#21 大事なもの
なぜか映画やドラマを見ていると、全部自分の話に見えてくる。
この感情懐かしいな。と思い出す。
ふと、過去がちゃんと清算されていないのでは?と疑問に思うときもあるけれど、そういうことでもないらしい。
ストーリーが進んでいるのに、なぜか私の頭の中では過去の回想を始める。
他の人もこんなことあるのだろうか。
私だけなのか。
時折、感情移入ではない涙を流すこともある。
嗚咽するくらいの号泣具合で、自分でもびっくりする。
他人の人生の話で、しかも作り物のお話が多い中、私の魂は、心は、共鳴するらしい。
久しぶりにはまったドラマがあって、そこには私の人生の中で一番大切だった時間が映し出されているかのようだった。
どうして今ここにはないことを、わざわざ思い出さなくてはいけないのだろう。
なぜか私の心は、“ない”ということを深刻に訴えかけていた。
自分を取り戻す過程で、色々なものにさよならすることになって、気づいたら、私のもとには“私”しか残らなかった。
断捨離しすぎたのかな?と時々思う。
でも、もう一度手に入るという確証があったとしても、もういらない。
あげるって言われても、無料だと言われても、たぶん断る。
私だけになったとき、今までどれほどしょうもないものに私のいのちの時間を費やしていたかと思うと、すごくがっかりした。
でも果たして、私はこのままずっと一人で生きていくのだろうか?
私の景色に日は登らないのか。
今までにない自由を手に入れて、それでもなお、何かが欠けているような気がしてならない。
さあどこへ出かけようか。
それとも突然目の前に現れるのだろうか。
あなたは本当にそのままで大丈夫ですか?
こういうの、欲しかったんじゃないの?
なんて、誰かが私に突き付けてきたのかもしれないと、まるで大ごとかのように受け取ってみたのでした。
のりこ
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