9.爆走する妄想人は時空間移動してきた人…かも?
市役所できちんと証明書を発行してもらえる生粋の独身な私ですが、過去に『結婚したらしい』と、根も葉もない妄想が飛び交っていたことが幾度となくありました。
思い当たる節でもあれば、それなりに「えへへ…実はね♪」なんて対応もできますが、残念ながら毎回、話だけが先行していたので、火のないところも煙って立つのか…と驚くばかりでした。
そんな中に本当〜に困る方がおりまして。
久しぶりにお会いしたら開口一番。
「彼とは最近どう?」
「?」
どの彼?誰の彼?なんの彼?
頭に中にいろんな彼が浮かびますが、この方の言わんとする彼は思い浮かびません。
「今、彼氏いませんけど。誰かと間違えてんじゃ?」
そうお答えすると、そこで初めて共通の知人男性の名前が挙げられて、彼が私の彼氏で婚約者になっていました。
「ええっ!付き合ってないし、そんな話が出たことなんて一度たりともありませんよ!だいたい10年以上年賀状オンリーの付き合いで、どうやって結婚になるんですか?」
誤解されたままでは相手にも失礼なので、ここはキッパリと答えました。
それなのに…
「そうなんだ…で、彼は最近どうしてるの?」
だ〜か〜ら〜知りませんってば!
人の話、耳の穴かっぽじって聞いてくれや!
…とまあ否定すればする程、そこからまたドツボにハマり、「じゃあ、式はいつ頃の予定?」とその方は思い込みだけで、話がどんどん進んで行くのでした。
それで思い出したのが、残念ながらベスト版未収録、オリジナル版11巻に登場する『愛ちゃんのママ』の話です。
愛ちゃんママは、どこから見ても元気の塊にしか見えないタチバナ母を『体が弱い』と認識する不思議な人。
母本人も『まったくどこでそう思われてしまったのか…』とお困りの様子。
また、愛ちゃんママは、元気満々なタチバナ母に道で偶然会っても、タチバナ母の体が弱い前提でくどくどと、健康について説いていきます。
静かな迫力、母が宇宙を彷徨うコマ…軽くSFです。
目の前に紛れもない真実がいるにもかかわらず、見当違いに爆走されちゃうと、「あれ?ここにいるのは、本当の私でいいんだよね?」と自信がなくなってくるんですよね。
間違いなく私には婚約者も夫もいないんだけど、もしかしてSFみたいに時空間移動して、婚約者がいる世界に来てしまった。
そんなところでしょうか…
それなら婚約者はこちらから指名したいけど、やはり現実の私は独身現状維持です。
ということは!
自分が時空間移動したのではなくて、爆走する人達が時空間移動してきちゃったと考えれば合点がいきます。
そう、そっち側がこっちに来ちゃっただけなんですよ、たぶん。
こういう時って、どうしても自分がおかしくなったのかと責めがちになるけれど、発想の転換して「別次元から瞬間移動してきちゃったのね」と思えば、なんとなく気持ちも楽になりますね♪
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