見出し画像

宿をやりたいと思ったのは

保育士時代、休暇を利用して行った香川県直島。直島宮之浦港から徒歩10分圏内にあったゲストハウスに一泊したことがきっかけ。宿を営むくるみさんという陽気な雰囲気をまとった美人さんがお出迎えしてくれた。(現在は残念ながら閉館している)くるみさんと島内のおすすめスポットから、私自身のお悩み相談まで1時間弱はお話ししたと思う。同じタイミングで宿泊していた確か台湾から旅行で来ていた女性客もおり、夜はその女性と翻訳機を使いながら会話を楽しんだ。1泊2日のみの滞在だったが直島とくるみさんに魅了された。(3年後、直島に住むことになる。)
直島を訪れて以降、旅行に行った際にはゲストハウスや民宿を利用するようになり、宿主さんや訪れるゲストさんたちとの出会いがとても私の心に残っている。宿業に興味を持ち始めたある日、「ペンションメッツァ」という小林聡美さん演じるペンションのオーナーのテン子さんとペンションメッツァを訪れる個性溢れるお客さんとの物語が描かれたドラマを見た。小林聡美さんのあの言葉では言い表せない自然体な雰囲気と、歳を重ねるたびに増大している魅力溢れる人だと思う。そんな尊敬する小林聡美さん演じるドラマを見てあっという間に惹きつけられ、今でも落ち込んだり、意欲をあげたい朝によく見ている。(セリフも覚えた)「人間ってときどき誰かのために何かをしないと駄目になってしまう生き物なんですね、きっと。」という台詞はとても印象に残っている。私は1人が好きだし、どこへでも1人で行ける、1人でいる方が気楽だ。けれど寂しがり屋でもあり、時折急に友人へ電話したり誘ったりする自己中心的な部分もある。けれど、幸いにも私の友人らは優しく温かくいつも私を支えてくれる人ばかりだ。そんな友人らに甘えてしまっている私もいる。話が脱線したが、今までいろんな組織の中で働いてきて、後輩ができ指示を出すとかまとめ役になることもあった。けれど、しばらく経って違和感を感じ始めてものすごく息苦しくなる。これをどう言葉を介して周りに伝えたらいいのか分からない、その結果ミーティングを欠席したり、突然涙が出るといった不調に陥る。幾度となくこの経験を経て組織が不向きなのだとわかった。一応適応能力はあるようで、最初は頑張ってその枠にはまろうとするのだが、丸い枠に四角い枠がはまろうとするみたいに、元から異なる枠だからやがて限界がくる。気付いた時はなんだか楽になった。そんな私もいるのだと気付けた瞬間。それ以降、私にできることは何なのかを掘って行った結果、人が好きで嫌いでもあるが、自分を愛するためには他者の存在が不可欠であることも頷ける。まだ知らないことが沢山ある、知らない人が沢山いる、知りたいし会いたい、よし!その場を自分で作ろう!と宿をやることを決めた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?