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初診日(わたしだけの乳がん物語 #6)


2023/7/7(金) 紹介先病院 初診

うだるような暑さの中、紹介先のS病院へ。日本でも有名な総合病院だけど、できれば来たくなかったな。病院なんてわくわくして行くようなところじゃないから。緊張感でいっぱい。

早めに着いて初診受付をし、乳腺外科へと。予想通り自分より若いと思われる女性が何人か座っていた。大病院だからけっこう待たされるのを覚悟していたけど、意外と早く呼ばれて、いきなり身長体重測定と血圧測定。もっと軽い洋服着てくればよかったか。寄りかかったためか身長が想定より1㎝低くてやり直ししてもらいたかった。

最初に記載しておいた問診票をもとに看護師さんと面談。淡々と経過や病歴を確認して、子供の話になった時にやっぱり涙が出てきた。子供にはまだ何も伝えていないと言ったら、看護師さんはちゃんと話した方が良いと言っていた。どう伝えていいか悩んだりしたら”チャイルドサポート”にも相談できるとのこと。今度相談してみようと思う。

せっかくのマスクが涙でぐしゃぐしゃになってしまったけど、もったいないからエスカレーターで降りる間にはずしてハンカチで拭いて使い続けた。

先生の診察前に改めてマンモグラフィ検査へ。機械が動くときに乳首をかすめて激痛だったけど、技師さんはそれこそ必死にわたしの小さな胸を確実に挟んで撮影するために頑張ってくれていたから、もちろん文句も痛がるそぶりもせず。大げさじゃなく、マンモグラフィのセッティングは肉体労働だと思う。

これだけ挟まれたら、せっかく非浸潤と言われているものが「ぶちゅう」と乳管ぶち破って浸潤しちゃうんじゃないかと心配になったけど、検査するってことは押されたり挟まれたり外的刺激で浸潤するのではないのだなと思った。

検査の後は先生の診察待ち。ふと面談した看護師さんが来て、問診票に書いてあった内容の再確認に。そのひとつに「この“ワイン5杯”というのは毎日…?」と聞かれてしまった。ごにょごにょしてたら、「だいたいでいいのよ」と優しい。「はい、、、だいたい、、特に最近はやけ酒で、、、」と言ったら笑っていた。

いよいよ診察。女性の先生の後ろに若い男性のフェローの方もいらっしゃった。今のところ非浸潤であること、ステージ0ということ、早期に見つかってラッキーであること、マンモグラフィの画像をパッと見てもこれは分からないね、と。H先生見つけてくれてありがとうございます。

その場でエコーもしてくださった。脇も大丈夫そうと。心配していた左側は、「確かに心配するようなものじゃなさそう」とおっしゃっていたけど、MRIを撮ってみないと分からないだろうな。

術前精密検査の日程が決まる

手術前までの精密検査の流れは、MRI→エコー→検査結果説明の順番。
それぞれ日程を決めるのだけど、なんとMRIの空きが早くて3週間後とな。最短でできる日が夏休みの旅行に被っていて、一瞬迷ったけど、こんな後なんだったらさらに1週間ずれたところで違いはないだろうと、おもいきって先生に旅行があることを伝えてみた。今の症状だと急ぐこともないからその翌週の8/7にしましょう、と。旅行はエンジョイしてきてくださいと。

MRIの日程が固まったから、それにともなってエコー、結果報告と最短日で決めてすっきり。

8/7 MRI
8/10 エコー
8/15 結果報告、今後の方針

目の前が一気に開けた気分。未来の予定なんて立てたくもないと思っていたけど、予定を立てられること自体、本当に幸せなことだったんだと実感。いいぞいいぞ、家族で夏の思い出つくろう。水着着て写真撮ろう。

閉所恐怖症のことも伝えて安定剤を出してもらうことに。結果報告も1人でよいと。

8/15に手術方針が決まるけど、今のところはどんなに病変が小さくても全摘を考えているけど、左胸も・・となった場合はまた判断が揺らぐと思う。だから先のことを考えても仕方ないのだと思う。

それからスタンプラリーのように、採血→採尿→心電図→胸部レントゲン→お会計で終了。今後の予定などを受付で説明されたけど、待合室で会話が聞こえてた方々はMRIが1ヶ月後でびっくりしてるんじゃないかな。大病院はそんなものなのか。

検査後はいったん最寄り駅に帰って、大事な大事な安定剤をもらってから子供の習い事待ちの夫と合流。診察内容や今後の予定を報告。Aくんには手術日が決まってから話すことで一致。一緒にお迎えに行って、家族はお寿司買って駅でバイバイ。処々の日程が決まるだけで気分が明るくなるのが不思議。時に曖昧というものは人を苦しめるのだな。そして前回組織検査のためにリスケしてしまった飲み会へ。

お酒と乳がん、食生活と乳がん

同世代の女性3人集まると、仕事の話や家族の話や健康の話が止まらない。友達からは組織検査のことを心配されたけど、要経過観察になったと誤魔化して何も言わず楽しく飲んだ。結局べろべろになって、帰ってきてからなぜか植木に水をあげようとして(酔ってるから)、はずみで家庭菜園のプランター倒して中身ぶちまけて、物音で外に出てきた夫に多大な迷惑をかけることに。ひじも負傷したけど。もうこんな飲み会は今年も最初で最後。久しぶりに楽しくてはめを外しすぎた。

乳がんになった原因…お酒が原因とは思いたくないけど、わたしはお酒が好き。それこそ家で毎日飲んでいた。自営業のため家で仕事することも多く、なんなら企画書なんか飲みながらの方がアイデアも出てはかどったり、早い時間から飲んでいることも多かった。

ただ、サラリーマンを辞めて自営業になった途端にコロナが始まり、家にいる時間が増えるのに比例して酒量も増えているなと感じていたのも事実。

病院のカルテにはしっかり嗜好欄があって、喫煙と飲酒について書かれていたな。診察前に看護師さんから“ワイン5杯”について再確認されたように、やっぱりリスクのひとつではあったのだと思う。

お酒も含めた食生活全般、乳がんについて検索するといろいろ出てくる。お肉NG、乳製品NG、脂質NG、砂糖NG、お酒NG、タバコNG…最後のふたつは置いといて、じゃあそれらを摂取してない方は乳がんにならないのかというとまた違う。代替療法、免疫療法、いろんな考え方があるけど、「わたしにとっての健康的な食生活とは」を改めて考えるのはいいことだと思う。

体と心両方の健康。そして、あくまでも主語は「わたし」。人様に強要するものでもなく、共感を欲しがるものでもなく、自分にとって何がいいのか、がんになってからでも遅くない、きちんと考えてみようと思う。

家族で乾杯する瞬間が幸せだから、これからもお酒は飲む。でも飲み方を変える。がんになったからこそ、この先は健康にならなければならない。

そういえば、ちょうど細胞診やら組織検査やらしていた時期に受けた今年の人間ドッグでは、内科の先生に痩せすぎを指摘されて、「痩せすぎはそれだけエネルギーが少ないし、大病になる可能性がある」と言われたな。その時もドキッとしたけど、結果が出た今では先生の言うとおりになってしまったな。

子宮がん検診の結果

またひとつ不安なことが。それは初診の前日に受けた子宮がん検診の結果。

会社を辞めてから、乳腺系と婦人科系は専門クリニックで定期検査を受けることにしていた。婦人科系も口コミで見つけたレディースクリニック。おじさま先生は物腰が柔らかくて優しくて、そこはブレストクリニックのH先生と同じ。

結果は子宮頸がんがクラス2、子宮体がんがクラス1でどちらも良性で問題なかった。心底ほっとして、先生も良かったね、と。「胸の方はどう?」と聞いてくれたので、初診を終えてMRIが1ヶ月後になっていることを伝えた。先生「乳がんは病名だけ聞くと大変だって思うかもしれないけど、盲腸とかと違って今すぐどうこう処置しないといけないものじゃないから。乳がんは作戦がすべてだから。今は時間がかかってもどかしいと感じるかもしれないけど、後戻りしないから大丈夫だよ。大丈夫大丈夫」と優しく言われて涙が出てしまった。

ありがとうございます、先生。「乳がんは作戦がすべて」
そう思うことでどれだけ焦りが落ち着くか。ブレストクリニックもレディースクリニックもわたしが選んだ先生は大正解だった。

細胞診結果の恐怖たるや

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