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6月24日「人間の栄養は、なんてことのない日常の些細な出来事の積み重ね」

今日もかなり蒸し暑かった。とてもまだ6月だとは思えない。
でもかなり風が強かったせいもあり、歩いていると案外心地よくも感じられた。

たっぷりと昼寝をした後の夕方に、ぼうっとした頭のまま夕飯の買い物に出かけた。
私が歩く道のちょっと前の横道から、スーツ姿の若いお父さんとよちよち歩きの女の子が手を繋いで出てきたのを何気なく見ていた。

強風で葉っぱや紙が地面を行ったり来たりして、まるで法則のない面白い動きをしていた。
私はその葉っぱたちや女の子を見るともなしに見ていたが、女の子が私の前を横切るときにチラッと葉っぱを見ているのに気付いた。
「・・・あれ?」と好奇心丸出しのその目が何とも可愛らしくて、ちょっと気になったのだ。

親子は一度はそのまま通り過ぎたが、女の子はやっぱり葉っぱが気になったみたいで、お父さんと繋いでいた手を急に振りほどいて戻ってきた。

「○○ちゃん!?あぶないでしょ!?」
「・・・はっぱ♪」

大慌てで子どもを引き戻そうとしたお父さんだったが、女の子がなんとも嬉しそうにそう言ったからか
「なんだ。葉っぱかぁ~。うん、いいよ」
と一緒になって踊る小さな葉を追いかけ始めた。

その一瞬のなんてことのない風景を見て、私はとても幸せな気持ちになったのだ。
小さい葉っぱにあんなにも興味をもって夢中になっている子。
急いでいたみたいだったけど、子どもと一緒になって喜んで葉っぱを追いかけるお父さん。
なんて豊かな景色なんだろう、と自然に笑顔になった。

きっとあの女の子もお父さんもすぐに忘れてしまうような小さな日常の出来事だったと思う。
でもその時に親子で共有した嬉しさや心地よさは、年月が経っても体や記憶の中にちゃんと刻まれて、きっと彼らが生きていく上での素晴らしい栄養になっていくと思う。

人間が生きていく上で必要なのは、きっとこういった日常の些細な出来事の積み重ねなんだと思う。
何も大きな特別な出来事なんかじゃなくて。

死ぬときに「あぁ幸せだったな」とふと思い出せることが、いくつか自分にもあるように残りの人生を生きていきたい。




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