どこからきてどこにいく-20240117

昨日はずっとお世話になっている親よりも年の離れた友人から飲みに誘われて御殿場に帰った。あれから美容院などに行くために割とちょこちょこと御殿場に帰ってはいるんだけど、飲みに行ったりすることはなかった。

「御殿場に帰る」という表現がするりと出てくることに驚く。
ひと晩を過ごすために宿をとるような場所が果たして故郷と言えるのだろうか、などと思いながらいつも自転車で通勤していた道を歩く。熱海の暖かさにすっかりなれてしまった肺を冷たい空気で満たす。
好きだったパン屋が改装していた。あの古めかしい内装が好きだったのになあとか無責任なことを思う。当たり前の顔をして聳え立つ日本一の山を見ても別になんとも思わない。でもなんとなく振り返ったらそこにあって、「ああ、建物の隙間にみちみちと詰まっている富士山割と好きだったかもー。」と思いながら写真を撮った。

昨日友人と飲んだことを思い出す。
私の中でちゃんと色々「終わった」と思った。昨年起こったドでかい出来事も、御殿場という故郷のような土地への未練も、なんだかもう全部まあいっかとぼんやり思いながら目的地へと歩き続ける。この街をあまり歩いたことなかったな、この街を歩くのって億劫だと思っていたな、ああ坂がなくて歩きやすいなとそんな調子で自分の中で何かが終わっていくのをしっかりと感じる。


ここまでこの文章を書いては手を止め、書いては移動して、まだ「終わった」御殿場で書いている。まるで孤独と言わんばかりの空気を纏った書き出しをしたけれど、昨日も今日も移動しているうちに知り合いにたくさん会った。今年もよろしくお願いしますと挨拶を交わしながら、そうかまたここに帰ってくるのかと頭の隅の方に過ぎる。今朝は付き物が落ちたかのように晴れやな気持ちでいて、もうしばらく帰ってくることはないだろうなあ、楽しかったなあなんて考えていたはずなのになんともおかしい話である。
でもなぜかなんとなくこの土地に「帰る」と言ってもいい気がして、「帰る」と言うために熱海に帰るための電車の時刻を調べることにした。


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