2024年08月16日の見解
昨日の為替相場ですが、やはり経済指標の注目先が変わりつつあるのか、昨日の米経済指標の結果で大きくドル円は動き出しました。
値幅で言えば2.3円(230pips)ぐらいになり、抑え付けられていた148円の壁を一気に突破することになりました。
そして株価に関しても大きく回復することになります。
株価が下落した要因として挙げられていた米国の景気後退を否定するような結果だったこともあり、株価は雇用統計の発表前の水準ぐらいまでには戻ってきました。
では昨日の流れをまとめていきます。
まずは東京時間ですが、日本の経済指標が以下になります。
【日本第2四半期GDP【速報値】】
前期比:予想0.7% 結果0.8%(前回-0.5%→-0.6%)
前期比年率:予想+2.1% 結果+3.1%(前回-1.8%→-2.3%)
GDPは強い数字となりました。
この発表を受け、午前中から為替には影響はありませんでしたが、日経225は上昇することになりました。
昨日は約1000円の上昇幅を見せており、37000円台後半まで回復してきています。
そして豪州にも経済指標も発表されました。
【豪失業率&新規雇用者数】
失業率:予想4.1% 結果4.2%(前回4.1%)
新規雇用者数:予想+2.00万人 結果+5.82万人(前回+5.02万人→+5.23万人)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-15/SI8KPST1UM0W00
この予想を上回った強い数字を受け、豪ドルが買われる対象となります。
対ドルでも60pipsほど上昇していますので、結構インパクトはあった内容になりますね。
内容的には高金利にもかかわらず、労働市場の底堅さがあらわれた結果となりましたが、現在のRBAの姿勢は「依然タカ派」を貫いており、「利下げに関しては時期尚早」の段階です。
このような背景があって、豪ドルが強い状況が続いているということですね。
そして欧州時間には英国の経済指標も発表がありました。
【英第2四半期GDP【速報値】】
前期比:予想0.6% 結果0.6%(前回0.7%)
前年比:予想0.9% 結果0.9%(前回0.3%)
【英月次GDP】
予想±0.0% 結果±0.0%(前回+0.4%)
【英鉱工業生産】
前月比:予想0.1% 結果0.8%(前回0.2%→0.3%)
前年比:予想-2.1% 結果-1.4%(前回0.4%)
【英製造業生産高】
前月比:予想0.3% 結果1.1%(前回0.4%→0.3%)
前年比:予想-2.3% 結果-1.5%(前回0.6%→0.4%)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-15/SI8ZV3T0AFB400
上記の結果となりました。
英経済も引き続き着実な成長を見せており回復しております。
この影響を受けて、ポンドが瞬間的な上昇を見せることはありませんでしたが、ここ最近のポンドの強さはこういった所からきているかもしれませんね。
対ドルで考えると、昨日米経済指標が無ければ、大きく上昇していた通貨の一つかもしれません。
そして迎えた米国の経済指標発表が以下になります。
【米新規失業保険申請件数】
予想23.5万件 結果22.7万件(前回23.3万件→23.4万件)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-15/SI9F01DWX2PS00
【米小売売上高&【除自動車】】
前月比:予想+0.3% 結果+1.0%(前回±0.0%→-0.2%)
前月比・コア:予想+0.1% 結果+0.4%(前回+0.4%→+0.5%)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-15/SI9F20T1UM0W00
【NY連銀製造業景気指数】
予想-6.0 結果-4.7(前回-6.6)
【フィラデルフィア連銀景況指数】
予想+6.0 結果-7.0(前回+13.9)
【米輸入物価指数】
前月比:予想-0.1% 結果+0.1%(前回±0.0%)
前年比:予想+1.5% 結果+1.6%(前回+1.6%→+1.5%)
まずは米新規失業保険申請件数からですが、予想を下回る強い数字となりました。
先週もこの「新規失業保険申請件数」でドル買いのきっかけとなりましたが、2週連続の低下ということで上昇に反応した様子です。
今は「雇用」に関連する経済指標は注視することにシフトした方がいいので、毎週発表される内容ではありますが、警戒は必要です。
そして米小売売上高も強い結果でした。
この個人消費が強いということは、米国の景気は良好なことを意味するので、今回予想を大きく上回ったことは、マーケット全体からすると、「やっぱり最近噂の50bp利下げは無いか・・・」という反応になります。
この二つの経済指標が注目だったので、双方が強い結果だったということで、米長短期金利に関しては大きく上昇することになり、ドル円に関しても一気に2円(200pips)の急騰につながりました。
この材料にて148円を大きく突破したわけですが、CPIより動くことになりましたね。
前回のFOMC終了から「注目される経済指標が変わりつつある」とお伝えしていましたが、今回の結果を見て、ある程度確信が持てました。
現在はやはり「雇用・景気」に関してフォーカスされはじめてきていますので、それに関係する経済指標を見ていかないといけません。(インフレ指標は見なくていいというわけではありません。)
雇用統計でいうと、以前は「平均時給」が重要視されていましたが、現在は「失業率・雇用者数」の方を見ていくというい意味になります。
この微妙な変化に気づくか気づかないかで「相場に巻き込まれる度合い」が変わってきますので、日々の変化をしっかり捉えていきましょう。
一応FedWatchも掲載しておきます。
そして昨日は要人発言も控えていました。
【ムサレム米セントルイス連銀総裁】
政策金利の変更時期が近づいている可能性
金融政策は中程度に引き締め的
労働市場はもはや過熱していない
最近のデータによりインフレに対する自信が強まった
下期のGDP成長率は1.5-2.0%と予測
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-15/SI9HUNDWRGG000
内容はハト派ですね。
「最近のデータによりインフレに対する自信が強まった」とのことなので、インフレに関しては鈍化してきている確信は持てている状態ということでしょう。
そして米株価に関しては以下になります。
昨日は株市場全体的に強い状況で、リスクオンが続いた印象です。
「経済指標が強かった=景気は良い=株価上昇」という構図になるので、昨日は経済指標発表時は素直に「ドル高・株高」で反応しているという状況です。
以前のインフレがメインに考えられていたら、米長短期金利上昇に伴い「ドル高・株安」となっていましたが、ここも変化してきている事を把握しておかないといけません。(良いニュースは株価にとって悪いニュースではなくなったという意味です。)
現在は「米国経済は強いけど、利下げはするだろう」という、株価にとって一番好条件な状態ということを把握していただければと思います。
本日の指標&要人発言
経済指標
英小売売上高&【除自動車】
米住宅着工件数
米建設許可件数
ミシガン大学消費者信頼感指数【速報値】
要人発言
ブロックRBA総裁の発言
オアRBNZ総裁の発言
グールズビー米シカゴ連銀総裁
上記になります。
本日は週末になります。
重要指標に関してはミシガン大学消費者信頼感指数【速報値】になりますが、この経済指標は同時に発表される「インフレ期待」に注目されていました。
しかしお伝えしている通り、インフレの鈍化ペースは低下してきてはいるものの、数字は着実に落ちてきているので、そこまで数字が乖離しなければ、反応は薄い可能性もあります。
それよりかは現在のボラティリティでの週末フローの方が影響する可能性もあるので、どっちみち注視は必要ですが。
本日もよろしくお願いします。
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