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読譜の基本を考えてみた。リズムと音楽の理解について

読譜に必要な視点、いろいろありますが、「読譜の基本」は何なのか?

こないだ読譜のことを話してるときに、私が拍子、4/4とか3/4とかの表記にこだわるので、下の子たちに困惑した感じがありました。
その時「読譜の時すごい大事だよ!!!!」っていうの、説明できなかったので、自分なりに考えてみた。

追記で「譜読みの仕方」という動画アリマス。

注:和楽器の縦譜の読譜の話です。五線譜なら見た目でまとまりがある程度分かる場合がありますが、縦譜はマス目で区切られた中に数字(絃番号)がずらっと並んだ楽譜で、なかなか見ただけでは分かりづらいので、読譜ってどうやるの、ということになってきたりします。


リズムって、そも、なんぞや。

…という人は、試しに wiki「リズム」を読んでみて下さい。
(単音→続けて鳴る音、規則性のある音のグループ化である、と書いてあります。たぶん)グループ化、wikiの図だと、単音と単音とでつなげていくように見える説明です。
が、今から書くのは、すでに曲になったものを手にしている場合。たくさんあるものをどこで切って一区切りつけて並べるか、ということで、wikiの説明とは逆に思えるかもしれません。

 リズムをとる、とは

 例 ひらがな文「あかいはながさいたしろいいぬがはしる」
 これを音読するための準備をしよう

「あかい/はなが/さいた/しろい/いぬが/はしる」
 →読みやすく、すんなり理解できる形。

「あかいはな/がさいた/しろいいぬ/がはしる」
 →自分の分かる部分だけをまとめてそこで区切りをつけると、おかしくなる。

読譜、最初の作業は、長い文章を「区切る」という作業に似てる。
でも、上記例題、実はすごく難しいことなんですね。漢字の情報と、名詞形容詞助詞副詞等が理解できていれば造作もないんですけど。

これ、もしかしたら。

注意書き ”この文章は、3拍子 です”

”ここは 3音ずつ 切ったらうまくいくようだ”と目安
3文字の単語の最初に、アクセントをつけられるかも…

こういうつながり方で、読む作業を進められるのではないかな。

私の読譜作業。

私は初めての楽譜、縦譜を読むとき、まず譜面の長ったらしいずらずらした羅列を、指定のリズムを元に、シャーペンでうすく斜線で区切っていって、パターンを見つけて、ひとつのとっかかりにしているようなんです。

例えば、これでやってみましょう。4拍子の指定としたとき、どう区切ります?

「どっどどどどうど どどうど どどう、
 ああまいざくろも吹きとばせ
 すっぱいざくろもふきとばせ
 どっどどどどうど どどうど どどう」
宮沢賢治作「風の又三郎」より)

「どどうど」+「どどう、」という部分を元にして、4文字単位でのリズムのベースが作れそうだな。あと「どどうど」という部分が一行で二回出てくるから、ここはパターンかな。全体は A-B-B'-A のサンドイッチ兼回帰の構成かな。
…と考えて、斜線を入れます。

「どっどど/どどうど/どどうど/どどう、
 ああまい/ざくろも/吹きとばせ
 すっぱい/ざくろも/ふきとばせ
 どっどど/どどうど/どどうど/どどう」

詩のリズム感、特に「どっどど~」に斜線入れたことで読みやすくわかりやすくなりました。同時に、動的にもなった気がしませんか。
これのまとまりの先頭に、アクセントをつけると、ノリが音楽的になります。「どっどど/どうど/…」って。

こういうことを最初にしておくと、練習の時に楽です。自分が理解してれば、形にしやすい。
なので、読譜の時のヒントになる 3/4拍子 だの 4/4拍子 だのは、一番最初に(!)気にしておいてほしいのです。

( x/y っていう楽譜の表示、「x個でワンセット、単位はy音符」ってこと。
これ、どこが切っていい場所で何がどうまとまってるのか、上記のように分解するときの目安に、絶対必要なのです。かたまりバターについてる10gラインみたいなやつね)
(ちなみに「切っていい場所」というのは、”気持ちのブレス”に必要だったりする。この話は後述部分のリンクから「メロディを歌う」「絃の呼吸法」とかを見てね)

一旦、まとめ。

・いくつで区切るか?を読み取る
・どの音がリズムを担当する音なのか?を判別
・まとまりをどうつくるのか?を考える


これがしてあると、やりやすさも合いやすさも伝わりやすさも全然変わってきます。(もちろん、作曲者側もそこは大前提にしていますので、お忘れなくです)

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 └ 追記。

”君達の音楽は、間違っていないか 音楽のマニュアルⅡ 合奏のマニュアル”というサイトにはこうありました。
「合奏の指導 ”メロディ”」 の項より↓

「作曲家とは英語のコンポーザー(Composer )つまりコンポーズ(Compose 組み立て)する人のこと。
 要するに、旋律を思いつきで書くので無く、ある旋律を組み立てなおして色々な物を組み上げることで作品を生み出す仕事をする人である。

 すなわち、作曲された旋律は色々な工夫をされた構造を持っているという事である。

 その様に組立てられた構造を知る事から始めなければ、その音楽を間違ってしまう事になる。
 とても難しそうだが、文章の成り立ちと同じである。
 色々の単語に助詞や形容詞などを付け加え、言いまわしを考え、そこにその作家の個性や意図を含ませるのである。

 となると、その「文節に当る部分」を理解すれば良いのである。

 楽譜はカナばかりで書かれた文や、スペース無しで書かれた英文のような物である。自国語であれば何とか解読が出来る、知らない言葉は理解できない。

 そのような理解が音楽の良し悪しになる。」 
http://homepage1.nifty.com/nma-yc/manyual/sidouhou/mokuji.htm 
(閉鎖されたサイトなので参照元をあたるときはインターネットアーカイブを掘って下さいね.。私はWayBack Machineを使いました)

いやまさに上記引用部分は、今回数日かけて私の考え考えしたことのそのまんまじゃないですか。以前にリーダー講習会の資料作ったときの参考サイト様ですけど、読んだはずなのに忘れてた。追記以上。

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 パターン。 

複数回、近似の形が検出された場合はパターン(またはバリエーション)として扱いますよ。

「どっどど/どどうど/どどうど/どどう、
 ああまい/ざくろも/吹きとばせ
 すっぱい/ざくろも/ふきとばせ
 どっどど/どどうど/どどうど/どどう」

上の場合は、「どっどど~」の行と、「~ざくろ~」の行が、同じように二回出るから、パターンとして考える。
全体は A-B-B'-A のサンドイッチ兼回帰の構成かな、と分析したら、パターンAとBだけ頭に入れればいいので、ちょっとだけ脳内でショートカット。

元の形を覚えていれば楽に演奏できるので、パターンの認識は必須。です。

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 読譜=曲作りではない。

「読譜はしてね」と言ったときに、少し混乱してたっぽいのは、たぶん他にも理由があったんだろうな。【曲作りまではしなくてもいい】というのは、よく言われることなんですよねうちの部では。

読譜と曲作り、誤解している可能性もあるので、そこは別物であると言うだけ言っておきたいかな…

読譜=個人練習と合奏のための下ごしらえ、インプット部分

曲作り=合奏練習スタート後の全体の調整と仕上げ工程、曲リーダーと全員が協力していくアウトプット部分

私の作った譜読みチャートとかもありますけど、アクセントの丸つけとか「作業」をこなすだけでは、「理解」にはつながらないのですよ。
「曲の内容」を理解するところまでは各自がやらないとなんです。けど、さぁ何をどこまでやるの、というとこは、残時間によっては取捨選択が必要かも。まぁ「ある程度はやるべき」と書いておきますw

時間がないときは、曲の構造を利用して、骨組みをそれらしく組み立てる、それで十分です。
場面のイメージ作りの詳細など、時間があるときにすればよし。もちろん、うっすら程度には共通認識を持つのは必要ですが。

ここで再度、私の場合。

読譜でよく言われる「性格付け」とかは、あまり積極的にはやらないです。
「どういう風にやってほしいかの要望を拾う」という、読み取りを頑張る方向かな。

そのために、楽譜指定の楽語(アレグロとか)、テンポ指定(これは作曲者が希望している形を理解する程度、そのままで採用しないことも多い、習熟度による)+拍子、等々、楽譜に書いてあるヒント情報を先に「設定」として見る。
(なんでテンポ+拍子かというと、組み合わせで音楽の雰囲気が変わることがあるのです。例えば、速いテンポの二拍子=サンバ?とか、考える材料になるので)

もし「かっこよく」という指定なら、=アクセント強めで元気よくやろう、とか、ヒントを使ってイメージの抽出をし、共通認識として周知。
そういう音が出せるように基礎練習と個人練習をしてしまうと、後が早いかな。
(全体練習で全員が試行錯誤はじめるとめちゃくちゃになる。大変w)

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メロディをうたうこと、伴奏をうたうこと

 「楽器で歌う」については別記事に移しました。
メインメロディを担当するとき、いかに棒読みにせず、美しく印象的に作るか、そのスタートについて書いています。
ここは、曲のらしさの理解をし聞き手に伝わるよう表現する上で、けっこう重要かも。

メインパート以外を担当する人は、「絃の呼吸法」もどうぞ。メインパートと齟齬を生まない伴奏の作り方です。


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アクセントが変なところに

アクセントが変なところについてる場合、読譜の区切り方がおかしいというより、指遣い、弾きやすさ・音の出しやすさが優先されていることが多いです。つまり、意図しないデコボコがついちゃってるケース。

この場合は、本人はあまり違和感を感じていないので、修正にはまず、曲として求められている形を理解させてから練習をさせることになるので、人によってはちょっと時間がかかることも。

箏でこれ直すとき、私は楽譜自体が弾きにくいせいでおかしな形になっている場合は、指遣いを変更して形をとりやすいようにしたりすることも多かったです。
(時に、ピアノ曲からのアレンジなどは、無理な指遣いの指定になっていたり、あまり楽器に慣れていない人が作ったものは、とにかく初心者さんには弾きづらいので。あと、男性の作ったものは手の小さい子にはちょっと幅がキツく難しかったりすることも)

下級生の面倒を見ていたときは、あまり深く練習させずに速攻でこういう変更を勝手に入れてたので、上のOBさんには「すぐ難易度下げるから上達しない」と怒られました。w

しかし!!
出来ないときは、一工夫した方が絶対クオリティは上がるから!
例えば、手を飛ばす時間を稼ぐために一音だけ左手pizzを入れたりなど、色々試す価値はあります。特に時間のないときは、地力をあげるよりも一工夫、大事。
聴く人にはどうせ分からないでしょ、とかいう気持ちではなく、より良い印象を曲に持ってもらうために、何らかの理由でいい音が出せないような部分を上手にカバーするのは、必要悪(とまで言うこともないと思うけど)。かと勝手に思ってますw
楽譜の求める形を出す、そのための工夫は、してもいいはず。

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「メロディ:リズムの把握が不可欠」、もう少し調べたのを次の記事でまとめました、こちらもどうぞ。

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アナリーゼのすすめ

あと、曲自体のもつ特徴を、他の曲と比較してみるとかも、より「らしさ」を出せる材料になるから、楽曲分析はできたらしておくといいです。

 夏合宿の記事で、「こもれ日」について、作曲者による特徴みたいのを書いたけど、こういうのも分析の一つだと思う。

 Y崎曲って、一パートにメインと伴奏が一緒に入れてある感じなんですよね。一番メインの部分(ここがリズムだったりする)に、装飾・その他の音を足して手を細かくしてある感じ。特に激しいところ。
 なので、「どこが骨で・どこが付け足しの肉」なのかを分解できれば、もう少しフレーズのとり方を、変えられると思う。
 (今は弾きやすい形でやってるだけみたいな気もするけど、多分作者の表現してほしい形とずれてるよって言いたい)

 あと、Y崎曲の特徴は、4/4でリズムパターンをこれでもかと重ねてくるところかなー
 「たーんたーんたん」とか、「たたんたたんたた」とか。
 M川は6/8で「たーんたーん+た・た・た」とか、違うものをミルフィーユにしてくるんですけど。
 Y崎は24拍でひとまとまりだったり、パターンのまとまりが少し長め。んで、同じリズムで細かいバリエーションを果てしなく突っ込んでくる。w
 なので、バリエをバリエとわかるように(フレーズA+A'+A"と見えるように)まとめるのがコツか。まとめれば各場面の差も自ずと出てくる。

(一応、ゐ先生に「初心者向けのアナリーゼの本があったら教えて下さい」ってお願いしてあるので、お時間ができたら、そのうちに調べてくれたりしてくれるといいな…。)

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楽曲分析の方法、検索したら、私がやってることに少し近い感覚の方がいらしたので、メモ。私は和音のイメージだけでコードまで見てないけど。

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追記。譜読みの方法という動画を見つけた。

いきなり歌ったりするのはさすがプロだと思うので、そこは真似しなくてもいいかなw
でも、イメージを作りながら読めたらめちゃくちゃ早いのは確かです。先生がいたらこうやって説明してもらえて把握が早かったりするんですけど、ここらへんは自分で頑張るしかないですね;


といったところで今回は終わり。長々とありがとうございました!

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