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「飲み会を断らない女」を強制されたくない

山田真貴子内閣広報官。公務員としてきっと優秀な女性だったのでしょう。組織に忠実すぎた結果、辞任という幕引きとなったことは本人も残念に思っているかもしれません。

元公務員として、このような接待問題は本当に許しがたく、これでまた忙しい公務員に「再発防止策」など求められ、e-learningなどさせられるのだろうと推察します。でも、そのe-learningの提出率が低いのは実は管理職層なのだから、本当に始末が悪いのです。

自称「飲み会を断らない女」のタチの悪さ

山田真貴子さんの文脈はこのように報道されています。

「どれだけ多くの人に出会い、多くのチャレンジをしているか。イベントやプロジェクトに誘われたら絶対に断らない。飲み会も断らない。断る人は二度と誘われません。幸運に出合う機会も減っていきます。」

この文章に「飲み会」のフレーズがなかったら、もう少し耳障りがいい言葉になったような気がします。

でも、ビジネスの場における「飲み会」に含まれるイメージって「職場の主におじさんたちの飲みニケーション」が少なからずあります。これを「断らない」のが、まさに「均等法第一世代」の思考だなと。

1986年に施行された男女雇用機会均等法。事業主が、採用・配置・昇進・定年・退職・解雇などに関する措置にあたり、「性別を理由にした差別の禁止」などが定められたわけです。1986~90年に「総合職」として就職した「均等法第一世代」の女性は、30数年間、男性社会に切り込んでいくべくハードワークをこなし、今日の地位を築いてきたわけです。

自分たちの「モーレツな働き方」の価値観を下の世代に共有する。しかも誇らしげに・・・本当に50代バリキャリ女性の悪いところです。時代はもう「新しい働き方」に移行しているのに、価値観アップデートが必要ですよ。

私は「行きたくなければ断る」女

「飲み会を断らない女」に抵抗感を感じるのは、私が長くシングルマザーとして子育てと仕事の両方を行い、かつ実家の支援なども得られない状況であったからかもしれません。

「飲み会を断ったら、チャンスが与えられないのか」

そんな不公平なことが罷り通るのか。勤務時間のパフォーマンスだけでなぜ評価されないのか。そこは非常に不満を感じていました。

もちろん広報という立場で、記者の方との懇親会など、「出席したほうがいい」と判断したときには、諸々のやりくりをして一次会だけでも参加するようにはしていました。

逆もあります。断る口実に子どもを使って「行きたくない」理由にしたことも結構あります。まあ、角が立たない断り方で、あえて「あなたとは行きたくない」とは言いませんでした。

優しい上司の気遣い

こんなこと書いていると誤解されそうですが、お酒は弱いけど、飲み会は楽しいし、参加するのも好きです。でも、全部が全部出席できるわけでもないし、その出欠で仕事のチャンスを決めないでくれ、というのが私の申し上げたい趣旨です。

以前ご一緒した心優しい上司は「お前は酒も弱いし、XXさんはどうせ二次会、三次会と続くから、植田は行けないって最初から断っておいたよ」とメンバーから外してくれたことをこそっと教えてくれました。

行きたい飲み会には行かせてくれ、行きたくない飲み会には行かなくていい、それでいいのではないか、飲み会を断らないことを武勇伝にしないでほしいのです。

でも、もしかしたら山田さんは仕事に懸命すぎて「断れない女」だったのかもしれませんね。自分がいない場所で何かが決まってしまわないか、知らない話が繰り広げられないか、そうなると職業病ですが、広報に関わる人はそういうタイプの人が多いのも事実です。でも、まともに考えたら、そんな全部を知り得るなんて不可能なのだから、どこかで折り合いつけていいんじゃないかと思います。

同調圧力がない職場のムード

飲み会に行けなくなって寂しく感じているのも50代以降。上司ほど飲み会に行きたがる典型です。部下はむしろホッとしている人も多いのかもしれませんよ。

部下から飲み会に誘われる愛される上司だとしたら、それはそのかたの人徳。

そして本当は飲み会なんて「行きたい人」「行ける人」が楽しく参加するような、職場の雰囲気から上司は作ってほしいのです。毎回断る人がいたとしても別に良し。だって個人の自由だから。だって、勤務時間外だから。

同調圧力なんて気にしなくていい、のびのびした雰囲気、飲みニュケーションなんてなくても取れるコミュニケーション。お酒の力を借りないとできない?そんなことないと思うんだけどなぁ。




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