人間の三つの衝動
こういう本があるそうだ。
レビューによれば、
若いころ、ハウツーものを飽き飽きするほど読んだから、「28のルール」ときたところで、読んでも立ち読み本だなと思った。そういえば、『話を聞かない男、地図が読めない女』は、読みかけたけれど、ちゃんと読まなかった。
でも、人間が誰しも抱えていて、それによって突き動かされるという「3つの衝動」については、興味を持った。
その三つとは、
③の「返報性の法則」というのは、何かを他人からもらえば、それと同等のものを返したくなるというもの。よいものをもらったり、よいことをしてもらったら、自分も同じくらい相手によいことをする。逆に、イヤなことをされたら仕返しをしたくなる、そういったものだ。
この項目をながめて、昔の私はこの三つにガチガチに当てはまっていたと思った。そして、常に乾いていた。でも、今は、これら三つの衝動が薄くなって、乾きもあまり感じなくなった。歳を取ったか?
①の「自分は重要な人間だ」は、若い時はそう思ってもらいたくて、がんばったけれど、誰も思ってくれなかった。それが、子どもが生まれて、ああ、この子にとって「私は重要な人間だ」と思えて、長年の数々のコンプレックスが激減したのを覚えている。
ただ、専業主婦だったから、色々と下に見られることも多かったし、保育園などの行政の制度でも置いてけぼりにされるし、何よりも自分で卑下していた。勉強でもしていなければ精神的に持たなかった。
専業主婦叩きがフェミニズムによるもので、特に日本のフェミニズムは共産思想だと分かったから、「エライ迷惑した!!」とは思っても、自分卑下は辞めた。フェミニズムの思うツボだからね。まあ、社会の風潮がそうだから、卑下しているふりはする。めんどくさいから。
②は飛ばして、③の「返報性」については、長女だからか、物をもらったり、いいことをしてもらったら、きっちりと”できるだけ早く”返さなければいけないと思った。借りを作りたくないから、何もほしくないし、いいこともしてほしくなかった。それなのに、悪いことをされて、仕返しをしようというのは、あまりなかった。お人好し?
ところが、次男坊の夫はとても図々しい人で、「ありがとう!」と言って、受け取りっぱなし。「返せるときに返せばいい」と言いながら、お返しをすることがなくても平気。世の中にはこんな人もいるんだ!とびっくりした。でも、色々な人からかわいがられている。何これ!?私も方針を転換しようとしたが、長女的体質が抜けないから、やっぱりもらうのは苦手だった。
何年か前に、「恩送り」という言葉を知った。いいことをしてもらって、してくれたその人に返すのではなく、できるときに、必要な人に何かしてあげればいいという考え方。「ああ、これならできるわ」と思った。でも、そのころになると、何かをしてもらうことはぐ~んと減り、私が何か手伝うことのほうが多くなった。
その相手は、気を遣って、何か持ってきてくれるけれど、受け取らないことが多い。まあ、お菓子を食べないから、もらっても困るというのもあるけれど、返してもらおうと思ってしたことじゃないから。
そうなると、「返報性の法則」も崩れた。
最後に、②の興味の対象は「自分自身」について。レビューにはこう書いてある。
私も、他人についてはこの前提を置いている。でも、自分についてはちょっと違和感がある。
徒労に終わることが予測できるものはやりたくないから、損をしないことを目指すという意味では、確かに自分の利益と言えるかもしれない。
15年前にどん底に落っこちたとき、私は自我を落としてきたようだ。だから、自分の利益が何なのかが分からない。強いて言えば、いい働きがしたいだけで、それが自分の利益だといわれたらそうかなと思うが、利益だと言われるなら邪魔なので、お天道様に捧げたい。
それなのに、何かをして相手が気に入らないことがあったら、「自分の利益のためにしたのでしょう!」と叱られて、なんか勝手にストーリーを作られたり、
2年前までチョイ仕事をしていたとき、別に、自分のキャリアアップなど望んでいないのに、自分のためにやっていると、いちいち翻訳して話さなければならなかった。
私はレアタイプなのかと思うけれど、日本にはそういう人が一定数いると思う。だって、そっちのほうが生きるのがラクなんだもん。私もこの茶番で色々と悲しいこともあったけれど、全然乾かない。
たぶん、昔の日本人って、そんな感じじゃなかったのかな?
「自分」「自分」ってうるせーんだよ~、と小さな声で叫んでみる。
吉野先生は日本には奴隷制がなかったこと、歴史上、何度も危機があっても乗り越えてきたことを考えれば、日本人は彼らの仕組みには絶対に入らない、とおっしゃっている。
そのウラには、
この三つとは逆のものを昔の日本人は持っていたのかもしれない。
アメリカの処世術の話もいいけれど、吉野先生の動画にある上杉鷹山の話などのほうが、乾くことがなくていいのではないかと思う。
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