもっていったところ制作が実現したJersey Club Rapが、前述のアボかど氏の記事に登場する『TOTE IT REMIX』になります。
その後活動を地道に続けるうちにプロデューサーであるAceMulaと出会い、BrooklynにおけるPop Smokeの爆発的なヒットを目の当たりにした二人によって作り出されたのがJersey Drillという新しい音楽ジャンルになります。

また、Jersey Drillというジャンルを有名にした人物をパイオニアとするならば、先ほども述べたBandmanriiです。
先ほど述べたUnicorn151とAceMulaによってフックアップされたこのラッパーは、現在もコンスタントに楽曲を発表しています。

以下の太文字部分は、アボかど氏の記事内(無料部分)から丸々引用しています。

2021年、ラッパーのBamdmanrillがシングル『Heartbroken』をきっかけに注目を集め、ジャージードリルが多くのリスナーに発見された。
同年にはAceMulaとBandmanrill、Unicorn151のコラボ曲『Jack N Drill』のMVが発表され、同曲を収録したAceMulaによる同タイトルのEPもリリース。ジャージードリルはこの頃からさらに広まっていった。

↑この曲のタイトルの最後には(JERSEY DRILL/JERSEY CLUB)とある 楽曲を作った本人的にも、どちらにも当てはまるジャンルの曲だという訳だ

唯一Jersey Club RapとJersey Drillを聞き分けられるポイントがあるとすれば、完全にノリです。
Drillやってます❗️みたいな顔をしたラッパーがDrillっぽい感じの歌詞でDrillっぽいラップしてたらJersey Drillだと思います。もうそれぐらいしか言えません。

↑『ぽまえらJersey Drillについてどう思う?』という海外のスレッド 「あんなんゴミやろ」的な意見も全然ある

まとめ

結論部分が少し読みにくくなってしまい申し訳ないです。
Jersey Drillはその成り立ちの複雑さ上、記事によって説明に差があります。

もしJersey Club RapとJersey Drillを聴き分けるポイントが筆者が挙げたもの以外にもあるという場合は、筆者のアカウントまでDMにて教えていただけるとありがたいです。

最後に国内外のJersey Drillをいくつか貼っておきます。
言うまでもなく、筆者がノリでJersey Drillと判断しただけです。「Jersey Clubだろ❗️」という意見があれば、「それもそうやな」としか言えません。

↑日本で最初のJersey Drill   サウンドはBronxベース

↑雰囲気的にJersey Drillかなーみたいな かっこいいと思う

↑ここのコラボは反則すぎる 初見くらい過ぎて笑っちゃった
Pop Smokeとのマッシュアップも好き

↑これもBronx Drillがベース Bronx系にするとBPMとかやかましさ的にも作りやすいんだろうなと推測



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