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「Street Parked Survivors」 「路駐の生存車」

 こんにちは。
 先日から「Street Parked Survivors」「路駐の生存車」というタイトルの写真ライブラリーをYoutubeでみなさんとシェアさせていただいてます。

 コロナ騒動が始まる少し前、そろそろ何か仕事を始めなければと生活に先行き不安を抱える状況に追い込まれてしまいました。そんな時、たまたまFacebookの広告で、LAエリアでもサービスが始まったDoorDash・ドアダッシュ (Uber Eats・ウーバーイーツと同様のフード・デリバリー・サービス)がドライバーの募集をしているのを見つけました。
 iPhoneから必要な情報を送って応募してみると、恐ろしいことに誰とも面接や電話による会話もチャットもすることもなく仕事が始められてしまったのです。数年前にはライド・シェアのLyft (Uberと同じライド・シェア・サービス)にチャレンジしたことがありました。この時は、初日に自分の役割がAIと車を結ぶインターフェイスでしかないことに気づいて、それがいたたまれず一週間でギブアップしてしまったので、今回のフードデリバリーはどれだけ続くか、自分にとっても再びチャレンジだったのです。

 DoorDashの仕事のやり方は、アプリをオープンすると、AIがドライバーのiPhoneにオーダー(レストラン名と位置、ドライバーが受け取る金額、配達先の位置、そこまでの距離、所要時間などの情報を含む)を送って来ます。それを「Accept」すると、レストランまでのナビゲーションが始まります。それに従ってレストランまで行き、オーダーされた品を受け取って「Confirmed」と送信すると、今度はお客さんの家までのナビゲーションが始まります。それに従ってその住所まで行き、本人に渡すか玄関口に置いて、デリバリー「Confirmed」を送信するまでが一サイクルです。
 ドライバーは一切現金にはタッチせず(時にはお客さんが現金でチップをくれる時は別)、DoorDashからの報酬とお客さんのチップが合計された配達料金の週間の 合計が、毎週銀行口座に振り込まれます。
ライド・シェアと違う点は、車に乗っている時は常に一人なこと、レストランの従業員と関わること、食べ物をお客さんのDoor(手元)まで直接届けること、ですからデリバリー毎に最低2回は車を乗り降りして歩くので、一日乗りっぱなしのライド・シェアより結構な運動になるという点です。
 DoorDashのサービスは、約20キロ四方程度のエリアに分かれていて、僕が担当しているLAサウスベイ・エリアには、トーランス◎、レドンドビーチ◎、パロスバーデス◎、ロミータ○、サンペドロ○、ウィルミントン△、カーソン○の街が含まれています。ただし、このエリア内にあるレストランに入ったオーダーを配達するので、エリア外からオーダーする人も居て、マンハッタンビーチ◎やロングビーチ△、コンプトン▲(◎、○、△、▲、は、それぞれのエリアの治安ランキング)などの隣街まで足を延ばすこともあります。こんなに長くロサンゼルスで暮らしてきて、主要な表道りは何百回も通ったけれど、一度も入ってい行ったことのない住宅街に入って行ったり、一度も足を踏み入れたことない▲エリアに否が応でも行かされたり、毎日が初体験、新発見の連続でした。ある日は、◎エリアの牧場付き大邸宅へ届けた次が、△エリアのアパートへのデリバリーだったり、この仕事のおかげで、これまでテレビや映画の中でしか知らなかったアメリカ社会の格差を、自分の目で確認させてもらうことができました。そうこうしている内にパンデミックが起こりロックダウンなると、フードデリバリーがエッセンシャルワーク(必要不可欠な仕事)になって、車がほとんど居なくなった街を大手を振って走り回れるようにもなったのです。ですから、不謹慎ですが、ロックダウンがずうっと続いてくれればいいと思っていたほどです。
 

 クルマ好きの僕ですから、毎日街を走る車を眺めて楽しんでいたのですが、仕事に慣れて来た頃、△エリアのデリバリー先の路上に、きっと僕と同じ歳ぐらいのボロボロのシボレーが止まっていました。ボディーの塗装は日光に照らされ色が褪せて所々が剥がれ、ドアの下の方にはサビで穴が空いたりしています。ただし、路上駐車は72時間以上止められないので、こんなコンディションでも路上に駐車されているということは、年間登録料と保険代を払って稼働状態であることを意味しているのです。ですから、近頃は月々100ドル程度の安いリース料で新車に乗れるご時世なのに、こう言った乗りっぱなしで古い車に乗り続けるのには、単なる経済事情だけでなく何か深い訳があるのではないか?、ガレージにしまい込んだりピカピカにレストアしてしまうのとは違う、ひょっとしたらとても深い愛が注がれているのではないか?と考え始めたのです。そして、これらの古い車は、工場で大量に生産されて世に出てきた同年代、同型車の中にあって、大事故に遭ったり、主要部分が壊れて捨てられてしまうことなく、生き残ってたとても幸運な車じゃないか?ということも分かってきたのです。
そういう視点で「路駐の生存車」に注目すると、それぞれの車が「俺、私のストーリーを聞いて!」と語りかけているように感じ始めました。ボディーの傷や凹みの一つ一つにもそれぞれストーリーが秘められているのです。
そんな車たちを通りがかりに写真に収め出したら結構な数になってしまったので、みなさんとシェアしたいと思い、Youtubeで「The Street Parked Survivors」「路駐の生存車」というシリーズを始め、現在、Vol.3までアップしました。これがVol.?までどれだけ続くか、どうか
お楽しみに。
「Street Parked Survivors」「路駐の生存車」Vol.1
https://youtu.be/4RyqaAKEAy8
「Street Parked Survivors」「路駐の生存車」Vol.2
https://youtu.be/7MdOOV4neas
「Street Parked Survivors」「路駐の生存車」Vol.3
https://youtu.be/ADPOrrnW1_Y

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