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2024年08月01日の見解

昨日の為替相場ですが、日銀・FOMCを迎え大きく動きました。

材料がありすぎてかなり文章が長くなりますが、結構重要なことが多いので、チェックしてみてください。

ちなみに昨日のドル円の値幅は4.3円(430pips)になり、対欧州通貨のクロス円などはそれ以上の値幅となっております。

では昨日の流れをまとめていきます。


まずは豪州の四半期CPIの結果からです。

この発表で大きく豪ドルが売られます。


【豪第2四半期消費者物価指数】

  • 前月比:予想+1.0% 結果+1.0%(前回+1.0%)

  • 前年比:予想+3.8%結果+3.8%(前回+3.6%)

  • トリム平均:予想+4.0%結果+3.9%(前回+4.0%)

【豪消費者物価指数】

  • 予想+3.8% 結果+3.8%(前回+4.0%)

【豪小売売上高】

  • 予想+0.2% 結果+0.5%(前回+0.6%)


豪州に関しては、CPIは「月次」と「四半期」があるのですが、重要視されているのは今回発表があった「四半期CPI」になります。


そして、なぜ今回の四半期CPIでここまで注目されて、結果と同時に大きく動いたのかというと、前回のRBA政策金利発表の際、ブロックRBA総裁が「利上げ」というワードを出したことが要因です。


<6/18分のRBA政策金利発表の内容>

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-06-18/-4-35


この影響があり、マーケットも「利上げの可能性も出てきた」と解釈したため、7月12日ぐらいまで大きく豪ドルが買われていました。

以下が前回のRBA政策金利からの豪ドルの流れを日足チャートにてまとめた画像になります。

しかし今回の四半期CPIに関して、結果はマーケットの予想通りとなりましたが、トリム平均値(コアみたいなもの)が3.9%と鈍化していることがわかりました。

この影響を受けて、「利上げは流石に無いだろう」ということで、大きく豪ドルが売られた結果となりました。


ちなみに現在の豪州の四半期CPIの推移は以下になります。


そして迎えた日銀会合ですが、ここから大きく相場は動き出します。

日銀のまとめが以下になります。


【BOJ政策金利】

  • 結果:利上げ(25bp)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-31/SHEXO2DWLU6800


【日銀声明発表】

  • 国債の買い入れ額、原則四半期ごとに4000億円程度ずつ減額

  • 長期国債の月間買い入れ額、2026年1─3月に3兆円程度

  • 国債買い入れの減額計画、全員一致で決定

  • 国債買入れ減額計画、来年6月の決定会合で中間評価行う

  • 長期金利が急激に上昇する場合、機動的に買い入れ増額や指し値オペ・共通担保オペなど実施

  • 必要な場合には決定会合で減額計画見直すこともあり得る

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240731a.pdf


https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240731b.pdf


【日銀経済・物価情勢の展望(展望レポート)】

  • 2024年度の消費者物価指数(CPI、除く生鮮食品)見通しを+2.5%(4月は+2.8%)、25年度を+2.1%(4月は+1.9%)、26年度を+1.9%(4月は+1.9%)

  • 2024年度の実質国内総生産(GDP)見通しを+0.6%(4月は+0.8%)、25年度を+1.0%(4月は+1.0%)、26年度を+1.0%(4月は+1.0%)

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2407a.pdf


【植田日銀総裁の発言】

  • 景気、一部に弱めの動きが見られるが緩やかに回復している

  • 金融・為替市場の動向や経済・物価への影響を十分注視

  • 為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている

  • 必要な場合は決定会合で減額計画の見直しもあり得る

  • 経済・物価見通しが実現していけば、引き続き政策金利を引き上げる

  • 0.5%という政策金利水準、特に意識しているわけではない

  • 追加利上げで経済・物価が減速するとはみていない

  • このタイミングでの利上げ、先行きの急激な利上げを回避するというプラス面もある

  • 円安、物価見通しが動くかもしれないリスクとして政策判断の一つにした

  • 賃金上昇が続く見通しの下で利上げの判断になっている

  • 金利の到達点について、今回利上げの影響を見つつ、歩きながら考える

  • 今回の利上げ、円安が必ずしも最大の要因ではない

  • 政策金利、まだしばらくは中立金利より低い水準

  • 保有ETFの扱い、もう少し時間いただきたい

https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/ZVAKBIQYUBIHLM5MIRRNTECJSE-2024-07-31/


日銀会合全体のまとめ

<金融政策のまとめ>

  • 7:2の賛成多数で「利上げ」決定(0.0−0.1%→0.25%)

  • 国債購入計画は「月6兆円規模」→1-2年かけて半減

  • 原則四半期ごとに「4000億円程度ずつ減額」して、2026年1-3月に3兆円程度とする

<展望レポートのまとめ>

<植田日銀総裁発言のまとめ>

  • 全体的に「タカ派」な発言が目立った会見

  • 利上げの理由は経済・物価の見通しに沿っていたから(オントラック(想定通り))

  • 従来の経済・物価の見通しが実現すれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ

  • 0.5%という政策金利水準、特に意識しているわけではない

  • 長い目では低い水準にある金利を少しずつ調整しておいた方が、急激に調整するより全体としてプラス

  • 実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持

政策金利発表時は、事前に観測記事などが出ていてマーケットの予想通りだったこともあり、そこまで乱高下はしませんでしたが、植田日銀総裁のタカ派発言を受けて、152.700円ぐらいだったドル円は150円まで下落する事になります。(もしかしたら欧州勢の投げ売りがあったかもしれません)


ライブで見ていましたが、かなり利上げに積極的な印象を受けました。

「年内の利下げがあるのか?」の質問に対して、「否定」もしなかった点を見れば、データ次第ではあり得ると解釈していますし、「0.5%」の政策金利水準でさえ意識していないと回答している時点で、かなりタカ派と言えますね。

この「0.5%」というのは今世紀最大の日銀の政策金利の水準になります。


いつもの姿勢なら、利上げをしない場合についても触れている印象(慎重)ですが、今回は特にそのような反応ではなく、利上げをする事について話をしていました。


このような姿勢があった事から「円高」方面に舵を切る事になります。

日銀会合を終えた時点でのドル円・クロス円の値幅は以下になります。

<日銀会合を終えた時点の値幅>

  • ドル円:3.9円(390pips)

  • ユーロ円:4.4円(440pips)

  • ポンド円:5.1円(510pips)

  • オージー円:2.8円(280pips)


そして、欧州時間には以下の経済指標がありました。

【欧消費者物価指数【速報値】&【コア】】

  • 前月比:予想-0.2% 結果0.0%(前回0.2%)

  • 前年比:予想2.4%結果2.6%(前回2.5%)

  • 前年比・コア:予想2.8%結果2.9%(前回2.9%)


結果が強かったので、ユーロが買われる事になります。

少し高止まりしている状態になるので、ECBの利下げの流れにストップがかかるのかどうか?という所です。


そしてNY時間には以下の経済指標の発表がありました。

【ADP雇用統計】

  • 予想+16.8万人 結果+12.2万人(前回+15.0万人)

【第2四半期雇用コスト指数】

  • 予想+1.0% 結果+1.2%(前回+0.9%)


上記の結果を受け、ADPではドル円は反応せず。

雇用コストに関しては、結果が出た瞬間に若干反応し、そのまま150円を割って147.800円に突入することになりました。

すぐに150円台に戻すことになり、FOMC&パウエルFRB議長の会見待ちという状態となりました。


そして迎えたFOMCのまとめが以下になります。


【FOMC】

  • 結果:据え置き(550bp)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-31/SHI214DWX2PS00


【FOMC声明文】

  • 最近の指標は経済活動が引き続き堅調なペースで拡大していることを示している

  • 雇用の伸びは緩やかで、失業率は上昇しているが依然低い

  • インフレ率はこの1年で緩和したが、依然としてやや高い水準にある

  • ここ数カ月間、委員会の2%のインフレ目標に向けてのさらなる進展がみられた

  • 委員会は長期的に雇用の最大化と2%のインフレ率の達成を目指す

  • 委員会は雇用とインフレ率の目標達成に対するリスクのバランスがこの1年で改善に向かっていると判断する

  • 経済の見通しは不確実で、委員会は二つの責務の両サイドに対するリスクを大いに注視している

  • 目標を支援するため、委員会はFF金利の目標誘導レンジを5.25-5.50%に維持することを決定した

  • FF金利の目標誘導レンジのあらゆる調整を検討するに当たり、委員会は今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する

  • 委員会は、インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信がさらに強まるまで、目標誘導レンジの引き下げが適切になるとは予想していない

  • さらに、委員会は保有する米国債およびエージェンシーローン担保証券の削減を続ける

  • 委員会は、インフレ率を2%の目標に戻すことに強く取り組む

  • 金融政策の適切な姿勢を評価するに当たり、委員会は今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する

  • もしも委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある

  • 委員会の評価は労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する

  • 今回の金融政策決定は全会一致


【パウエルFRB議長】

  • 責務の両サイドのリスクを注視

  • インフレ率を2%の目標に戻すことに強くコミット

  • この2年で両方の目標で大きな進歩を遂げた

  • 2つの責務にしっかりと焦点を当て続ける

  • 供給条件を改善し、堅調な需要を支える

  • 雇用市場の需要と供給のバランスは改善した

  • 経済が堅調なら、必要に応じて金利を維持する

  • 利下げが早すぎるとインフレの進展が逆転する可能性がある

  • 利下げが遅すぎると経済が過度に弱まる可能性がある

  • 労働市場が予想外に弱まった場合、対応する準備ができている

  • 最近の指標は経済が引き続き堅調なペースで拡大していることを示唆

  • データは雇用市場が過熱ではなく好調であることを示唆

  • FOMCは利下げに近づいているという感触を得ている

  • 9月FOMCで利下げが選択肢になる可能性ある

  • 今後の道筋は経済の進展次第

  • 今年はゼロから数回の利下げのシナリオが考えられる

  • 労働市場が軟化しているため、インフレの上振れリスクは減少している

  • 今から9月までの間に多くのデータが得られる

  • 政策制限を緩和する時が来ている

  • 労働市場の下振れリスクは今や現実のもの

  • 政策が制限的であることが今やはっきりとわかる

  • 政策は制限的だが、極端に制限的ではない

  • 今回のFOMCでは利下げの是非について真剣に議論が行われた

  • 委員会の認識では利下げに近づいているが、まだそこには至っていない

「据え置き」&「声明文」の発表直後はマーケットの予想通りでもあり、少し円安方向に進んだのですが、パウエル氏の発言が始まって、マーケットは「ハト派」と受け取り、金利差縮小から円高方向に舵を切ることになりました。


要するに「植田氏はタカ派」「パウエル氏はハト派」という構図ができたということになり、日本と米国の金利差がいよいよ縮小するのではないか?という流れになってドル円は更に下落しているという内容になります。


パウエル氏は「9月FOMCで利下げが選択肢になる可能性ある」「FOMCは利下げに近づいているという感触を得ている」など、9月利下げに向けての地ならしをしていた印象でした。


そして声明文で変更点があったとしたら、今までは「インフレリスク」にのみ焦点が合っていたのが、「2大責務の両面のリスクに留意する」と修正がありました。


2大責務の両面のリスクというのは「インフレ」「雇用(労働市場)」のことを指しています。


今までは「インフレを最優先で退治」しにかかるという流れでした。

しかし今回の声明では、「雇用とインフレの目標達成に対するリスクのバランス」について、改善していることも強調しています。


パウエル氏への質疑応答でも、「インフレに100%集中する必要はないと考えている。」「インフレの上振れリスクは低くなり、雇用の下振れリスクが高まっており、考慮する必要がある」などと回答している面からみると、インフレだけでなく、雇用もしっかり配慮していく姿勢を見せています。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-31/SHI21QDWRGG000


そして、FOMCを終えたマーケットの反応は以下になります。

年内の利下げは「3回」と見られている状態ですが、これは毎会合で利下げという意味になるので、流石にいきすぎかなと見ています。

ここから、次回のFOMCまで8週間空きますが、8月に関して「ジャクソンホール会議」があります。

このジャクソンホール会議で、パウエル氏が「9月利下げ」について踏み込んで発言するか?が注目されています。


次回FOMCまでのスケジュール感を把握しておきましょう。

  • 雇用統計(8/2)

  • 米CPI(8/14)

  • ジャクソンホール会議(8/22-24)

  • 雇用統計(9/6)

  • 米CPI(9/11)

  • FOMC(9/18)


上記スケジュールになります。

雇用統計と米CPIにて特に何もなければ、「9月利下げ」も現実視されていく流れになると思います。


そして昨日の動きについて株価の動きは、以下になりました。

金利低下となりましたので、米国株は上昇という流れになっております。

一旦調整の下落が入ったものの、米国株は引き続き強い印象です。


特に上昇したのが、「NVIDIA(12.81%)」になります。

要因としては以下になります。

<日本とオランダ、米国の新たな対中半導体制限から除外>

https://bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-31/SHHEC6T0G1KW00


このような半導体についてのポジティブなニュースが流れると、業界自体の株価が上昇します。

その代わり金利低下ということになりますので、銀行株が落ちている状況ですね。


本日の指標&要人発言


経済指標

  • BOE政策金利&声明発表

  • BOE四半期金融政策報告

  • 米新規失業保険申請件数

  • 第2四半期非農業部門労働生産性【速報値】/単位労働費用【速報値】

  • ISM製造業景況指数

※アップル・アマゾン決算


要人発言

  • ベイリーBOE総裁の記者会見


上記になります。


本日に関してはBOE(英国)政策金利になります。

そして米国の経済指標に関してはISMが控えています。

こちらも重要指標になりますので、警戒が必要です。

よろしくお願いします。

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