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のんびりやのカメさん、山とお花に出会う⛰🌷🐢【short story】



のんびりやのカメさんは、

いつものんびり。



どんなに頑張って頑張っても、

ウサギさんのようには、跳べません。



ウサギさんのように

なりたくて、


ずっとずっと頑張ってきたけれど。



ある時、大きくつまずいて、

もう、消えてもいいよ…。
それくらいに十分、頑張ってきたよ。

という

奥底から湧き上がるほんとうの声に出会い



ずっと探していた 大切なものは、

すでに もう 

ここ にあった!


と気づく事ができたのでした。



その後も、のんびりやのカメさんの旅は、続いていました。

当たり前のように。


それまでとおんなじ景色が、

カメさんだけの、のんびりペースで見てみると、

それはそれは、

とってもおもしろくて、

やさしくて、

たくさん助けてもらえて、

たくさんゆるされていることを、


感じられる日々に

もともと、生きていたんだと、

見えるようになったのです。



なぁんだ。

しあわせって、

足元に落ちてる石ころみたいなものだった!


それが、しあわせに見えるか、石ころに見えるか、それだけのこと。だったんだ。



カメさんは、今まで以上に、地球を遊ぶようになっていました。


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ある時、ステキな山に出会いました。

山は、話す必要がないのに、この地球にあふれる愛を、言葉に変えて、ウタにしてくれました。


山のふもとには、とてもとても可愛いお花が咲いていました。お花と山は、お互いに、そこにいる事が、とてもとても自然で心地良かったので、あぁ、ずっとこのままここにいたい。と、想いあっていました。


カメさんは、そんな事には気づかず、あぁ、毎日、ウサギさんたちは、本当に忙しそうだなぁ。でも、自分は自分のペースで、ハッピーを感じられるところで、生きていきたい。

きっと生きていける。


揺れる自分自身につきあいながら、楽しみながらも、歩くのが精一杯の日々を送っていました🐢



うまれもったいのちの凸凹キラキラ

そのままに。

本音で、自由に。ラクでしあわせに。


生きる。



そう決めて、そう歌いながら、歩きながら、


ほんとは、やっぱり、あきらめたくなる自分や、寂しさを感じている自分を、見つけていました。


そんな時、カメさんは、山のふもとに咲くお花に、急に、話をしてみたくなりました。


お花さんは、快く、「お話してみたいです。」と、答えてくれました。


お花さんは、静かに、カメさんの思いに耳を傾けて、ニコニコ笑っていてくれました。

「カメさん、あなたのペースはとってもステキ!」

「あなたからきこえてくる香りのオトは、わたしの花びらを、とても心地良く揺らしてくれる。」


そう言って、キラキラしたひかりを、カメさんに分けてくれたのです。



なんて素晴らしい時間なんだろう!


カメさんは、当たり前の日々の中で、山のふもとに咲くお花に話しかける時間を持つようになりました。


それはそれは楽しくて、笑えて、自分でいられる時間になりました。



そんな時間を重ねたある時、お花さんが涙をこぼして泣いているのを見つけました。



大好きな、山と、一緒にいる方が自然で心地良いと感じているのに、それをうまく伝えることができない。と、悩んでいたのです。


カメさんは、笑いました!
大きな声で、笑いました。


お花さんがお話する悩みと、カメさんから見た景色とは、あまりにも違っていたからです。


山は、ただそこに咲くお花さんと、ずっと一緒にいたいと思っていたし、お花さんも、それがとても自然で心地良いと感じている。


その景色の中に、なにひとつ、問題や悩みのようにみえるものが、見つからなかったのです。


お花さんは、言いました。

「どうしたら、きもちが伝わって、このモヤが晴れ、スッキリするんだろう。」


カメさんは、不思議でした。


ウサギさんのようにならなくても、自分自身のペースで、ラクで、しあわせに、生きていいんだ。と、自分を応援しながら、一歩一歩行くのが精一杯のカメさんにとって、それは、十分すぎるくらいに、美しい景色だったからです。



山は、山である事を楽しみ、そのふもとに咲くお花のことを、心底愛おしく感じている。お花は、そこに咲く事を、心から心地良く、自然で、大好きで、ずっとずっとこのままで…と願っている。



それだけでもう、すでに、十分。


ウサギになろうカメになろうという競争から離れ、山は山として、お花はお花として、ただそこに生きている。


まだまだその競争に、あわよくば参加したくなるような勢いを、じっと、本心がどこにあるかと見極めながら歩くカメさんからみたら、


どこにも、問題のように見える事が、見つからなかったのです。



カメさんは、悲しくて涙を流すお花さんをみて、また、笑いました。



お花さん、お花さんは、とってもステキだよ!


山は、ずっと、山だよ。



本当にご縁のあるお花と山は、
はなれることは、できないよ。


ずっと一緒に、いるしか、ないんだよ。



雨が降るように

風が吹くように

太陽のひかりが照らすように。



それはそれは自然に…



答えは、出てるから



だいじょうぶ なんだよ。



いつもいつも、
ステキなひかりをくれて、ありがとうね。



カメさんは、やっぱりまた、あのお花に会いに行って、お話したいなぁと感じながら、当たり前の日々に、帰っていったのでした。



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おしまい。




追記

あのとき、なんで、カメさんが大笑いしたかって?


だって、お花さんはね、

わたしは、山のように大きな存在にはなれない。って、言うけれど。


カメさんからみたら、お花さんも山も、おんなじ…ひとつに見えたから。


おもしろくておかしくて、可愛くて愛おしくて、とても楽しかったんだ。


ありがとう。



読んでくれてありがとう。 出会ってくれて、ありがとう。 通りがかってくれて、ありがとう。