さらば消費者マインド

CDを作った。
今はそれを世に届けるために、あれやこれやと頑張って告知している。
知られなかったら、それは存在しないのと一緒だからだ。

今回のCD、はっきり言って全然今時ではない。
それは重々承知している。
今どきなものを作れるとも思えないし、作ろうとも思わない。
今どきか今どきじゃないか、それは本当にどうでもいいことだ。
興味が持てないのだ。その音楽がカッコいいのか悪いか、にしか。
これはもう治らない。嗜好の話だ。

きっとこのアルバムが世の中のチャートを賑わすこともなければ、地上波で流れることもないだろう。
否定しているのではなく、現実的にだ。
自分がいいと思うものを詰めこんだアルバムは、きっと今どきが好きな人には刺さらないのだ。
きっと無料のコンテンツが好きな人にも刺さらないし、手が届くサービスがないと満足しない人にも刺さらない。
それでいい。
いや、このバンドはそれしか出来ない。
それでも数少ない「刺さるであろう人」には届いて欲しいと思う。
見つけて欲しいと思う。

無料で楽しめるコンテンツはたくさんある。
色々な手段で時間つぶしだって出来る。
音楽が暮らしにマストじゃない人もたくさんいるだろうし、オレたちが刺さってたけど今はそうでもない人もいるだろうし、何なら「もうロックなんて聴かないよ」って人もいると思う。

この27年間、オレは変わらなかったし変われなかったよ。
変わっていった事は素晴らしいし、本当にいい事だと思う。
図らずも環境が変わってしまって変わらざるを得なかった人もいるだろう。
でもオレは出来なかった、ってだけの話。
一番ワクワクする事、それが音楽。

自分たちが世に出始めて、初めて全国紙のインタビューを受けた時。
「いま各地でお客さんも盛り上がってどこもソールドアウトだけど、こうなってみてどう?」というニュアンスの質問をされた時に、オレはこう答えた。
「この音楽はこんなに売れたらダメだと思う」と。

そしてやっぱりみんな消費されてしまった。
消費されるように切り替えたバンドもいた。
ちょうど良くうまく泳いでいったバンドもいた。
それでいい。それぞれ素晴らしい。
でもやっぱりオレは出来なかった、ってだけの話。

いまをときめくサウンドじゃない。
あなたの思ったようなサウンドじゃないかも知れない。
でももしかしたら、何かを変える一枚かも知れない。
何も変えないかも知れない。

ただ。

オレは変わってない。
あなたはどうですか?

オレがここまで生きて来た、全てが詰まってます。
オレの生きた証です。
いい事も悪かった事も全部含めて、これに集約しています。
消費者マインドではない、あなたに届いて欲しい。

さらば消費者マインド。

あなたにオレの何かが刺さることを祈ってやみません。
下ネタじゃないよ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?