「緊張してしまう」こととどうやって向き合うか 23.

スポーツ選手は、「緊張」と常に向き合っている。

本当の勝負がかかった場面で、緊張しない選手は、たぶんいない。

「今日緊張してないんです!」って言う子は、自分が緊張していることを感じられないくらい緊張しているサインだから、指導者は気を付けた方がいい。

緊張には、良い緊張もあれば悪い緊張もある。

良い緊張感はモチベーションを高め、勝負に対するテンションを上げることにつながり、良い準備ができるようになる。

悪い緊張は、余計なことが頭をめぐり、思考と体が硬くなってしまい、自分の実力を発揮することを妨げる。


僕ら指導者は、緊張とどうやって向き合うかを教え子に伝えるべきだと思う。

緊張をほぐすために僕が大切にしていることは、緊張の対象から思考を逸らし、目の前の準備に集中させることである。

そもそも自分の実力というのは、準備の段階でほぼすべて決まっている。つまり、試合の直前で自分の実力を急激に上げることは無理なので、今持っている自分の実力を発揮させるための準備に全神経を注がせるような考え方を教えてあげる。

緊張する理由は、自分の準備不足による自信のなさに起因していることが多いと感じる。自分が最高の準備ができたと感じられるときは、緊張が少し小さくなるような気がする。
自分の実力通りの結果が出せるかどうかに思考が向いてしまい、不安になってしまう。だから緊張してしまう。

試合の前日や当日は、自分のやってきた準備を信じて、試合に向けた頭と体のアップに全集中することが大切だと思う。
自分の体をうまくほぐして、自由に体を使えるように普段からやっているやるべきことをきちんとやることが大事。

それでも、最高の準備をしたとしても、人は必ず緊張する。その勝負にかける思いが大きければ大きいほど、緊張するのは当然だ。


まず、自分が緊張していることを認識することが必要。その上で、緊張をほぐすための努力を試合が始まるギリギリまで続けることが大切だと思う。

僕も現役時代、試合の前日は緊張していた。そんなときは、ペアと話し合いをして、自分たちがやってきたことが間違っていないことを確認する作業をしていた。これ以上ないほど最高の準備をおれたちはできている、と自分に暗示をかけるように。

実力があるかないかは、このような思考プロセスにとっては関係ない。そして、こういったコート外の学びこそ、自分がその競技を引退した後に何か別のことに転用できるようになるための基礎となる気がする。

人生において、緊張する場面が必ず来る。試験を受けるとき、面接をするとき、自分の人生が決まる可能性が高い場面に会うとき。さらには、好きな人と初めてデートをするとき、とかね(笑)。

緊張との向き合い方は、自分がより良い選択をできるようになるためにも持っておくと非常に助かるスキルだと思う。緊張の対象から思考を逸らし、今目の前にあるできることに全集中する思考プロセスは、僕が教える子にはぜひ伝えてあげたいスキルだ。

テストも試合も面接もデートも全部同じ。事前にどれだけの準備ができたかにかかっている。そして過去は遡れないので、自分のやってきた準備が最高なものであったと自分に暗示をかけること。そしてそれらが始まるギリギリのその瞬間まで準備をし続け、最期まであがくこと。

緊張しないようにするのではなく、緊張との正しい向き合い方っていうのを生徒と一緒に自分も考えられるようになるといいな。
そんなことを思いました。


ただし、保護者の皆さんたちの緊張を減らすのはかなり難しいです(笑)。その緊張を減らすための準備でできることは少ないので(笑)。

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