時間とビール

クリストファー・ノーランが初めて作った映画『フォロウィング』を観た。
『テネット』をきっかけにノーランの映画を観るようになったので、ノーランは時間のトリックが好きと言うイメージがある。初めての作品にはその人の全てが詰まっているという人もいるが、多分ノーランは「時間」が好きなのだろうと思う。

今まで村上春樹の作品を一つも読んだ事が無かった。
確固たる意志を持って読まないという選択をしてきたわけではないが、「話題になっているから読もうと図書館に行ったら全部貸し出し中だった」みたいなすれ違いを繰り返してここまで来た。
ここまで来たら何かの縁かと思って、一生読まないでおこうかと思ったけど、村上春樹を読んだ方が良い仕事のオファーを頂いて読むことにした。
このタイミングでこのオファーが来たのも何かの縁だと思う事にした。
図書館に行ったら、文庫は何冊か貸し出し中だったが、全集の一つ目(1作目、2作目が収録)と3作目の『羊をめぐる冒険』の文庫が残っていた。
作家を集中して読む時は一作目から順番に読みたいと思っている自分にとっては、非常にありがたい事だった。これも縁だと思う事にした。

1作目の『風の歌を聴け』と2作目の『1973年のピンボール』を読んだ。
村上春樹と言えば「男が家でパスタ作ってる」みたいなあるあるを聞いたことがあるが、この二作目ではパスタは作っていなかった。とにかくビールを飲んでいた。ビールを飲みながら車に乗って事故った、みたいな事を書いていた。ビールが飲みたくなったので金麦を買った。私にとってビールとは発泡酒の事だけど、最近は発泡酒の値段も上がってきていて安いビールとあまり変わらなくなってきたのでビールを買う事も増えてきた。でもそのスーパーには安いビールが売っていなかったので、発泡酒を買った。クレジット決済ができるようになっていた。多分村上春樹は「ビール」が好きなのだと思う。

単独ライブを終えてまず思った事は「もっと集中して映画や本を見ておけばよかった」という事だった。
「そういう構造」にしようというのは前から決めていたのに「そういう作品」をあまり観ずに単独に臨んだので終盤でネタ切れと言うか、どうすればいいか分からず袋小路に迷い込んでしまった。
全ての表現、全ての作品は過去の作品が作りあげた土壌の上に成り立っている。
それを頭では理解しながら、というか「今までの土壌があるから大丈夫でしょ」と高を括っていたら、見事に終盤で息切れを起こした。
急いでディズニー+に入り「そういう作品」を見て、最終的な着地はできたが、半年前からもっと準備をしていればもっとスムーズに行ったのではないかと思っている。

12月の上旬、しもきたドーンが空いている。

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