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世の中につまらない仕事や雑用はない。
人間が用を雑にしている時、それは生まれる。

これは、ベストセラー『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎)の著者として知られる故・渡辺和子さん(2016年没 元ノートルダム清心女子大学・学長)が、自身の著書『幸せはあなたの心が決める』(PHP出版)の中で綴っている言葉です。

アメリカの修道院に入った渡辺さんは、キャリアを競うようなそれまでの仕事とは違い、掃除、洗濯、アイロンがけなどの「雑用」に明け暮れる日々。大きな食堂で100人以上の修道女のためにお皿やスプーンを並べている時、やりがいも報酬もない単純な作業だと思って機械的に動いている渡辺さんに、年配のアメリカ人指導者が声をかけたそうです。

「一つひとつ音をさせないように、静かに置いてごらんなさい。さらに、そこに座る人が幸せになるようにと、心をこめて置いてごらんなさい。」

読書量はあまり多くない私ですが、読んだ本の中には何かしら印象的な表現がみつかります。そしてそれらを時々、ふと思い出すのですが、私は渡辺さんの言葉を「雑用という用はない」と短く言い換えて、スマホのメモ帳に書き留めていたので、よっぽど気になったのでしょう。

先日、NHKの番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』で、ヤマト運輸の配達員さんの回を再放送していました。何をやってもうまくいかなかった彼は配達の仕事を始めますが、「ただ荷物を運ぶだけでしょ。」と甘く見ていたそうです。まさに、つまらない仕事だと思っていたのでしょう。それは違うと気づいた彼は、工夫を重ねて配達の「プロ」になっていきました。

就職しても配属になった課が自分の希望ではないからと、最初からやる気ゼロ。でもやってみたら、思いがけない面白さがあるかもしれない。雑にすればつまらない仕事で終わってしまうけど、工夫して丁寧にすればお客様に喜ばれ、自分自身も楽しい。

主婦の仕事は毎日同じことの繰り返し。当たり前になってしまった役割分担。雑にすればつまらない家事で終わってしまうけど、工夫して丁寧にすれば家族にも喜ばれ(るかもしれないし)、自分自身も楽しい。

どんなときも、楽しいか、つまらないか、幸せか、不幸せかは、自分の心が決めるんですね。

そして「プロフェッショナルとは?」
「どんな仕事も、やりがいのある仕事に変えることができる人」
かもしれません。

世の中につまらない仕事や雑用はない。
人間が用を雑にしている時、それは生まれる。





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