僕の大好きなアーティスト(前編)

(※注:このnoteには一部「LIVE IN LIVE~17才から17年やってますツアー~」のネタバレが含まれています)

2019年2月3日、僕は広島のライブハウスにいた。大好きなアーティストのツアーライブが行われるからだ。

彼らの名は、Base Ball Bear。通称ベボベ。 ボーカル兼ギターの小出祐介(こいちゃん)、ベース兼コーラス他の関根史織(関根嬢)、ドラム兼コーラスの堀之内大介(ホリくん)のスリーピースバンドだ。2001年11月11日結成で、今年で18年目に突入する。ちなみに彼等の結成当時、僕は2歳であった。

Base Ball Bearの魅力。好きな僕から見れば数えきれないほどあるのだが、一般的に言われているのは「独特なコード進行」と「小出の文学的な歌詞」の2点だと思っている。僕は音楽の技術に全く詳しくないので、コード進行についてはよくわからないが、詞については大いに賛同できる。決して難しい言葉だらけというわけではないが、的確に的を得たフレーズをリズミカルに散りばめるのだ。そのセンスと美しさは、彼の書いた歌詞が縦書きに書かれ詩集として出版されるほどのものだ。

他にも良いところ、好きなところはたくさんあるのだが、こればかりはもう曲を聴いていただくしかない。同じ曲、同じ歌詞でも、僕とは違った捉え方をして、僕とは違った感想を持つだろうから、ここで僕があれやこれやと講釈を垂れる必要はない。

友人の薦めによってBase Ball Bearと出会った僕が彼らの音楽の魅力に取り憑かれるのにそう時間はかからなかった。はじめに借りた「バンドBのベスト」、「二十九歳」、「C2」、「新呼吸」、僕がCDのフラゲというものを初めてした「光源」など……。彼らのアルバムは、一曲単位でももちろん素晴らしいのだが、通しで聴いた際に浮かび上がるひとつの物語のようなものがどうしようもなく素敵なのだ。高校時代の片道一時間の電車通学、思えばほとんどの時間をBase Ball Bearのアルバムたちと過ごしたように記憶している。

そんな中で、2019年のツアータイトルが発表された時、僕は一瞬考え、そして「なるほど」と納得した。

「LIVE IN LIVE~17才から17年やってますツアー~」

「十七歳」。2007年にリリースされた、表題曲「17才」から始まるBase Ball Bear通算2枚目のアルバム。テレビアニメやバラエティ番組のテーマ曲に使われたような曲も収録されている、Base Ball Bear屈指の名盤である。2018年が終わり、Base Ball Bearにとっては17年目が終わった。このタイミングで、「十七歳」と最新作「ポラリス」の曲を中心にライブツアーをやるというのだ。

リリースから12年が経っている。小出の言葉を借りれば「小6」である。それだけの年数を経れば、演奏する側の人間も聴く側の人間もかなり変化が生じるものだ。まず、12年の間にBase Ball Bearはメンバーが1人減った。当初、というか2016年というほんのつい最近まで、Base Ball Bearは4人体制のバンドだったのである。メンバー脱退後、サポートメンバーを加えるなど試行錯誤を繰り返し、現在の体制になっているのである。

そして、聴く側も変わっているのだ。

僕がこのバンドに出会った頃、即ち高校1年生の頃は、あまりこのアルバムを好んで聴いてはいなかった。正直に言うと、心情や世界観があまりよくわからなかったのだ。

しかし、今なら、19歳の僕なら、「17歳」を経験した僕なら、わかる。完全に理解はしていないかもしれないが、若さに思いを馳せることはできる。僕の行った公演には、同世代と思われる方も結構な数来ていた。おそらく、彼ら、彼女らも「17歳」を通りすぎる過程で何かに気づいたのだと思う。高校2~3年生。大きな夢を持ったり、甘酸っぱい恋をしたり、現実に絶望したり、大人ぶって背伸びをしてみたり、そうやって成長していくんだ、と、自らの成長と共に感じていったのではないだろうか。そう考えてこのアルバムを聴くと、「十七歳」というタイトルにしては大人びた曲の多いことに多少の違和感と心地よいむず痒さを感じることだろう。

とんでもなく前置きが長くなってしまったが、話をライブハウスにいる僕の視点に戻そう。

17時10分。雨などの影響で入場に時間がかかり、予定より少し開始が遅れてしまった。その間も、僕は3人の登場を今か今かと待ちわびていた。すると……ベースの関根嬢が出てきた。続いてドラムのホリくん、そしてギターボーカルのこいちゃんだ。既に、感動で身がうち震えてくる。3人がそれぞれの楽器の微調整を行うのを見ながら、憧れの、大好きな人たちが目の前にいる喜びを噛み締めた。

調整が終わり、ホリくんのリズムに合わせて最初の曲のイントロが始まる。予想はしていたが、やはり最初はこの曲だった。

17才 It's a seventeen 檸檬が弾けるような日々
生きている気がした気持ち それがすべてだ
17才 It's a seventeen 黒い髪の君がきらり
掴んだ腕 残るBCG wow wow
♪17才

新しい17才が、始まった。

(後編へ続く)

https://youtu.be/2cdfJbdLZoA

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