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【へんいちエッセイ講座・参加作品】№77【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『た~っぷり食べた〜』

学生時代のある大晦日、友人6人とわが家で年越しパーティーをしようと思い立った。ワタクシの家族は、祖父母の家で年末年始を迎えるので留守。そのため家族に気を遣う必要もない。

「何を準備しようか。料理は? 飲み物は?」
と、事前に友人に相談すると、ケーキ屋でバイトをしていた友人Mがこう言った。
「売れ残りのクリスマスケーキあったら持っていくね~」
お店には申し訳ないけれど売れ残れ。
「苺はカビてるけど別パッケージだから大丈夫」
それどうなん、と思ったけど甘いものは確保した。

すると、料理ができる友人Eがこう提案してくれた。
「すき焼きとかおでんは?」
すき焼きはワタクシの好物3選のひとつ、いいね。

実際どうやって具材を集めたのか、当日友人Eはおいしいおでんを手際よく作ってくれた。後で気がついたことだけども、彼女はいいダンナをゲットするために当時から料理教室に通っていたのではなかろうか。すばらしい。
さらに、でき合いのタレを使って「すき焼き」を作った。焦がさないだけ偉いと盛り上がり、パーティーの準備は完了。誰かがバイト先で貰ってきたシャンメリーで乾杯し、料理を食べ始めた。
とにかく、おいしい。たくさんしゃべって、メッチャ笑った。
ところが、途中から不穏な空気が流れ始める。
「おでん、まだあるけど、もっと食べる人~」
と、こちらで声が上がると反対からは
「すき焼き、お肉たーっぷり残ってるよ? 誰か食べない?」
どう考えても、食べ物がタブついている。よくよく考えてみたら、メインとなるものが2つ。おでんにすき焼き。それが、直径30センチ以上の鍋に目一杯。足りないよりも多い方がいい、そう考えたのがあだとなった。そのうえさらに、ケーキと大量のお菓子が待っている。
今さら気づいた感が漂う中
「明日の朝ご飯に食べればいいよね」
と、問題を先送りにすることになった。

次の日の朝遅く起きると、まだまだ存在感のある、おでんとすき焼きが鍋の中で待ち構えている。朝ご飯で、できるだけ食べると言っている時点で、すでに新春我慢大会。持ち帰れる物は持ち帰ってもらったものの、ワタクシの手元には後片付けと、すき焼きがた~っぷりと残った。

それからの正月の三が日。バイト先でのランチを除く朝夜は、すき焼きを食べる。いくら好きなものとはいえ3日の夜は、すでに7回目。
「もう、これギブなんですけど」
あれだけ好きだったすき焼きが、それ以降10数年、好物3選のひとつから苦手なものになり果てた。

今ではすっかり元通り。嘘だと思う? 試しに「すき焼きおごってあげようか?」って言ってみて。
喜んでゴチになります。

うけけ。



※※※ あとがき ※※※

この作品は、先日連続投稿1400日という驚きの記録を達成された、先輩noterへんいちさんが主宰される【エッセイ講座】に参加させて頂いた作品です。
テーマは「正月」、作品は1000文字、そして2人以上の会話を入れるという条件付きの課題でした。締め切りに追われるエッセイ作家の気分を味わいつつ、大苦戦の末、書き上げた作品です。一応合格を頂きましたがヾ(≧▽≦)ノ
「一体初稿からどんだけ赤ペンを入れられたのかしら」とニヤリとしながら読んで頂ければ嬉しいです。また次回のこの講座に一緒に参加して頂ければも〜っと嬉しいです!







サポートありがとうございます!  迷わずお菓子を大人買いしますよ?怒りません? ありがとうございま~~~す  ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ