転生王女と天才令嬢の魔法革命 12話感想

3月も終わりになると、いよいよ冬アニメも終わりを迎えますね。
出会いがあれば別れもある。人の世の常でございます。
寂しくも儚いからこそ美しさが際立つ。「花は盛りをのみ見るべきではない」とは吉田兼好も述べていましたよね。
今回は、『転生王女と天才令嬢の魔法革命』
最終回の内容を含みます。

それでは、完走した感想です。
まずこの作品を表すならなんと言いましょうか。
「異世界転生落ちこぼれ百合アニメ」なのでしょうか。
いや、違う。(反語)

確かに、批判的な見方をすれば、
「属性てんこ盛りハッピーセットかよ。しかもメジャーどころばっかり抑えたいかにもウケを狙った作品やな^^」となってしまうのだが、そんな風に埋もれてしまうのはもったいない作品だと強く言いたい。

まず良かった点
「ユフィの魔法は美しい」これが一貫されていたところですね。
タイトルにもあるように天才令嬢である彼女は魔法に秀で、アニスを魅了するものである。その破壊力と美しさは終始一貫しており、特に最後にアニスに放ったアルカンシェルは確かに虹の輝きの一撃。敗北するはずのアニスのあのなんとも言えない表情は諦めとかそういう一言で表せるものではなく、やはりそこには憧れや美しさに対する敬意があったように思われます。アニスにもらったあのアルカンシェルの名を叫ぶ最後のユフィは胸が熱くなりますよね。あれは技の名前なん?なんにしてもあちぃな。

さらに良かった点
これは何と言ってもアニスとユフィの関係ですよね。
繰り返しになりますが、「百合」という一言で片付けていいのでしょうか。
(いや良くない)
ですよね?
そういった言葉や関係を否定するものではありませんが、単純な恋愛感情では言い表せないお互いがお互いを思いやる深い愛情を感じずにはいられません。そもそも盛り上がりを見せたラストバトルに至るまでの経緯を思い返してみると、お互いがお互いの幸せを思い、それが結果として自分の幸せを犠牲にすることだとしても譲れなかったから。最後にヒロイン二人が争う理由がお互いのためというところに持っていったこの作品の構造はとてもきれいだと感じました。
だからこそ「これは百合アニメやな!」と一言でおしまいにしてカテゴライズしてしまうのは非常にもったいないと私は感じます。違うことはないけども違うねんな。「愛」やねんな。むしろ「愛やねん」とか言ってると余計にチープに感じられますが今の私はそれ以上の言葉を持たんのや。

もちろんそこに至るまでの二人の歩みに説得力がないことには話になりませんから、吸血鬼による魅了のくだりや、アル君の思いも含めて美しい流れだったと今にしてみると思います。特にあの7話のユフィの演説良かったよな!涙が出たぜ。

さて、これからの二人の歩みこそが「革命」なのだという風にタイトルを回収して物語は幕を閉じるわけですが、ユフィは精霊化によって不老不死になっています。ここ、難しいですよね。愛する二人同士のどちらかが不老不死だろうがそうでなかろうが、死による別れはどんな人間関係にも避けることはできません。だから、どちらかが先に死ぬから悲しいのではなく、大切な人と同じスピードで老いていくことが寂しいのだと私は思います。アニスはこれからも研究を頑張ると言っていました。願わくば二人が民に祈った祝福が彼女たちにも降り注いでほしいものですね。

ちなみに悪い点は特に述べません。きれいに終わったね。


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