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相殺アグロメンター 脳内理論のコーナー

俺はこのジャンルならこういう形が美しいと思うんだよ!美しいから強いはずなんだよ!とコンセプトを設定したままほったらかしにしていたデッキの細部を詰めて、リストを載せるだけならChallengeに出場する方がリーグの5-0よりもハードルが低いし、と参加した所優勝したので、簡単にコンセプトを紹介します。現在のレガシー環境に一定程度触れている方向け。

コンセプトの紹介のみでSBガイド等はありません。

見やすい金魚形式が良い方はこちらを。2019/12に元リストが掲載、翌月私がそこからこのデッキの骨子を抽出、~1年放置~このデッキのことを思い出したので使用するべく細部を調整、という流れです。

https://www.mtggoldfish.com/deck/2696864#online

~そもそもこれどういうデッキなの?~

余談風の話から入って恐縮ですが、私は過去青白デルバーを熱心にプレイしていた時期があります。残念ながら灯争大戦以後の超パワーカードの群れには抗えず、「愛着があるから本当に悲しいが、現在のレガシーにおいてRUGかURg以外の色のデルバーはデッキではない」と回すのを断念しているものの、水面下で関連デッキの研究は続けていました。

つまり何が言いたいかというと、このデッキは現在のレガシー事情に合わせて調整したパトリオット(UWR石鍛冶デルバー)です。思想的には。結果的にデルバーも石鍛冶も不毛も姿を消してしまっただけで。


~「対応を強制する」という概念~

少し前のレガシー環境のことを考えてみましょう。

相手が反転したデルバーをコントロールしています。これを対処しないことには、最強PWたる神ジェイスを場に出してもボルト圏内から脱することができませんし、そもそも本体がそのうち死んでしまいます。


石鍛冶を出されました。召喚酔いが溶けるまでに除去しないと、4/4絆魂のライフレース崩壊生物をカウンター不能で出されてしまいます。

従って私はこれらに

・速やかに除去する
・これらで殺されるまでにコンボを決めて勝つ

というどちらかの形で対処することを強制されています。そんな時代が確かにありました――ほんの少し前までのことですが。今のゲームの様相は相当に変化してしまっています。

《殴打頭蓋/Batterskull》を出しても「ソレ今から鹿ね」と言われてしまいますし、デルバーで必死に削ったライフはウーロが雑に帳消しにしてきます。

もはやこの2枚は、相手に準備不十分な段階での行動を強制し、そこを迎え撃つという旧来のデルバーデッキの戦略を成り立たせる程の強制力を有していません。少なくともコントロール相手には。

《不毛の大地/Wasteland》も、マナがあるだけあれば嬉しい系重コントロールであるSnowkoは《アーカムの天測儀/Arcum's Astrolabe》の恩恵を存分に受け、序盤は基本土地しか置きません。圧力にならないどころか不要牌が入っているデルバー側が不利になる要因にすらなっています。

~復権の相殺~

ここからは私の脳内情報です。裏付けは「この理論に基づいて調整したデッキをぶっつけで初回ししたら調子が良くてレガチャレで優勝した」以外ありません。多分大枠は正しいのだろうとは思います。

さて、従来のライフやアドバンテージの概念が崩壊してしまったレガシー界においても、対応強制力がかなり高い部類のカードが《戦慄衆の秘儀術師/Dreadhorde Arcanist》です。「2マナの神ジェイス」とすら称されるこのカードが如何に強いかについては本論ではないのでここでは触れませんが、

重要なのは
・このカードを前提として構築されたデッキが多く、デッキの構成が1マナに寄っている

・このカードが働く際には1マナのスペルをFBしている

・最悪相手の秘儀術士がアクティブになっても、アドバンテージ差は開くがライフそのものが削りきられるまでには多少の猶予がある

・秘儀術士が入っていない青フェアは大抵アーカムデッキなので1マナがやはり多い

ことです。

これにより、《相殺/Counterbalance》が一方的なチャリスX=1として働きうる機会が非常に増加しています。

FoW*4+FoN*2が青フェアの標準装備となった現在のレガシーにおいて、ストンピィ系の構造のチャリスデッキが首尾よくチャリスを通せる可能性は然程高くなく、にも関わらず自分は強力な1マナのカードを使えないことによる構築上のハンデが厳しく、その挙句に「ソレ鹿ね」と言われてしまうのでチャリスデッキは現在あまり良いポジションには居ないと思いますが、チャリスがやっていること自体は強いのは間違いありません。

自分は1マナのカードを普通に使えて、カウンターでバックアップして通すこともできて、オーコに触られない。相殺はそれそのものが現在非常に優秀な脅威であることは頷けると思います。


~でも運次第でしょ?~

はい、その通りです。このデッキは普通のメンター系デッキではデュアルランドが入っている枠を削って1マナのカードを可能な限り詰め込んでありますが、それでも1/3が限度でした。独楽はないので完全ロックはできません。

灯争大戦発売頃にしばしば見た、《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》の+能力があれば《思案/Ponder》や《定業/Preordain》で相手の行動に対応して積み込める!

というミニコンボも一応搭載してはいますが、個人的にはこの2枚を揃えることは全く重要視していません。1枚でも割と勝ってるカードを揃えたがるのは二度勝ち症候群だと思います。オーバーキルしても1勝は1勝。

ただし、キャントリップにより予め「今相手が動いてくればCMC1をカウンターできる」状態に一時的にしておくことは現実的だと思いました。秘儀術士の影響で除去もCMC1に寄っているので、これは「除去をだいたい弾けるだろう」と読み替えられます。


~1ターンだけ守れるなら、その1ターン守れば勝てるクリーチャーを使おう~


・アクティブになったらその後色々あってだいたい勝っている秘儀術士
・アクティブになって手札があればほぼ勝つメンター

は相手側に放置を許しません。そこを相殺なり目くらましなりで迎え撃ちましょう。

以上をまとめると、単体でも優秀な脅威となり対応を強要してくれる上に後続を守る傘となってくれる相殺を軸にして、意識を軽くシフトして攻撃と防御を矛盾なく同時に行おう、というのがコンセプトです。つまりこれはデルバー。


~おまけの雑文~

・現在青系フェアデッキのサイドに4枚!搭載が標準になっているREB/Pyroblastを除去として活用させないことを意識

①相殺に対して除去として使おうとすると1/3位勝手にカウンターされて無駄になるので、相手は極力スペルのうちにカウンターしたがる。つまり相手が1マナしかない所でDazeを構えて相殺を出すと割と通った上で相殺への除去も消費させられる。

②テフェリーが通ると青いカウンター全てがゴミと化すため、「一旦通してから除去」が非現実的。従って、やはりカウンターとして対応せざるを得ず、以下①に同じ。

③これらが当てはまらない、ナーセットや船殻破り等の自衛不可能な青いパーマネントは不採用にすべき


・流石にメインにパイロ積む位なら針の方が当たる相手ずっと多くていいんじゃ?

https://www.mtggoldfish.com/deck/3611532#online

最近の青赤デルバーの標準となったリスト。この人がこのリストで数々の勝利を重ねています。

「オーコとウーロが憎いのは分かるけど、メインパイロはちょっと。もっと穏当に針にしようよ」と以前から思っていました。対オーコだけで考えても、先置き可能でキャストのタイミングを選び易い点が+。

ただし当然ウーロは全く止まっていないので、この針>REB理論が適用できるのはソープロで一応なんとかウーロを対処でき、なおかつ相手のライフがいくら膨れてもメンターが爆発すればどうにかできる、メンター系限定かも知れません。

・原型となったリストではアーカムが入っていなかったが、UUを2ターン目に出したい、相殺的にCMC1密度上げたい、メンター的にキャントリップ密度上げたい、不毛されるのは絶対に絶対に嫌、の4点からアーカム系マナベースへ

・このリストに限った話ではないけれど、デルバー(赤系)では余程の運の差がないと勝てない対ホガークメイン戦でも勝ちうるパターンがあるのはメンターデッキの特権。同じ白系ミッドレンジでも、石鍛冶では複数の理由で無理

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