出会いと決意
もともと音楽を聴くのは好きだったけれど、高2くらいまではライブには行ったことがなかった。
なんかちょっと怖かったというか、未知の世界で足を踏み入れられなかった。
本当の「出会い」
あれは忘れもしない2022年11月6日、秋風が気持ちいい新宿御苑にて。
ラジオのレギュラー番組の公開収録があった。
野外イベントだったし、いわゆる本格的な「コンサート」ではないみたいだったから、ふらっと軽い気持ちで行ってみた。
そこで本当の「川崎鷹也」と出会った。
もともと魔法の絨毯がバズった辺りから存在は知っていたし、曲も聴き込んでいた。
好きなアーティストは?と聞かれたら「川崎鷹也」と答えていた。
でも、彼の一番の魅力に、私はまだ気付いていなかった。
もちろんラジオだから最初は喋るのだけれど、とにかくトークが上手い。
彼の人間性が、オーディエンスをぐっと惹きつける。
私もその一人だった。
喋りがひと段落して、生演奏に移った。
とても幸運なことに、私は前から3列目のほぼ正面を勝ち取っていたので、彼との距離は約5m。
彼の音楽を享受するには十分すぎる環境だった。
1曲目、『君の為のキミノウタ』
「大切な人と出会えた奇跡」を歌った曲で、彼が今の奥さんに向けて書いた曲。
けれど、彼がステージに立つその瞬間だけは、私たち一人ひとりに向けられた曲へと変わる。
演奏中、何度も目が合った。
きっと勘違いではない。
溢れそうになる涙を抑えて、一音一音を受け止めるので精一杯だった。
そして最後の「これは君の為だけのキミノウタ」のフレーズで、まさかの私に向けて指差し。
それもあの爽やかスマイルで。
あれは、確実に、私に向けてだった。
精神的に、そして物理的にも飛び上がった。
隣に座ってた人、びっくりさせてごめんなさい。
彼はライブで、「みんなに届けにきたんじゃなくて、『あなた』に届けにきた」って言う。
この後足繁く彼のライブに通うことになるのだけれど、この言葉はいつも聞く。
それを、初めてのライブの初めの曲で、体験した。
その後すぐに2曲目、『魔法の絨毯』。
正直、君為で心を揺さぶられすぎてあまり記憶がない。
彼の圧倒的代表曲を、この耳で聴けたのが本当に幸せだった。
また喋りに戻り、観客との交流を楽しんでいる。
きっと、人が、そして音楽や言葉を届けることがすごく好きなんだろうな、と思った。
そして最後、『ほろ酔いラブソング』
当時の私が狂ったように聴き込んでいた曲だった。
みんなで手拍子をして、演者とオーディエンスが一つの空気に包まれていた。
まだコロナ禍で声出しはできなかったけれど、いつか「Oh, My love」とみんなで歌える日を夢見ながら、幕が降りた。
3曲とも、めちゃくちゃ目が合った、たぶん。
手も振り返してくれた、たぶん。
何より、笑顔で、そして思いを込めて私たちに音楽を届けてくれる彼の姿を間近で見られて、幸せな気持ちで帰路に着いた。
何より、「川崎鷹也」という人間が、本当にこの世に存在しているのだということを確認できてよかった。
「今日のために生きていてよかった」心からそう思った。
決意
「彼のライブに行きたい」
終わった瞬間からその思いでいっぱいだった。
当時の私はバイトをしていない。
必要最低限のお小遣いをもらっていただけなので、ライブに行く余裕などない。
バイトを始めることを決意した。
そして、2023年はとにかくライブに行く一年にしよう、そう決意した。
「これから先、彼のライブに行くために頑張ろう」と思った、そんな日だった。
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