見出し画像

ドブ底の天井で、水面を見下ろす。

 水泡が、きらきらと瞬きながら消えていく。

ああ、水底にいる。

そんな感覚。あの景色は忘れたくないなあ。



以下ネタバレあり



 冒頭、何を言っているんだ?と思います自分でも。
 正体は、rayイントロ後の銀テ大発射!!
 青い光で染まった会場の中、ゆらゆらと落ちていく銀テの反射が、水の中で立ち消える泡のようで。一時演奏を忘れて息を呑むほど美しい光景でした。天井最後座席だから見れた景色。

 ということで。行ってきました、今回も無理やり参戦!

BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 Sphery Rendezvous 名古屋公演2日目!!

 す、すふぇりーらんでぶーって読むんだぜ。
BUMPのツアー名毎回読むのむずい。Aurora arcにしろsilver jubileeにしろさ。受験単語じゃないからいつもアセアセしちゃうぜ。アルバムツアーなのでセトリは新曲多め。

セトリ↓










アルバムツアーだねえ

 めちゃくちゃ聴き込んだわけじゃないから曲に対しての所感は書けない。んだけど、特に印象に残ったところは記録にしておきたい!書きたいことはたくさんあるよ。


・Sleep Walking Orchestra
 始まり方はシングル版と同じだったはず。最初のリフ、ちゃんと増川弘明弾いてたんだ……いや知ってたけど……超弾いてんじゃん……うぅかっこよ……泣(1度目の涙)
 ダン飯の曲だからか、いつもより一層「生きること、そこから見える世界」を感じられる。にしても、サビでアンサーともう一つなんかの曲を思い出すんだよな〜〜……なんだっけ…………。わかる人いたら教えてください。
 どれも柔らかい言葉だけど、自分が生きている意味をいつだって探している。思春期的な「自分とは何者か」とはまた異なる構造で、"心臓が動いて血が巡る、そうして動いているデバイスがあって、その核である心にどんな記憶を残していくのか"、終始それを見つめている。BUMPから感じる優しさはその先にあって、「そうして刻まれていく記憶がどんなものであったとしても、それは価値ある君のものだし、それを残していく心はどんな形でも良いよ。」そう言ってくれる曲が本当にたくさんあるよ。話をライブのことに戻そう。
 アウトロで全ての楽器がビタって止まった瞬間、
両サイドモニターに

    「BUMP OF CHICKEN」!!
    「Sphery Rendezvous」!!

でかでかタイトルロゴ出たの、超〜〜激アツでした。良作アニメの1話エンディングみたいな。最後にopとアニメタイトル出すタイプの。ワクワク最高潮!始まった〜!って感じで再び涙じわり。

・記念撮影
 ドームの良さをめちゃくちゃ感じた。四つ打ちというか、クランチギタージャキジャキ系はやっぱりライブハウスの方が迫力は出やすいんだけど、こういう空間系の曲とドームの相性が良すぎる。
 改めて聴き直して歌詞を見てみる。サウンド面こそ進化というか変化を遂げてますが、私が愛してやまないCOSMONAUTの要素は大きく残ってるんだなあ。昔の僕らを想起して、そこから現在と未来を繋げた、懐かしくて前向きな曲だ。プレイヤーとして辛酸を舐めた経験は関係なしに、基本的に打ち込みへの拒否感というか、バンド編成を望んでしまう気持ちはずっとほんのりあるんだけど、これは自然と染み入る秋風のような、それでいて冬の明るい朝のような表情のある音ですごく好き。BUMPの中にあって欲しい音だ。
 この曲の歌詞が良い、BUMPの中で1番好きだと言った友人を思い出した。賢くイカれつつ、心身ともに健やかなイメージがあまりない人物だったが、彼は元気にしているだろうか。歌詞が良いよね、と口にしたあの時の彼の目には、何が映っていたんだろうな。それをすごく知りたくなった。ワンテンポ遅れたけれど、この曲の良さを噛み締める機会ができてよかった。再生リストの中で埋もれていった曲を再発見する、これもライブの醍醐味かもしれない。

・太陽
 くっっっっら。太陽って曲名でこんなに寂しい曲を作りますか?普通。強烈な共通認識、その裏から外を覗くことができる人が見ている世界はどれほど豊かで孤独なんだろうか。藤くんがそうだろうと言いたいわけではなくて、「普通」の裏があること、そこで生きている人のことを忘れずにいたいと思います。日食なつこのmeridianなんかもそうだね。ぜひ聴いてみてほしい。
 にしても寂しい曲だな。ともすれば痛々しい、とイヤホンを外しかねない。安定感のある今の藤くんが歌うから聴けた曲だと思います。指弾きが優しくて、それに託すように静かに歌い出す藤くんが印象的でした。ユグドラシル、やはり「自己」のアルバムだ。ああちょっと待ってくれ、俺を先に乗せてくれ。おいそこの空席に鞄置いてんじゃねえ。あゝ自己。

・星の鳥〜メーデー
 あ!これホームシック衛星でやったところだ!!聞けると思わなかった。何回見てもかっこいいな〜。思ってたよりテンポ遅いな〜とも思ったんだけど、もたつきさえも「重ねた年月の余裕」に見えた。MCでチャマに座って!水飲んで!って言われた後だったから遠慮なく座って聴いてたんだけど、衛星放送みたいな英語のアナウンスが入ってすぐ星の鳥始まったから思わずガバっっって立ち上がった。ライブ見る時は視聴覚全集中したいから基本手上げないんだけど、上がっちゃうよな〜これは。終わり方ギターのハウリング(かな?)で終わるのもライブらしくてよかった。

・レム

俺は!!今回!!!これについて書きたくてnote開いてんだよ!!!!!!!

 ごめんなさい、こんなこと言っておきながらこれを上手くまとめる力はないし、そもそもあんまりその気がない。実際に見てほしい。
 といいつつ最初「この曲なんだっけ……」ってなりました。ストリングスがうっすら入ってるけどアンタって二人称使ってるからユグドラシル…………?って推測しながら聴いてた。モーターサイクルと同じスタンスの曲かもしれない。それだけで好きになれる要素はたくさんなんですが、バンドアレンジが、アレンジが、ああ。もう一回見たい。DVD買おうかなあ。昔のBUMPが好きだったよ、って言ってる奴を全員黙らせてた。ヒロ、大変そうだったね。チャマも秀ちゃんもあの静けさを保ちながら低音入れるのは結構神経使いそうだ、ありがとう。あ〜〜レムすごくよかった、もう一回見たい。アレンジ部分を「鋭さが刺さる」って表現してる人がいた。本当にその通りだ。感情の発露、音は雄弁だね。

・SOUVENIR、Strawberry
 新曲勢。souvenirは結構ライブでも観たので新鮮さはないんだけど、毎回藤くんが楽しそうで良い。バンドあるあるだと思うんだけど、活動年数が長くなっていくと、ボーカルがスタンドマイクからハンドマイクに切り替えていく。「走って走って〜」からはメンバーのコーラス(というかほぼボーカル)を担いで藤くんが歩いたり急いだり恥ずかしがったりしてて、ほんとに自由だ。軽やかで優しい新しいBUMP OF CHICKENの形です。
 あと毎回思うけど、コーラスにおけるチャマの存在がデカすぎないか???おじさん3人で歌えばどうしても野太くなっても仕方ないはずなのに、裏声が綺麗すぎるのでちゃんと後ろで収まってる。私はKing Gnuの常田さんは井口のことをボーカルではなく楽器の一つだと思ってるんじゃないかと睨んでいるんだが、藤くんももしかしたら同じかもしれない。
 strawberryはいつも藤くんが言っている通り、リスナーを見据えて曲が生まれていることを1番実感する曲だった。ライブで会えたのに、終わったら君らの明日について行くことはできない、それを歯痒く思う気持ちがずっとある。何回も聞いた言葉だ。そんな葛藤……リスナー側からこう形容するのはちょっと恥ずかしいけど、モヤモヤに対しての答えの一つとしてこの曲があって、それをライブで聴く。そこにものすごい誠実さを感じます。
 この2曲はモニターに歌詞が表示される演出が取られていた。souvenirは8bit風の文字が上部に現れてはポロリと落ちて積み上がっていく。strawberryは歌詞が帯状に一節一節現れて、最後は曲内全ての歌詞に画面が埋め尽くされる。どういう意図かを考察する気はないけど、歌詞重視リスナーにはとても美味しい演出だった。

 演出の話をできたから繋げるか。
 だいぶ前から導入されたピクスモブ。
(※腕時計のように装着する小型の照明器具。来場者全員に無料配布、会場の電気信号で勝手に光ってくれて帰りはお土産になる。)
あれって天井席のために作られたんですかね??
 まあ多分違うけど、観客であの絶景を味わえるのはBUMP OF CHICKENから1番離れたところにいる私たちなんだ〜って思うと、もうドブ席とは言い難くなる。
 良いでしょ!!!!!rayで一面水色に光る会場、みんな見えなかったでしょ!!!○×△のレーザーも邂逅のスモークもみんな中にいたもんね!!!!!そういえばbe thereのダンデライオンの会場真っ黄色もマジでよかった。(あれ私って席の引き悪い??)

 MCについてはいつも通りというか。チャマが回して増川弘明がちょっとほにゃほにゃ口下手にこやかおじさんで秀ちゃんはマイク使わず叫んでた。可愛いなあ御年44のおじさんたち。
 いつもいつも体調不良者の心配をしてくれる。大丈夫、私も隣の人も元気だぜ。そして彼らはいつもライブの聴き方は自由であれとしっかり言ってくれる。私は着席指定のライブ大好きだし、シンガロング苦手だし、手も上げないしで完全にライブ同行者にしたら通夜になるタイプの人間なのですが、それでも良いよと言ってくれる。これがどれだけありがたいか……。誰よりもこの時間を余すとこなく掬い上げて楽しんで帰るぜ!!という気概はあるんだ、すごく。自分らしく、を具体的に挙げてそれでOK!と明言してくれるからBUMPのライブが大好きです。「私に」歌ってくれる、届けてくれるBUMP OF CHICKENが大好きだ〜〜〜!!!打ち込みサウンドでもぜーんぶずっと聴くよ!!(盛大な掌返し)
 アンコール後の藤くんMCもいつもと変わらないといえば変わらなかった。生きていてくれれば良い、生きてさえいれば俺たちはまた会えるよ。元気でなくてもいい、会いに来てくれれば「君がいたから俺たちが音を鳴らして、歌っていられる」それが伝わるから。何遍も聞いたけど、あの曲たちを生み出した人の言葉だからこそ本心だと思える。
 ありがとうね、私はあなたたちの曲があれば元気じゃなくても生きていけるよ。

タイアップとBUMP OF CHICKEN
 レムについてともう一つ書きたいことがあった。今回はIrisのアルバムツアーだったわけです。その実態、13曲中11曲がタイアップ、発表済み。これを批評しているすごく面白いnote記事がある。ぜひ読んでほしいです。BUMPをしっかり見て、聞いて、愛してきた人だからこそ書ける記事だなと思うし、私だって少なからず思っていたことだった。

 最近米津玄師がアルバム出したじゃないですか。その時のコメントを紹介しているツイートがあった。結構話題になってたから知ってる人も多いはず。

「音楽を聴くときはあなたと私の2人だけで話がしたいじゃないですか。」

 第三者が介入してくるというだけでタイアップを嫌う理由にはなり得る。

 ぎくり、と顔引き攣りました。ええ。これに歪みを足していくと「だからあたしのこの気持ちは絶対シングルカットさせないし」になっていく。
 傲慢ですよね。自分が好きになって聴いているアーティストが新しいことを試みたり、より多くの人に届くように、と作った曲にこんなこと思うなんてさあ。
 でも!!寂しいもん!!私はいまだにモーターサイクルを自分の曲だと思って聴いているよ……。
こういうファン心理を米津玄師は理解している、しすぎている故にすんげえボリュームのアルバムを出したわけです。
 じゃあ我らがBUMP OF CHICKENさん、あなたたちどうなのよ。って言われた時、私は昨日見たあの姿が答えなんだろうな、と。

 もう良いって……ってなるほど

     「君に歌いにきた」
    「君がいるからできた歌だ」

って指をさしながら伝えようとしていた、あの姿。

 そもそもの曲の立ち位置として、BUMPさんのタイアップ曲ってそこまで作品に漬け込んでいないというか。King Gnuとか、それこそ米津玄師が作るタイアップは「作中人物のイメソン」になり得る。今アンナチュラル見て6年遅れでLemonリピートが止まらなくなっている私が言うんだから間違いありません。あれは中堂系のイメソンたりえます。
 対してBUMP OF CHICKEN、概念ソングが上手すぎる。(※テイルズオブジアビスにおけるカルマは除く。あれはやってることほぼYOASOBI。作品の奴隷。すげえ。)
 souvenirとか全然決定的要素とかないじゃん。でもどことなくアーニャやヨルさん、黄昏に重ねられそうなところもあるじゃん。アカシアも同じで、"君に見つけてもらった時〜"、"君の一歩は僕より遠い"、"足跡は僕の方が多い"あたりで「!!サトシ!!ピカチュウ!!」ってなるけど、ポケモンも何も知らない人があのMCを聴いた上で曲を聴き返せば、音を届けにきたBUMP OF CHICKENを想起できると思うんですよ。
 つまり、BUMP OF CHICKENは自分らのスタンスを崩した曲を提供することはない。もちろん例外もあるかもしれないけど、傾向としては私の捉え方は間違ってないと思う。これはBUMPと米津玄師のどちらが良い悪いではない。まったく。そういう話じゃない。なんなら米津玄師だって己の色ゴリゴリに入れた上でイメソン作れるからすごい。
 ただ、音楽という媒体で行われる一対一の対話、それが欠けていると嘆いて今回のアルバムを批判するのは多分違う。もちろんそう感じるならそうで良いと思うし、これだって正誤はない。
 けど、彼らはいつだって誰かに届けるために音楽を作っていて、それを再度伝えるためにライブという場がある。そもそも彼らにとってはタイアップ先も「届けるべき相手」なのだし、現実的なことを言えばお仕事だから。食って行かなきゃならん。それでも、照準を狂いなく届けるためにMCで言葉を重ねている。それは忘れないでいたいね。

 まあでもやっぱり、新鮮な気持ちでアルバムを聴きたい気持ちもめちゃくちゃわかる。僕らはみんな、アルバムをとんでもね〜完成度の総合作品として放り投げてくれる彼らを知っている。
 「俺らはこういうのが好きだよね」って笑いながら作ったらしい青の朔日。そういう曲をてんこ盛りにしたアルバムも、またいつか聴けると良いな。その時までにはIrisを聴き古した1枚にして生きていくよ。

バイバイまたね、おやすみ!!


連休明けの観光地、まっっじでどこも臨時休業じゃねーか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?