sumika 横浜スタジアム公演から1年。

 今日で伝説の横浜スタジアムのライブから1年が経つ。この365日を「もう」と感じるか「まだ」と捉えるか。どちらかを選んで表現することは難しいが、ひとつだけ言えることはこの間に私は大学受験、高校卒業、大学入学という3つの人生の分岐点を経てきたということだ。彼らが11周年への道を歩んでいる横で私自身も新たなステージへと踏み出していた。


ずっとスマホのメモアプリに眠っていたライブレポを発見したので投稿します。
抜けてるところも多々あると思いますが、読んでもらえると嬉しいです。


  雨がこれほど美しく感じたことは無かった。今でも「明日晴れるさ」のオチサビでの片岡の歌声と重なる激しい雨音。今日のライブは雨無しには作り上げることの出来ない程、感動的なシーンが数多く見られた。
ライブ開催に関する規制が撤廃され、少しずつ元の姿を取り戻した音源業界。sumikaにとって声出し有りのワンマンライブは今日が初めてだった。横浜スタジアムに一堂に会した約33,000人のファン。打ち付ける雨は冷たいもののそこに集まった人々の温かさ、活気には勝つことが出来ない。寒さを感じることのないほど彼らの心は弾んでいたことだろう。

 ステージに姿を見せたのは片岡、小川、荒井、そして亡きギタリスト黒田のレスポール。ライブの出発を飾ったのは『雨天決行』。モニターに映された4人の姿が今も目の裏に焼き付いている。今日の始まりの合図が今ここに放たれた。続く『Lovers』『フィクション』ではファンの掛け声と共に築かれ、華々しいオープニングとなった。

 『ふっかつのじゅもん』での衝撃はほとんど全員の心を打ったことだろう。Cメロへ向かう直前で演奏がはたと止まる。そして片岡が黒田のギターをハイポジションで構えソロパートを弾きあげる。客席から聞こえた割れんばかりの歓声や拍手が耳を澄ませば今でも聞こえてきそうだ。
 『1.2.3..4.5.6』『ソーダ』でいっそう熱気が増していき『Porter』『惰星のマーチ』と次々にパフォーマンスが繰り広げられ、『イコール』では起用された高校野球アニメの情景が彷彿とされた。『enn』は片岡と小川のツインボーカル、『わすれもの』は小川のソロボーカルの楽曲で両者とも "大切な人" へ送る心温まる2曲だった。
 「当たり前を前提にして いつから考えていたのだろう」という歌詞が2/23にsumikaに降り掛かった悼ましい出来事と重なり目頭が熱くなるのを覚えた。彼が居ないという事実は変えられない。それが苦しくて仕方がない。アレンジSEにリードされ披露されたのは『New World』。これまでにない力強いロックサウンドが特徴の1曲だ。『Strawberries Fields』『No.5』はこれまでと打って代わり艶やかな雰囲気へと舵を切る。『秘密』『透明』の優しく包み込むようなメロディは寒さから私たちを守るかの如く心に沁み渡った。

 ここからはsumika[camp session]体制で楽曲が披露された。花道へ全員が移動し、キャンプファイヤーを囲んで和気あいあいとした雰囲気で話す姿が微笑ましい。『知らない誰か』はsumikaだからこそ書くことのできる歌詞で、今隣に座っている人も今日で「知らない誰か」ではなくなり、それを繰り返していくうちに「知っている」が増えていく。まさにそれこそが「縁」であり、sumikaがこれまでもこれからも大事にしているものが表現されている楽曲だった。『ユートピア』『Traveling』、数年ぶりのライブ歌唱『ここから見える景色』、トランペッターをゲストに招いて披露された『IN THE FLIGHT』。バンド形態とは違った音楽との向き合い方でライブ中盤戦を彩った。

 後半戦1曲目は『絶叫セレナーデ』。大きな風船やライブロゴがあしらわれた風船が観客の元へ降り注いだ。曲の最後には巨大な花火が空に咲き誇り、熱狂に溢れかえった。

 『Flower』『マイリッチサマーブルース』とハイテンポな楽曲が続き、その後は『The Flag Song』〜『チェスターコパーポッド』〜『KOKYU』〜『ライラ』〜『Jasmine』〜『Late Show』のメドレーが披露され会場の熱気は増すばかりだった。

 本編ラストは『オレンジ』。
「ただいま おかえりが 響きあい 広がる
当たり前 いや違うね ありがとう なんだよね」
 オレンジ色の照明に照らされ、今日の公演という「住処」に帰ってきた「私たち」に「おかえりなさい」そして「いってらっしゃい」と送り出す。私自身sumikaのライブへ足を運ぶようになってからこの言葉がとても素敵なものだと気付くようになった。生活のたった一瞬の会話でしか無いがそのやり取りが最後になることも少なくない。それを思い知ったのもまた彼らが歩んだ壮絶な出来事からだ。

 アンコール1曲目は最新リリース曲『Starting Over』。
「喜びや悲しみや苦しみも全部持って 憧れや羨みも隠さずに持っていって
諦めのその逆を血の滲むような強さで
抱きしめて捕まえて もう二度と離さないで」
 胸の奥に秘められていた想いの全てがメロディに乗って響きわたった、そんな瞬間になったと感じた。2曲目を飾ったのは『「伝言歌」』。空に届くようにと最大級の「伝えたい」を夜空に放ち、アンコールは幕を閉ざした。

 暗闇に包まれた花道に姿を現し披露されたのは『雨天決行-全楽章‐』。
「明日の世界を変えるように」
 その力強い言葉はこれからの彼らに降る雨の傘となっていくことだろう。

荒井「一生俺について来い!」
小川「未来が楽しみだから泣いているんです」
片岡「絶対に、やっぱり幸せにします」

 どうして彼らがこんなにも暖かく、愛に満ちた言葉を掛けることができるのか。その答えはこれまで歩んできた過去にあるとひしと実感した。彼らと一緒ならば、たとえ苦難が待ち受けていようと突き進んでゆける。彼らがこの日宣言した「築々と描く覚悟」。笑える明日を、未来を掴むためにさあ今日も始めましょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?