世界が変わる

最近新しいスニーカーを手に入れたので、道行く人の足元が気になる。
駅のホームで電車を待っている時、前に並んでいた人が自分のスニーカーと色違いのものを履いていて「それいいですよね」という顔をした。私は後ろなので当然その人には届かなかった。

それまでは同じスニーカーを何年も履いていたので、段々と自分の足元も他人の足元も気にならなくなっていたが、新調した途端に世界が変わった。
みんなそれぞれが、ぞれぞれの靴を履いて今までと変わらずに生きていたのに、全てが変わったような気になる。
自分の心ひとつでそれまで見えなかったものが見えるようになる。

別に大した話ではない。
毎日歩いている道でも、お腹が空いていればご飯屋さんが目につきやすくなる。
身体の不調を感じていれば病院が目につきやすくなる。
青春漫画を読んだ後なら高校生が目につきやすくなる。

「環世界」という考えを知ってからこのような事でもスムーズに自分の中に入ってくるようになった。

環世界とは

〈すべての生物は自分自身が持つ知覚によってのみ世界を理解しているので、すべての生物にとって世界は客観的な環境ではなく、生物各々が主体的に構築する独自の世界〉の事で、詳しくはWikipediaでも読んで欲しいのだけど

これは生物単位ではなく、人間の中でも当てはまる事だと思っている。
その人間がどこで生まれ何を感じ、どんな価値観を大切にしてきたかによって世界は変わってくる。
同じ道を歩いても、何に興味を惹かれ何を見ているのかは、人によって変わってくる。
そして、それは先に述べた通りその時の状況によって大きく変わってくる。
昨日まで全く気にしなかった事が、ある日突然気になって仕方なくなる時が来るかも知れない。

極端な例だが昨日まで全く面白いと思わなかったものが、今日は途轍もなく面白く思うかも知れない。

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