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出会いは突然に...

わたしは、YouTubeをよく見る。
ある日、あなたへのオススメ的な動画一覧に
馬運車(競走馬を運ぶ車)の中に密着したものを見つけた。(厩務員の面接を受けるか受けないかで迷っていた時期があり、馬について調べていたことがあるからオススメ動画に?)

昔、高速道路でJRAの馬運車を見た事があった。
この中に競走馬が居るなんて信じられない!
と、大きくて迫力があったのをよく覚えている。

興味があり視聴してみることにした。
視聴が終わると、またオススメ一覧が出てきた。
それは、2020年のG1ジャパンカップで
東京競馬場に到着し馬運車から出てくる競走馬の動画だった。

引退した、アーモンドアイ、コントレイルが車から降車。『へー、馬も長旅でお疲れ様だ。
しかし競走馬をこうして見るとなかなかカッコいいし、やっぱり馬は優しい顔立ちで好きだな』と思った時最後に車から出てきた馬を見て
『なんだか目が優しいんだけど、どこか不安そうなかんじな馬だなー』と、すごく引き込まれる瞳をしていた。


名前は、デアリングタクト。
名前から男の子?かな?と思ったら当時3歳の女の子だった。(現在5歳)

デアリングタクト(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規

そこからなんとなく気になりつつも日常生活を送っていた。

私は、競馬はまったくわからない。むしろ苦手だ。賭け事が嫌いな私はそんな先入観で
競馬番組の実況さえ耳障りに聴こえてしまっていたからだ。

そしてまた、ふいにYouTubeを見たら
今年のエリザベス女王杯に
デアリングタクトが出るのだというからビックリした。

知り合いに、その事を話したら
『その馬って過去にすごい強かった馬』だということを教えてもらった。
すぐにYouTubeやWikipediaで色々と調べた。

この馬、サラブレッドなのに小さな夫婦経営の牧場で生まれている。
しかも、右前脚けい靭帯炎で普通なら引退するところを1年以上休んで復帰しているではないか。
信じられない。けい靭帯炎でまた走れるの?
と驚いた。
そこには大人の事情が絡んでいたとしても、
馬がまた走ろうとする威力はすごいものだと。
それから一気に興味が湧いた。

そして、無敗の三冠牝馬だということがわかった。
桜花賞、オークス、秋華賞と競馬がわからない私でさえもその大きな大会は知っている。
いわゆるG1だ。
そして、デアリングの走りを見て驚いた。
最初は、真ん中より後方をずっと保ち
最後の直線で一気に何頭も抜いて1番になっているのだ。初めて見た時の衝撃は、競馬が苦手な私をも魅了した。決して目立つことなく最後の最後で前に前にと出てくるのだ。
(とくに私のお気に入りは東京競馬場のオークス)
その走りに強さを感じた。

そして、生まれた時は小さくて貧弱だったこと
性格にとても繊細な部分があることを知った。

運命を感じられずにはいられなかった。

私自身、病気や休職をした経験があるからだ。
そしてなにより、繊細なところが似ていて
デアリングタクトを応援したいと強く思うようになった。

リハビリを頑張る姿に心うたれた。
ひたむきに頑張り続ける彼女は強い。

調教中の追込みでムチでバシバシされた日の落ち込みようは食欲がなくなるくらいひどかったらしい。
普通の馬は、逆らしいから彼女はやっぱり繊細。
だけど、強いだけではなく繊細さも兼ね備えているからあの走りができるんだと調教助手の方が言っていた。

明日、大きなレースG1 ジャパンカップが
東京競馬場で行われる。
中1週休んで脚の状態次第といわれていたが
正式に、出馬が決まった。

正直、また怪我をしたりしたら
デアリングは今度こそまた立ち直れるのだろうか。
もう引退してお母さんになればいいのに。
2400mを走りきれるのだろうか。
もし、最悪な事態にでもなれば、、、、

なんて考えてしまう反面、
もうデアリングタクトはダメだと一部の人の声がある中で、怪我をしたって休んでもまた這い上がって復活して優勝できるかもしれない。
壁にぶつかって挫折したからこそ、また強くなったと信じてる。
だから信じて明日は全力でデアリングタクトを応援したい。
そして、引退してお母さんになって強いサラブレッドを産んでゆっくり大自然の中で余生を過ごしてほしい。

競馬が苦手だった私が、デアリングタクトという馬に出会えことで少し世界が変わった。
競馬はギャンブルという偏見は捨てた。

馬達にはみんな成長のストーリーがあり
そこには沢山の人が携わり大切に育てられている。
そこにはレースにかけられたお金以上の何かがあると思っている。
サラブレッドに生まれた以上、競走馬として走り続ける人生ではあるけれど、なによりその走りやストーリーに人間のわたし達も日々パワーを貰い続けていると思う。


頑張る必要はない、もう十分頑張っているから。
願うのは一つ。
現役最後のレースになるかもしれない、
府中の2400mを最後まで無事に走り切ってほしい。

そしていつか、
のんびりと過ごすデアリングタクトに会いに北海道へ行きたい。

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