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ぴったりなトウシューズと出会うまでのこと

家から近かったので、最大手バレエ用品店Cへ行ってしまいました。そこのシューフィッターを信頼して、ポワントシューズ初心者であると打ち明けると、こちらがまだよくわかってないと思ってか接し方がまるで先生のようでした。

普段履いてるシューズのサイズは?と聞かれ、目視したあと、これを履いてください、と言われました。これが合うはずですから。自信満々に選んだ商品を試着するよう促されました。内心、驚きました。計測しないシューフィッターに初めて出会いました。こんな足に負荷のかかるシューズを選ぶのに、ものさしやメジャーを使いませんでした。

甲とヴァンプの間に隙間ができるほど幅が緩いものでした。ポワントで立つたびに中で足が動いていました。これがぴったりだときっぱり言いきられ、困惑してしまいました。

自分に合う商品がひとつもみつからないまま帰る羽目になり、こちらはがっかりです。

そこへ追い打ちをかけるようなお叱りを受けました。持参したトウパッドが他社製品だったことに対し、「トウパッドの選び方が悪いから(合わない)」と。

足にかかる重さを考えれば、形状の合ってないトウシューズをトウパッドなんかで調整できるわけがありません。トウパッドは隙間を埋めるためのもの。摩擦によって皮が向けるのを防ぐものです。

こんなまちがった指示に従えば、怪我をしたり、足の骨が変形するのは、もはや当たり前です。

幅(足囲)と形状(筒型か、板型か、その中間か)がもっとも合うものをみつける、こんな単純なことがなぜできないのだろう?

気づいたことですが、Cでは取扱い商品ラインナップに幅広タイプしかないようでした。
それから、自社製のポワントシューズが多かったです。シャンクがとても柔らかくボックスが軽めにできているタイプです。

子供の時からバレエをしている日本の人たちの足や体重に合わせているのだと思います。バレエは基本的にオンバランスでいるものなので、床をつかむ鳥のような足部、足先が開いた形をしている方が多いように見受けられます。そのほうが立つ上で安定感があります。

私は元アスリートのせいか筋肉質です。そして、足幅は反対に細幅か極細幅で甲も低めです。陸上や球技をしてきた人、NIKEやasicsのような細身のスニーカーで子供時代に運動をしてきた人のなかには、足幅が細く甲が低めの人は多いです。それが走るのに適してる足だからです。

別の大手バレエ用品店に行きました。好きなメーカーありますか?と聞かれました。そこでもメジャーや定規は使いませんでした。私は理系です。計測しないで既製品に合うものを選んでいるという間違った思い込みに衝撃を受けました。
細幅、板状の足向けのメーカーをひとつだけ教えてもらえました。しかし、シャンクの硬さは、フレックスとミディアム以外に選択の余地がありませんでした。

新品なのにドゥミでこんなにシャンクが撓んでて、ほんとにわたしの体重を支えられるかしら?またしても不安。。。

一足目のトウシューズが強い脚(足でなくて)と体重に耐えきれずわずか15日で生涯を全うしたので、あまりに買い替え頻度が高くなることを懸念していました。

トウシューズ選びに体重や脚の強さは考慮しないようで、ただただ店員は困った様子でした。不安なので、結局、購入しませんでした。

こんなふうに合ってない商品を勧めて、買ってくれることを期待する販売員やシューフィッター?は、わりといるんです。

当然のことながら足の形はみんな違います。脚の強さもみんな違います。合わないポワントシューズを履けばどうなるでしょう?あらためて考えてみると、すごく危険な行為ですよね。

それから、店舗に直接ポワントシューズを買いに行くことは辞めました。正直に当店で取り扱いしてる商品にはお客様の足型に合うものはありませんとは決して言いませんから。

細幅や硬いシャンクの在庫状況を調べてみたところ、ネット店舗だったり、ネットも手広くやってる地方のお店には、在庫が少しあるようでした。しかし、フィッティングへ行くことができません。だからといって、数千円とお値段の張る品物なので、一か八かで冒険を繰り返すことはもうしたくありませんでした。足の痛い思いもしたくありません。

正しいサイズの測り方やサイズ展開やシャンクの選び方について日本語と英語を駆使して調べまくりました。

灯台下暗しでした!
メーカーのサイトにきちんとした詳細データがありました。

木型ごとに、なんと0.1ミリ単位です!

ポワントシューズは、0.1ミリ単位でぴったりと合わせられるということなんです。

たとえば、私の履いているグリシコならば、このページを参照します。

要するに、足幅と形状にぴったり合うボックスをみつけることがストレスや危険のないポワント選びの最重要事項ということがわかります。次に、足の入る最小サイズ、脚と体重に耐えられるシャンクを選べば、それでおしまい。

それを、長さのほうから決めてしまうから、おかしくなる。バレエ用品店の店員のやっていたことは、出発点からゴールとは反対方向へ歩き出すようなものでした。ものさしもメジャーも使わないで目視によって、在庫品を売りつけているだけです。

これだけの豊富なサイズ展開をみると、「普段の靴よりワンサイズ大きめがおすすめ」のようなありがちな商品説明がいい加減極まりないと思えてはきませんか?

そもそもポワントシューズの物理構造を考えると、合わないものを履けば履き手の骨が変形するのみならず、シューズのほうも構造を維持できずにすぐにへたります。頻繁な買い替えを促すためには、合わないシューズを履かせればそれでよいのです。
最大手のCでは、なんと3ヶ月ごとの買い替えを推奨しています!!
残念ながら、本当に合うものを取り寄せたり、製品ラインナップや在庫が充実することなどは期待できそうもありません。

世界的メーカーの正確な情報発信のおかげで、私はベストなトウシューズに出会うことができました。

ぴったりなXXと気持ち細めXの2種類の足幅のシューズを一足ずつ注文しました。季節や湿度によるボックスの緩み具合を加味しつつ履き分けています。

水色のパッドは、えぐってある方を床側にして使用します。床を感じつつ、隙間をぴったり埋めるためです。


設計された構造上の強度を維持するため、底面に切り込みを入れること、ボックスを柔らかくすること、釘を抜く以外には手を加えたりしていません。

立ちやすいからと柔らかいシューズを選んではいません。そもそも、プロじゃあるまいし、立ちやすいわけがないからです。床を押しながら立っていられる強度があるシューズで、正しく立てるようにトレーニングするだけです。

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