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ドラマ『ソムニウム』の稀有で贅沢な演出|21/06/30

本日、ドラマ現場の主役キャストがついにクランクアップしました!感慨深い…。作品全体の撮影も残すところあとわずか。気を抜かずにいきたいですね。

手の中で役者の芝居を長回しで見れることは奇跡に近い

 それはもしかしたら、「ドラマ」と「映画」の違いなのかもしれないですし、「スマホ」と「劇場のスクリーン」の違いなのかもしれません。厳密な理由は分からないですが、実際問題、映画に比べてドラマの方が「カットが早い」(映像がポンポン切り替わる)ことは事実だと思います。「視聴者を飽きさせないため」「別の番組へ離脱してしまうことを防ぐため」にこうなっていることは明らかなのですが、そうした作り方が一般的とされている中で、近年では稀有な撮り方をしている作品があります。

 そう、『ソムニウム』です。

 これまで配信された回ではまだその最大の威力は発揮されていませんが、これから配信される#6や#7には「とにかく役者さんのお芝居をじっくり見てもらうために、アホほど長回しをしている」カットがあります。

 とはいえLINE VISIONの「ショートコンテンツ」という立て付け上、長回せる分数に限度はあるのですが、それにしても、従来の縦型ドラマコンテンツでは類を見ない「カットを割らずにお芝居をとことん見せる」手法が、この『ソムニウム』では実現しているのです。なんとも珍しい!そしてなんと懐の広いプラットフォームなんだ…!LINE VISION…!!!

冗長な間の中に含まれる、彼らの想いや苦しみ

 しかもこの長回し、カメラや人物があれこれ動くようなものでもなく、本当にただただ「人物を映している」だけなんです。(そもそも企画の段階でこの演出意図を伝えてはいましたが)こんな撮り方を許してくれるところは中々ありません。後にも先にも、塩野さんたちの渾身の長回し芝居を堪能できるところは、きっとここ以外には存在しないのではないでしょうか。(もしまた私が彼らと一緒に作品を撮れば別かもしれませんが)

 そして、私が最も感動したのは、ただ人物を映しているだけにも関わらず、彼らのその長い沈黙、息遣い、ゆっくりとしたやりとりの中には「全て感情が表現されていた」ということ。

 何も喋らず、しかもカメラの方を向いてすらいない瞬間があるのですが、その途方もなく長く感じられる時間から読み取れる人物の心情には本当にたくさんの感情・思考が詰まっていて、その後に続く台詞を聞くと、私はもう思わず身を投げたくなってしまいます。それくらい、本当に威力があるんです。編集段階で何度もこのお芝居を見ましたが、「渾身の演技」という言葉では言い表わせられないくらいのものが、この#6と#7には詰まっています。

クリエイターが自由に実験できる場があることの有り難さ

 この物語を撮ろうと決めた時、一番はじめに思ったことは「とにかく役者さんのお芝居をじっくり見られる作品にしたい」ということでした。お芝居をしっかり見る≒カット編集を極力せずに、彼らのお芝居の力のみでお客様を魅了する、ということです。「スマホで見るならもっとテンポを早くしなきゃ」と編集段階で突っ込まれることがとても多い昨今で、この演出を実現できたことは奇跡に近いと思っています。ここまで自由に作品を作らせてくださったVISIONというプラットフォームには、本当に心の底から感謝しています。

 この作品が果たして成功しているのか?は、まだ最終話まで配信されていないので結果が分かりませんが、クリエイターに自由な創作の場を与えることとお客様に俳優の魅力を存分にお届けすることに関しては、まずまず爪痕を残せているのではないかと感じています。

 さて、明日の#5はどんな物語になっているでしょうか?

 LINE VISIONの『ソムニウム』ぜひ今後もご視聴いただけますと幸いです。

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